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ファミコンカラー論争に終止符!! 開発者「プラスチック安価説は間違いです」

<衝撃的な事実>

 先日、「週刊プレイボーイ」がファミコン30周年記念の総力特集を組んでいることをお伝えしたが、そこにファミコンの生みの親である元任天堂の上村雅之氏へのインタビュー記事が載っていた。

 kamimuramahua-0.jpg
 ※週刊プレイボーイ 2013年5月13日号より

 正直言って買って満足していたので、まったく読んでなかったのだが、ツイッターで@SaitoTakasuiさんから「ファミコンカラー論争について衝撃の事実が載っている」と情報をいただき、急いで確認したところその通りだったのだ!

 こちら↓

kamimuramahua-1.jpg

 ファミコンカラーは社長のマフラーの色ってか!



<そもそもファミコンカラー論争とは!?>

 なぜファミコンカラーは赤(えんじ色、あずき色とも言う)と白なのか、その理由については大きく分けて2つの有力な説があった。1つは社長の指示だったという社長指示説。そしてもう1つが以下である。

 当時、赤色のプラスチックが 
 もっとも安かったため


 いわゆるプラスチック安価説だ。

 そもそもこの説はNHKが1996年に放送した番組「新・電子立国 第4回 ビデオゲーム~巨富の攻防~」内で紹介したもので、その後、様々な大手サイトが取り扱ったため、トリビアブームの波に乗って瞬く間に広がったと考えられる。



<安価説にちょっと待った!!>

 しかしそんな安価説には最大の弱点があった。それは「なぜ赤と白のプラスチックが安かったのか」という疑問については何も答えていないことだった。

ファミコンカラーの謎「なぜ赤と白のプラスチックが安かったのか?」

 こちらは僕が過去にアップした記事であるが、そのコメント欄において、専門の方から「プラスチックの色によるコストの差はほぼ無い」という意見を頂いた。むしろ白色プラスチックのほうが異物混入で不良品になるリスクが高いという。

 だったら何か、赤色のプラスチックが余っていた理由でもあったのか。そんなところから「ゲームウォッチ仮説」を唱える記事もあった。爆発的に普及したゲーム&ウオッチにおいて、同色のプラスチックが使われたから安かったとする説である。

 しかし真実は依然として不明のままだったのだ……



<そもそも社長指示説のほうが早かった>

 ここで、もう一方の有力説である社長指示説について確認したいと思う。

【任天堂「ファミコン」はこうして生まれた】第8回:ファミコン誕生、家庭用ゲーム機の代名詞に(日経トレンディネット 2008年10月06日)
>社長の山内は、本体の色にもこだわった。(略)
>あの色がいいといって山内が指さした。
>その先には(中略)赤い看板が立っていた。
>その翌日、社長は自分のマフラを上村の席まで
>持ってきて、この色がいいともちかけた。(以下略)


 こちらの記事は1994年発行「日経エレクトロニクス」に連載された「ファミコン開発物語」を再掲載したものらしい。96年にプラスチック安価説を唱えたNHKの「新・電子立国」よりも2年も早い掲載となる。 

 ってことは何か、ファミコンカラーが社長の指示だったって話は「最初からそう言ってたじゃん」ってことか。なのに訳のわからん奴らが急に「プラスチックが安かった」とか言い出して、社長云々は“説”の1つになっちゃったってことか!



<そして再び「社長指示説」が浮上>

 そして今回の記事である。

 「週刊プレイボーイ」2013年 NO.18・19号に掲載された上村雅之氏へのインタービュー記事において、同氏はファミコンカラーについて安価説をきっぱりと否定。むしろ「逆に高いプラスチックを採用した」と述べた。

 そして赤(記事ではえんじ色)を採用した理由については以下のように言及したのだ。
>単純に社長命令だったんですよ。
>社長がよく巻いていたマフラーの
>色もあんな感じのえんじ色で(中略)
>それが真実です(笑)


 社長指示説が再び、復活した瞬間である!

