ガンダムがトラウマになった日、克服した日 【3/3】


◆独特の操作性◆

 長年のトラウマだったRX-78を手に入れた私オロチは、唯一記憶に残っていたゲームソフト『連合艦隊』で、幼き日に繰り返し遊んでいた「地面にめり込むやつ」を再現しようと悪戦苦闘。やっとの思いでたどりついた戦闘画面でさっそくチャレンジするも見事に墜落してしまったのだった。

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 なんでや!?
 意味が分からん。

 そもそも今の動きは何だ。実はいうと私は急降下しようとしたわけではなく、むしろ上昇しようとしてジョイスティックを上に倒したのだった。それなのに戦闘機は急降下。地面に激突してしまったのである。これは一体どういうことなのだろう。何度が操作を確かめてみると私はあることに気がついたのだ。


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 どうやらこういうことらしい。

 どうやらこのゲーム、上入力すると下へ旋回、下入力すると上へ旋回する仕様だったのだ。説明書だと逆なのだが実際はそうなのだから仕方がない。私はこの操作性をサイドビュー版の「バンゲリングベイ方式+操縦桿」だと解釈した。皆さんもご存知の通り「クソゲー」という不名誉なレッテルを貼られることの多いファミコン版『バンゲリングベイ』はラジコンの操作方法を採用していたことがその要因のひとつと言われている。高橋名人も自身のブログで以下のように言及しているのだ。

 ファミコンの十字ボタンを操作する事で、ヘリコプターの方向を変える事が出来るのですが、十字ボタンの右を押すと、ヘリコプターが自機の右に方向転換します。通常のゲームであれば、キャラがどちらに向いていても、右を推せば画面に対しての右に動くのですから、ラジコンなどを操作した事の無い子供達には難しかったかもしれません。


 本作『連合艦隊』の場合、このバンゲリングベイ方式に操縦桿の要素がプラスされている。すなわち、飛行機の操縦桿は手前に引くことで機首を上げ、奥へ倒すと機首を下げることから、本作はジョイスティックを操縦桿に見立てているというわけだ。理解さえしてしまえば容易いものである。私は何度か練習してすぐにこの操縦法をマスターした。

 ほんじゃ改めまして、、、


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 行けー!


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 バーン!

 なんでやー!

 今度こそちゃんとギリギリで地面を回避したはずなのに、めりこむどころか、何なら少し手前くらいで激突してしまった。もしかして記憶違いなのだろうか。それから何度も何度も試してみたが、まったく上手くいかないのだ。そもそもめり込まないのだ。その片鱗すら見せないのだ。もう何が何だかわからなくなってきたよ、、、

 地面にめりこむやつなんて最初から全て幻だったんや!



◆空中の見えない壁◆

 急に目の前が真っ暗になった。

 しかし人間というものは体が憶えているものだ。それは何かの拍子で戦闘機が天井の見えない壁に当たって跳ね返ったときのこと。脳裏に何かがフラッシュバックしたような気がしたのだ。もしかして、、、

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 このゲーム、戦闘機を見えない天井にぶつけると、そのままの体勢で自然落下していくのである。つまりこの状態で地面まで墜ちてギリギリ回避すればあるいは、、、

 とにかく、やってみるか。

 それ~

 ……

 ……

 ……

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 キ……

 キタキタキター!
 
 ついに来た。

 これだ。これだ。これだー!!!


 このゲーム、普通に正面から行くと地面に激突してしまうのだが、見えない壁を利用して尾翼から降下することで「地面にめりこむ」というバグのような挙動が発生するのか。そうだった。そうだった。すべてを思い出したぞ。


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 やばい。

 すっげー楽しい。

 すっげー楽しい。




 動画(諸事情により音声なし)を撮ったので是非見て頂きたい。これが私が幼い頃、毎日わけもわからず遊んでいた「地面にめり込むやつ」だ!

 まあ、めり込むのは地面じゃなくて海面だったけどね(笑)



◆思いがけない発見◆

 どうやら私は重要なことを見落としていたようだ。本作『連合艦隊』は現代の感覚では何とも珍しい2Pプレイ専用ゲームだった(※1)のだ。つまりCOM対戦(1Pプレイ)が存在しないのである。艦隊の選択画面で日本とアメリカの両軍を選ばなければならなかった理由も、ジョイスティックが2本必要だった理由も、すべてそのためだったのだ。したがってゲームが始まると(最初から動力のある戦闘機以外の)アメリカ軍はピクリとも動かない。
 しかし当時を振り返ってみても、親父がゲームをすることはなかったし、姉や友達とやった記憶もまったくない。つまり私は毎日わけもわからず2Pプレイ専用ゲームを1人でやっていたことになるのである。

 だからかあ、、、
 私は大きくため息をついた。

 つまり真相はこうだ。幼い日の私はこのゲームの敵(2P)がまったく動かないので、幼いなりに「一人でも楽しめる方法」を編み出したというわけだ。それがこの「地面にめり込むやつ」だったと、、、なんちゅう悲しい話やねん!

 でもおかげさまで、盛大にゲームをこじらせてしまったよ。どうやら私の何事にも「正しいやり方」にこだわらないスタイルはこの頃に培われたようだ。私が「世間の正しさ=評価」にからっきし興味がないのもそのせいだろう。だから当時、捨て値で売られていたファミコンを平気で集めることができたのかもしれない。そう考えると、今回はトラウマを克服できたばかりか、思いがけず私自身のルーツまで発見してしまったことになる。「RX-78 GUNDAM」が私に与えてくれたのはゲーム原体験どころではなかったのだ。

 こんな大切なものを,もう二度と手放すまい。
 もう二度と、、、

 


orotima-ku1.pngおわり


 ※1 『PONG』をはじめとする初期ゲーム機はコンピュータ性能が発達していなかったため2Pプレイが多かった


「ガンダムがトラウマになった日、克服した日」(全3話)
 ・第1話
 ・第2話
 ・第3話



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ガンダムがトラウマになった日、克服した日 【2/3】


◆オーバーレイ癒着問題◆

 某ハードオフで長年トラウマになっていたホビーパソコン「RX-78 GUNDAM」をGetした私はさっそくテレビにつないで電源を入れたのだがウンともスンとも動かない。もしかしてジャンクを掴まされたのか。最悪の事態が頭をよぎるも、いろいろ試した結果、映像出力端子のところをいじったら画面が映ることが判明した。どうやら端子の接触不良という「レトロゲームあるある」だったらしい。な~んだ。テヘペロ。

 気を取り直して電源を入れなおす。


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 タイトル画面、キター!

 これこれ。

 時代を感じさせるフォント。細さが素晴らしい。やたらハワイがでかい世界地図も味があるよね。しかし何だろう。どうすればいいんだ。タイトル画面で既にどうやって次の画面に進むのかわからない。

 ここで私はとあるものを忘れていたことに気づいた。そうオーバーレイだ。これをキーボードに被せなければ話にならなかった。しかしこのオーバーレイ、何かがおかしい。どうやら接着面の保護シートが癒着してしまっているらしい。


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 ※オーバーレイの裏面の様子

 そのため一部しか接着面が露出していないのだ。
 
 レトロゲーム界隈では何年か前からPCエンジンHuカードの保護ビニールケースが劣化し、カードの印刷面や説明書に癒着してしまう問題が叫ばれているが、RX-78にもオーバーレイの癒着問題があったなんて、そんなこと誰も言ってなかったぞ(そもそもRX-78の話題などまったく見かけないが)。

 ちなみに私はHuカードを別のカードフォルダに保存しているので抜かりなしだ。ただし、上から入れるだけのカードフォルダの場合、上下を間違えて持つとHuカードがスッポ抜けるので要注意である。


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 ※イメージ図

 私は何回かやらかしているぞ!