 上村氏も間違った説が蔓延している状況をよく思ってなかったのだろう。わざわざプラスチック安価説を否定して「これが真実です」と締めくくった。これはもう確定でいいだろう。ついにファミコンカラー論争に終止符が打たれたのだ。

 これでやっと長年の疑問が解消されたぞ、ありがとうプレイボーイ!




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コメント

いつも楽しみに拝見させていただいてます

つるぎざきさんの記事にしろ、ファミコン本体のカラー問題にしろ、長期に渡って取り上げてしかもとりあえずの決着をつける!ファミコン世代は興奮、溜飲じゃないですか

そんなオロチさんのブログこれからも楽しみにしています 

コメントありがとうございます。今年はとくに30周年というメモリアルイヤーですから、これから色んなことがどんどん盛り上がっていくと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


>なのに訳のわからん奴らが急に「プラスチックが安かった」とか言い出して、社長云々は“説”の1つになっちゃったってことか!

国営放送で堂々と噂の域の話を実話の様に流されたんじゃ、「何の為に受信料払ってるんだ??そんな金が有るならプレイボーイでも買うわ。」ですな。

どうでもよいツッコミしますがNHKは国営放送ではないようで公共放送なのだそうで
国営放送の解釈が、国の税金及び国の役所で運営しているテレビ局だそうです。

本題に戻ります。ちゃんと検証や取材せず単なる噂かもしれない情報を堂々と放送するのはやはり問題がありますね。 僕は最初、社長指示説を聞いていたがプラスティック
安価説を聞いてNHKで言ってる方が正しいのかと勘違いさせられそうになってしましました。

そもそも、件の「ビデオゲーム 巨富の攻防」自体、
書籍版を読んだ人なら分かる通り、意図的に任天堂を悪に仕立てる書き方でしたからねえ。
テレビ放送版はその点は割と抑えてるのであまり目立たないんですが、書籍版はもう書きたい放題だったというか・・・

そういえば90年代初期にゲーム脳論が流行っていて年寄りが孫にゲームは危険だという教育していたが有ったが時がたつとゲームが悪いんでなくゲームごときで変な行動に走るやつが悪いと結論づいたが当時は、ゲームで儲けた企業を敵視してもおかしくないですね

「ファミコンが赤なのは赤のプラスチックが安価だったから」という根拠は「新電子立国」という話ですが、書籍版を読んでいて気づいたことがありました。

テレビ番組の「新電子立国」では三宅アナのナレーションで「ボディのプラスチックは製造コストの安い白と赤を選んだ」(54分25秒)

確かにこのナレーションだと、赤のプラスチックがコストが安いからと解釈できるのですが、書籍版の「新・電子立国〈4〉ビデオゲーム・巨富の攻防」の記述だと、こうなります。

>ゲーム機本体の値段を安くするために、上村さん
>たちは考えられる限りの工夫を凝らすのである。
>筐体の形も色もコスト削減のために徹底的に単
>純化された。形が複雑になれば、金型の加工賃
>が高くなり、色を増やせば材料と工程が増えて
>コストに跳ね返った。筐体の形は単純な矩形で
>配色は白と赤の二色。あらゆることをコスト低減
>から検討し、役に立つことは全て実行した。
(相田洋、大墻敦「NHKスペシャル 新・電子立国 〈4〉ビデオゲーム・巨富の攻防」279-280頁)

「徹底的に単純化された」「色を増やせば~コストに跳ね返った」とあるように、製造コストのダウンに繋がったのは、白と赤の二色しか使わないことであって、赤のプラスチックが安いと言ってるわけではない、と。

ナレーションも「製造コストを安くするためにボディのプラスチックも製造コストを安くするために白と赤の二色のみにした」なら誤解されなかったんでしょうが、「ボディのプラスチックは製造コストの安い白と赤を選んだ」は間違いではないとは言え、結果的には端折りすぎだったいうことになりますね。

なるほど。そういう解釈もできますね。ぜんぜん気づきませんでした。そこから誤解され、デマになっていったという可能性はたしかにあります。

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