◆「先に進まない」という壁◆

 話が脱線してしまった。とにかくオーバーレイの接着面が機能しないので、上に乗せるだけの状態でゲーム再開だ。

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 ボタンを押すたびにオーバーレイが少しズレてしまうが大した問題じゃない。気にせず適当にボタンを押していると偶然スペースキーを押したら先の画面へ進むことができた。なになに「艦隊を選んでください」とな。しかしここから再び膠着状態が発生。いくら適当にボタンを押してもまったく先へ進まなくなってしまった。

 たまりかねて説明書を読む(早く読めよ)。

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 説明書によると艦隊を選んだら「設定キー」を押さなければならないということだ。しかも日本とアメリカ、両方のやつを選ばないといけないという。なんやねん。しかしいざ艦隊を3艇ずつ選んでも今度はそこから動かなくなってしまった。いちいちなんやねん。説明書を読むと、ここからはジョイスティックでの操作になるとのこと。

 ジョイスティック!
 はよ、言うてや~。
 すっかり存在を忘れていたぞ。

 さっそくジョイスティックを箱から出す。

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 この梱包材でしかない梱包材を見よ。

 RX-78専用ジョイスティックを固定するためだけの梱包材だ。元来、箱(内箱)は梱包材でしかないということを改めて思い知らされる。だから容赦なく捨てられるのだよ。こんなもんいちいち出し入れしてられるか!(笑)


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 ジャジャーン。

 おお、懐かしいなあ。これこれ。この操作性もクソもないやつ。何でそこに付けたっていう横ボタン。やたらカチカチ鳴るだけのやつ。懐かしすぎて泣けてきたわ。
 私はコントローラマニアでもあるのだが、この手の初期ホビーパソコン用のジョイスティックは本当に操作性もへったくれもなくてクソ最高だ。ゲーム界にクソゲーを愛でるひとたちがいるようにコントローラ界にもクソコンを愛でるひとがいたっていいじゃないか。
 


◆いざ戦闘開始!◆

 さっそくジョイスティックを装着してゲーム再開だ。

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 説明書によると1Pが日本軍で2Pがアメリカ軍を操作するそうだ。ジョイスティックを右へ倒したら日本の艦隊が動いた。やったぜ。なんでゲームのオブジェクトが動いただけこんなに感動しなければならないのか(笑)

 すると、日本軍の艦隊がアメリカ軍へ突っ込んだとき、ついに“あの戦闘画面”が私の目の前に現れたのだった、、、


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 おおーっ
 これこれこれ!

 これだよ。まさにこれ。
 私が35年前、毎日のようにやっていたゲーム画面だ。間違いない。


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 ※イメージ図

 記憶だけを頼りに書いたイメージと瓜二つやん。

 さっそく地面にめり込むやつをやろう。
 このときをどれだけ夢見たことか。
 トラウマなんてクソくらえや!


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 オロチ、行っきまーす!


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 バーン!



orotima-ku1.pngつづく



「ガンダムがトラウマになった日、克服した日」(全3話)
 ・第1話
 ・第2話
 ・第3話



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ガンダムがトラウマになった日、克服した日 【1/3】


◆地面がめりこむやつ◆

 遠いある日――
 親父がワープロを買ってきた。

 それはよくある一体型の専用機ではなくテレビにつなげるタイプの代物で、名前を「RX-78 GUNDAM」といった。いわゆるホビーパソコンというやつである。しかも親父はワープロソフトの他にゲームソフトもいくつか買っていたようだ。あのゲームにまったく興味がないはずの親父がゲームソフトを買って来た理由はよくわからない。
 もしかしたら当時、小学1、2年生くらいだった私のためにファミコンと間違えて買ってきたのかもしれないが。今となっては何も憶えていないのだ、、、



 RX-78 GUNDAMは、1983年7月にバンダイから希望小売価格59,800円で発売された、家庭用ゲーム機のような性格を有するパソコン、いわゆるゲームパソコンである。ゲームソフト以外に学習ソフトやグラフィック・BASIC・ワープロソフトなどのビジネスソフトも発売された。シャープとの共同開発により誕生した[1]。バンダイの看板商品であるアニメロボット「RX-78ガンダム」の形式番号を名付けたほどの意欲的な製品だったが、売り上げは芳しくなかった。


 正直、どんなゲームソフトがあったのかもほとんど憶えてない。

 ひとつだけ強烈に印象に残っているのは戦闘機を操縦するゲームだ。それはバグなのか、墜落する寸前で回避すると地面がめりこむという挙動があって、幼い私はただそれだけのことが楽しくて仕方がなかった。


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※イメージ図

 毎日毎日わけもわからず、この「地面にめり込むやつ」を遊んでいたことが、唯一のRX-78体験の記憶である。



◆ガッチガチの原理主義者◆

 それから数年後――

 世はプレステ黄金時代。大学生になっていた私はとにかくお金がなかったので身の回りの物をヤフーオークションで売っては小銭を稼いでいた。私はその頃からすでにファミコンを集めていたのだがゴッリゴリのファミコン偏重主義者だったので、ファミコン蒐集の過程でたまたま手に入ったそれ以外のゲームグッズは容赦なく売りさばいていたのだ。そんなとき押し入れから出てきたのがこの「RX-78 GUNDAM」だった。懐かしいなどという感情は1㎜も湧いてこなかった。むしろラッキーとばかりに即決1万2000円で出品したらすぐに海外コレクターに落札されて私は大喜びしたものだ。

 その頃の私は鬼だったので、ファミコン以外のものどころか、Hucker製品などファミコンの非正規品ですら「不要」とばかりに売りさばいていたのである。ファミコン偏重主義者の中でもガッチガチの原理主義者だったわけだ、、、


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※ファミコン本体パッケージ横の写真を再現したもの


 それからさらに数年が経ったある日――

 私はファミコンのことをもっと深く理解するためにファミコン偏重主義者をやめた。それと同時に猛烈な後悔をした。いくら貧乏学生だったとはいえ、自分に初めてのゲーム体験を与えてくれたRX-78をゴミくずみたいに手放すなんてあまりにも軽率だった。悔やんでも悔やみきれない。それからというもの、私はオークションで「RX-78 GUNDAM」が出品されていても直視できなくなっていた。いわゆる「トラウマ」ってやつである。

僕がファミコン偏重主義者をやめた理由

 なぜならRX-78に「どれくらいの市場価値が付いているのか」知るのが怖かったから。私は現実に己の愚かさを突き付けられるのが怖かったのだ。私にとってRX-78は、できれば一生思い出したくもない代物なのだ。しかしこんなブログをやっているとどうしても見かけてしまう。そんなとき反射的にブラウザを閉じたこともあった。

 幸いなことに!?私はこの世代(再放送世代)では珍しくアニメのほうの「ガンダム」は見たことがなく、まったくハマらなかった人間なので、そっち方面からRX-78の名を聞くことはなかった。それだけが救いである。



◆運命的な出会い◆

 さてここからが本題だ。

 先日、とある場所に「ロックマンの棚」が売っているという情報をもらって行ってみたところ既に売り切れだったので、帰り道に某ハードオフへ寄ったときのことだ。ひとしきりレトロゲームコーナーのファミコンソフトをひっくり返したあと、満足げに店を出ようとしたそのときだ。私の目に飛び込んできたのはネオジオ本体の横にひっそりと置かれていたホビーパソコンだった。よく見ると「RX-78 GUNDAM」ではないか!

 思わず目を背けたものの、視界に一瞬だけ入った『連合艦隊』というソフトを見た瞬間、私の頭にビビビと電撃が走ったのだ。

 !?
 これだ!

 改めてパッケージを凝視すると、ジョイスティックを操縦しながら戦闘機を地面にめり込ませて遊んでいる幼い日の自分の姿が蘇っていく。背筋が震えた。なんという運命か。私が一も二もなくそれを買って帰ったのは言うまでもない。それはあまりにも突然だった。なんの前触れもなくトラウマを克服する日がやってきたのだ、、、


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 ジャジャーン。

 ということでGetして来たRX-78である。
 決して安くなかったがそんなことは関係ない。
 よくぞこんな綺麗な状態で残っていたものだ。

 さっそく開封である。


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 おおーっ
 これこれ。


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 意外と小ぶりなボディ。
 ストロークの浅いキーボード。

 これこれ。

 BS-BASICのオーバーレイが装着されているのは、前の持ち主が使ったままなのだろうか。背面にはダブルスロット。しかもRF出力しかないと思っていたらなんとRCA(コンポジット)出力も備えていたとは嬉しい誤算だ。さすがホビーパソコン。ファミコンと同い年でありながらこの高性能!


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 連合艦隊のほうも開封。これこれ。

 ソフトごとに専用のオーバーレイがあって、いちいちキーボードに貼り付けて遊ぶんだよね。たしかF1レースみたいなゲームも家にあったなあ。記憶が徐々に蘇ってきたぞ、、、



◆いざ、動作確認へ◆

 さっそくテレビにつないでみようと電源アダプターを手に取った。するとことのほか重い。いったい何グラムあるのだろうか?


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 計ってみたところ731gもあったのだ。

 おそらく私の持っている電源アダプターの中ではかなり重い部類に入るだろう。試しにそこらに転がっていた他のゲーム機の電源アダプターを計ってみたのだが、思った通りRX-78のやつが一番重いという知見を得た。


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 なにげにDUO-Rの電源アダプターも重い(笑)

 って、こんなことをやってる場合ではなかった。私は早くあの「地面にめりこむやつ」をやりたいのだ。さあ早く私にめりこむやつをやらせろ。焦る気持ちを抑えつつRX-78をブラウン管テレビにつなぐ。本来、見せるような場所ではないが(ケーブルとか超ぐちゃぐちゃだし)、私のゲームプレイスペースをついでに公開しよう。


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 まるでゲームオタクの部屋みたいだ!(やかましいわ)

 さっそく私は祈るように電源を入れた。あれ。RX-78はウンともスンとも言わなかった。おかしいな。流れ出る脂汗。最悪の事態が頭をよぎる。ハードオフの店員さんはちゃんと動作確認したと言ってたのにどういうことだ。

 こいつ、、、動かないぞ!



orotima-ku1.png次回へつづく



「ガンダムがトラウマになった日、克服した日」(全3話)
 ・第1話
 ・第2話
 ・第3話



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【プレゼント企画】オロチのレトロゲーム遠征記2019 滋賀編(2/2)



 誰かが言った。
 城があるところには老舗の玩具屋があると、、、

 城があるところには必ず城下町がある。城下町にはたいてい古い商店街がある。古い商店街にはたいてい老舗の玩具屋がある。つまり城があるところには老舗の玩具屋さんがあるという風桶理論だ。調べてみると思ったとおり彦根には古い商店街があったので我々はさっそくハンドルを切った。

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 そして思ったとおり発見したよ。老舗玩具店!

 彦根ローカルボードゲーム「カロム」が誇らしげに展示してあるショーウィンドウ横から小ぢんまりとした店内へ。出迎えてくれたのは売れ残ったWii。そして説明書が真っ白に日焼けしたディスクシステムのソフトわずか5本。内3本が麻雀家族というありがちなパターン!



 カウンターのうしろにはディスクライターキャビネットを発見。かつてここにもディスクライターが置いてあったのだろう。店主のおじさんに一応、聞いてみるも「普通に棚として使っているので売り物ではない」とのこと。ならばと、代わりにしぇぼる氏がファミリーゲームという駄グッズを購入。


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 上の厚紙のところに、どこかで見たことのあるキャラクタがちらほら見える駄菓子屋グッズである。略して駄グッズ。内容はファミコンとまったく関係ない双六だった。

 気を取り直して次に寄ったのは近江八幡にあったリサイクルショップGOGO。


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 私オロチのもうひとつの大好物である昭和レトロポップグッズが満載のお店。なにげにPCEスーパーグラフィック本体(裸)ソフト2本付きが割安で置いてあったりと、穴場的なお店だった。しかしお目当てではなかったため断腸の思いでスルー。他のレトロゲームも若干あった。


 時刻は14時過ぎ――
 遅めのお昼を挟んでやっと到着したのはハードオフ草津栗東店。


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 ラインナップとしては中の下くらいか。ファミコン棚をじっくり見ていたらスーファミ棚のほうからガゴッという鈍い音が聞こえてきた。振り返ると欧米系外国人と思わしき人物がスーパーファミコン棚を貪りつくようにディグっているではないか。しかも足元へ落としたスーファミカセットには見向きもしない。(あとで確認したらやっぱり殻が割れていた)

 そのような人物を擁護するわけではないが、裸ファミコンカセットを↓のような金具で吊り下げている店舗はここも含めて実に多い。私はこの陳列スタイルを吊り下げ式と呼んでいるのだが、この方式の弱点は商品が見にくくて仕方がないところだろう。とくに裏面を見る労力は通常の横向き陳列のおよそ3倍はかかるのだ。

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 さらに細かく言うと、カセット側のビニール梱包は大きく分けて穴タイプとフックタイプの2種類ありフックタイプのほうが圧倒的に落下事故が起きやすい。落とさないコツは金具の先端を親指で押さえて一番前のカセットが押し出されないようガードしつつ、金具の上部に人差し指を添えてそれぞれのフックを固定しながら見ることだ。ただし、気をつけないと金具ごと網棚から外れてしまうので熟練の技が要求されるぞ!

 次の目的地である「お宝ザクザク大津店」へ向かう車中で、そんなレトロゲーム巡りあるあるに花を咲かせつつ、再びNINTENDO QUESTの話題になった。


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 若きNESコレクター・しぇぼる氏いわく向こうのひとはゲームの扱いがとにかくワイルドなんだとか。例えば彼らにとってパッケージはただの梱包材であり、当時の子どもたちは買ってもらった途端、即ビリビリに破り捨てていたため、箱説で残っているNESソフトは極端に少なく、裸ソフトと値段が全然違うのだという。

 NINTENDO QUESTのルールでもコンプリートの対象ソフトは箱説でなくてもよく、何なら殻が割れていようが、汚れていようが関係なく集めていたらしい。しかしそんなQUESTの前に最後まで立ちはだかった壁は、市販品のくせに世の中に200本しか流通しなかったと言われる『Stadium Events』であった。

 その値段、箱説付きで驚きの400万円!

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 image:FACTORY SEALED NEW NES NINTENDO STADIUM EVENTS NTSC (eBay)

 裸でも最低100万は越えるという桁外れのプレミアソフトである。彼によると現在、レンタル物を含まない市販NESソフトの高額ソフトランキングは以下のようになっているらしい。日本とは一味違うラインナップが興味深い。

『Stadium Events』
『Little Samson(聖鈴伝説リックル)』
『Bonk's Adventure(FC原人)』
『Panic Restaurant(わんぱくコックンのグルメワールド)』
『Power Blade 2(キャプテンセイバー)』
『Zombie Nation(暴れん坊天狗)』
『Cowboy Kid(ウエスタンキッズ)』



 オロチさん、、、
 前、コンプリートの壁っていう記事を書いてたじゃないですか。
 97%集めても価格的には折り返し地点だっていう、、、
 NESの場合は上位3%どころじゃないっすよ!?

 しぇぼる氏が話を続ける。


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 ※出典:レトロゲームコレクターを悩ませる「コンプリートの壁」の正体

 NESソフトの市場価格は上位10本の値段で残り668本が余裕で買えるくらい格差が広がっているのだという。それに比べたら30万円の『バトルラッシュ』なんてまだまだ良心的ですよと彼はうそぶいたあと「いつかNESコンプしてやりますから」と笑ってみせるのだ。若いって素晴らしいね!


 🐍🐍🐍


 途中で寄ったリサイクルショップリンダリンダ。

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 買取BANBANは不発。

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 そんなこんなで16時ちょっと前――
 なんとか、お宝ザクザク大津店に到着。

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 ファミコン・スーファミは裸カセットが100~200本。箱説は数十本。値段は相場よりやや安かったものの店名とは裏腹に目ぼしいものは何もない。大規模なレトロゲーム買い付け集団に狩られたあとのような棚のスカスカ具合が気になる店だった。


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 ※今回のルート

 次はハードオフ西大津店へ向かう予定だったものの、嫁さんに「18時には帰る」と大嘘をこいていたため流石にタイムアウト。今回の滋賀遠征はこれにて終了である。来る前からある程度、予想はしていたものの、やはり今回のメインディッシュは開放倉庫米原店。あそこがピークだったらしい、、、


 帰り道――

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 突如、目の前に広がる琵琶湖の水面!

 遠路遥々、滋賀までやって来て、琵琶湖を見たのが帰り際って、どんな旅やねん。ツッコミを入れながらも楽しい遠征だった。ここから京滋バイパスを通って高速道路に乗り、亀山ジャンクション経由で名古屋へ帰る。四日市で途中下車して例の日本一の店行こうか。いやいやいいですよ。だってあそこならNES売ってるよ?店名とは裏腹に死にかけてるじゃないですか。またまた大ファンのくせに。まあ否定はしませんけど。なんて会話しながら家路についた。

 これで当分、琵琶湖の夢を見ずに済みそうだ。



◆プレゼント企画◆

 そんな、しぇぼる先生の代表作「レトコンドー」2巻セットを3名様にプレゼント!

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 BEEP通販で絶賛販売中!?(品切れ中

 家庭用レトロゲームを研究する女子高生たちを描いた漫画作品。今回、改めて読みましたがレトロゲームネタがマニアック過ぎて鼻血が出るかと思いました。なぜか私オロチもゲスト寄稿させられちゃってるし、、、

 ご希望の方は、こちらのメールアドレス「famicom.com@gmail.com」まで今回の記事や当サイトへのご意見・ご感想などを送ってください。抽選で3名様に当選通知が届きます。その際に改めて発送先を教えてもらうシステムとなっておりますので、まずはお名前、メールアドレス、ご意見、ご感想のみでご応募ください。

 締め切りは3月4日(月)の日付まで。
 当選の発表はオロちゃんコーナーでさせていただきます。



orotima-ku1.png<オロチのレトロゲーム遠征記>
滋賀編 1/2
滋賀編 2/2



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【プレゼント企画】オロチのレトロゲーム遠征記2019 滋賀編(1/2)


 誰かが言った。
 滋賀には黄金の国“ジパング”があると、、、
 
 時刻は朝7時45分。曇天。名鉄某駅。私はとある人物が改札を降りてくるのをハンドルを握りながら待っていた。NESエージングカセットの回でお世話になったしぇぼる氏だ。彼は私よりも一回り年下の若きNESコレクターである。急な誘いであったにもかかわらず滋賀遠征に付き合ってもらうことになったのだ。

 ひとまず出発点であるハードオフ長浜店10時着を目指す。

 名古屋高速から一宮経由で名神高速道路へ。さすがに都心部は通勤ラッシュで渋滞していた。車中では「NINTENDO QUEST」の話に花を咲かせる。それは海外コレクターがクラウドファンディングで募った資金をもとにNESコンプリートを目指しアメリカ中のレトロゲームショップを駆けずり回るというドキュメンタリー映画である。


Nintendo Quest [DVD] [Import]
 
 対象となるNESソフトは正規品678本。期限は30日間、オンラインは一切使わずに、実店舗・コレクターから購入するというルールで行われたそうだ。

 しぇぼる氏はこの映画に出てきた世界的ゲームコレクターTod Curtis氏のことを尊敬しているという。彼は嬉しそうに「Todは矯正歯科医」「幼い患者が待ち時間で退屈しないよう待合室にNESを置いている」「というのを言い訳にして買いまくっていた」「ツイッターアカウントはあるけどゲームのことは一切つぶやかない」などTodの情報を教えてくれた。こういうとりとめのない話ができるのも二人旅の醍醐味であろう。


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 今回のルートは琵琶湖の南側を長浜から大津までひたすら南西へ攻めるというもの。こんなド平日の朝に滋賀方面へ向かう人間など少ないのか一宮から乗った名神高速道路はうってかわってガラガラだった。我々はたまたま平日休みの仕事なので、こんな所業が可能なわけだが、いくらお金が集まったからってNINTENDO QUESTみたいに30日間も会社は休めないな。私が言うと、しぇぼる氏いわくアメリカ人はアルバイターが普通だから可能なんだと持論を展開した。彼もいつかはNINTENDO QUESTみたいにアメリカ全土でNESを探す旅をしたいらしい。若いって素晴らしいね!

 そんなこんなで9時55分――

 恐ろしいほど計画通りに1軒目「ハードオフ長浜店」に到着。よーしさっそく乾杯だ。


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 ※手前の車はオロチの愛車「ブラックハイエース号」


 ヘルビタ黄W液!

 まったく聞いたことのないマイナー栄養ドリンクでお互いの健闘を祈りながら一気に飲み干す。すると突然、辺り一面にズズズ、キコキコというけたたましい音が響き渡った。ハードオフのシャッターが開く音だ、、、

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 少しずつシャッターが開いていくおよそ60秒の間、微動だにしない二人の男。傍から見たらやべえ奴らだ(笑)

 やがて無言で目を合わせると一気に店内へなだれ込んだ。品ぞろえはファミコンソフト、スーファミソフト、それぞれ200~300本、箱説も40~50本あり悪くない。私の今までの経験上のハードオフ全体でいけば中の上といったところか。一件目としては悪くない。ここではずっと気になっていたドリキャスのコントローラ他を購入した。


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 店の駐車場を出ると向かいは元ハローマック物件

 これは縁起が良い。次はいきなりメインディッシュの開放倉庫米原店へ向かう。私がその話を聞いたのは半年ほど前のこと。かつて滋賀には黄金の国があった。その店はレトロゲームの在庫があふれんばかりでしかも安くて天国みたいだったという。私はそれ以来、毎日のように琵琶湖が夢に出てくるようになってしまったのだ。

 時刻は11時――
 いよいよ見えてきた。

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 開放倉庫米原店!

 あいかわらずのデカさ。バケモノ級だった奈良の開放倉庫桜井店ほどではないものの、田舎のドン・キホーテ並みにデカいその敷地と建物にただただ圧倒され、武者震いが止まらない。

 いざ、レトロゲームコーナーへ!

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 ※店内の撮影及びブログへの掲載にはお店の許可を頂いてます

 裸ファミカセー!

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 スーファミー!

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 箱説ー!
 レア物ー!

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 圧倒的な在庫量!

 とくにファミコン・スーファミの箱説の量は圧巻。同じタイトルが多いところは店舗ならではの光景だ。ラインナップはさすがに専門店よりは劣るが、状態がよくないものも陳列するスタイルなので、逆にいえば状態がよくなくても構わないというひとにはありがたい店だろう。何を隠そう私みたいな変種のモノサシもってるコレクターにはお誂え向きである。その割にPCE、メガドラはやや寂しかったが、SS、DC、PS1、PS2などCD媒体系も充実。何よりこのダンジョンみたいな陳列が最高じゃないか。そこらのレトロゲーム屋にくらべてワクワク感が段違いである。

 正直言って行く前からわかっていた。奈良遠征したときから開放倉庫グループはすでに「適正価格」という抗いようのないビッグウェーブに飲み込まれていることなどわかっていた。しかしそれでも何が出てくるかわからないこのゾクゾク感。四方八方をレトロゲームに囲まれながらレトロゲームからは発せられる「浴びると元気になれる謎のシャワー」を浴びて元気モリモリになりたい。その一心でここまでやってきたのだ。

 やばい。何時間でも居られるぞ、、、


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 さっそくすべての裸・箱説ソフトをチェックだ。
 ABCシール発見。滋賀にもあるのかこのシール、、、

 数十分後――
 結局、滋賀の地元ファミコンショップシールは見つけられなかったものの、いくつかの重要なお宝をゲット。最近本体を買ったワンダースワンのソフトや、ショーケースの中にあった64のジョイカードなども購入。何度も言うけどザ・適正価格である。プレミア物がやたら高い傾向にあるもののお手本みたいな適正価格だ。もはやここには夢みたいな黄金の国“ジパング”の面影など露程もなかった。でも、このレトロゲームが織りなす曲線美は遠路遥々ハイエースを2時間飛ばして来た理由として十分な絶景だったのだ。


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 出口付近にあったレトロなポップコーン製造機の前でしばしの休憩。歯の隙間にくっついて離れないバター味のポップコーンに悪戦苦闘しながら次の行き先を吟味する。計画ではハードオフ草津栗東店を目指すことになっていたが、50㎞以上も先やん、、、

 地図でルートを確認すると途中で彦根を通ることがわかった。

 オロチ 「そういえば彦根には城があったなあ」
 しぇぼる「そうですね」
 オロチ 「寄ってみるか」
 しぇぼる「えっ?」



orotima-ku1.png<オロチのレトロゲーム遠征記>
滋賀編 1/2
滋賀編 2/2



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オロチの小説
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