岩田聡によるファミコン最初期のプログラムコードが発見される!?
2016年08月25日10:17
ニュース

それは、ゲームのプロトタイプ研究家であるFrank Cifaldiさんのツイート「私はゲーム史に残る物を所有しています」から始まりました。
I have just acquired and preserved an incredible piece of video game history. It will take a few tweets to explain: pic.twitter.com/CvRgPX7TPv
— Frank Cifaldi (@frankcifaldi) 2016年8月15日
These are boards for the Famicom. I don't know if the BOARDS are authentic, but the rewritable EPROMs are def. old. pic.twitter.com/TTUsBy3GX1
— Frank Cifaldi (@frankcifaldi) 2016年8月15日
これらファミコン用のプロトタイプです。本物かどうかわかりませんが、書き換え可能な古いEPROMです。中身は『ハイパーオリンピック』『サッカー』『スターゲイト』『ジャウスト』です。
Frank Cifaldiさんはこれらのお宝をヤフオクで手に入れたんだとか。
I dumped the ROMs. All but Soccer are definitely earlier-than-retail code. Here are some clear differences in Joust. pic.twitter.com/uGeEbSJWmK
— Frank Cifaldi (@frankcifaldi) 2016年8月15日
以下、このようにつづけました。
『ジャウスト』には興味深い歴史があります。元々このソフトは任天堂とATARIの提携作品として生まれました。プログラムをしたのが任天堂の前社長である。故・岩田聡さんだったのです。(当時はHAL所属)
しかし、なんらかの事情により、その夢のコラボレーションは実現しませんでした。
結局、任天堂はそれをお蔵入りさせてたのですが、1987年にHAL名義で発売されることになりました。したがって、このプロトタイプ『ジャウスト』は任天堂のために岩田聡さんが書いたもっとも最初期のコードに間違いありません。
このオークションを発見したFrank Cifaldiさんはシリアルコードに注目。これらは1984年に作られたと考えました。つまり彼は、このプロトタイプ『ジャウスト』が製品版とは大幅に違う可能性が高いことを見抜いたのです。
実際に、彼が入手したプロトタイプ『ジャウスト』には製品版と明らかに違う点がいくつかあったという。

このお蔵入りした『ジャウスト』がその後、名作『バルーンファイト』につながったという話はマニアの間では有名ですね。しかも岩田さんはのちに任天堂の社長になっている。そう考えると、これは歴史的にも非常に意義のあるプロトタイプだということがわかります。
さらにこんな物も……
Here are the auction photos. See how the text is scrolling in the third shot? That isn't possible in the final game. pic.twitter.com/Uz3utnr7oJ
— Frank Cifaldi (@frankcifaldi) 2016年8月15日
私は同じ売り手から『スーパーマリオブラザーズ』のプロトタイプも発見しました。得点表示などのテキストがスクロールします。これは製品版にはない演出です。(バグかもしれませんが)
この出品者は他にも同じようなプロトタイプをいくつか出品していたんだとか。ぜんぜんスルーしてたなあ。いつだったっけ。
製品版とは異なるプロトタイプゲームは、ゲーム開発についての様々な発見や洞察を提供してくれます。しかしこれらのROMは上書きされ最終的に廃棄される運命であり、本来は市場に出回らないものです。Frank Cifaldiさんのようなマニアがいなければ、それらの貴重な資料は、永遠に闇へ葬り去られていくのでしょう。
情報元:Sketchy Auction Turns Out to Be a Rare Nintendo Prototype (WIRED)
(※2016/8/29 追記)
その後、当ブログの調査で該当するオークションを見つけたので貼っておきます。
・激レア ファミコン デバッグ基板 の ジャウスト (8/16) (ヤフオク!)

こちらの出品者は先月下旬、ファミコンのデバッグ基板なるものを複数出品していました。説明文はすべて共通で以下のようなものでした。
製品版マスクROMの基板ではなく、評価、デバッグ、テスト用E2PROM版基板に、
製品版かそれに近いソフトが焼かれ実装されたものです。
ソフトのデバッグ、製品にする前にのエージングなどにも使われたものです。
冒頭には「基本的に門外不出のものです」とあるので、出品者もこれがどういうものかは理解していた模様。
また、商品発送元地域が京都府(任天堂の本社がある場所)となっていることや、8月にはゲームボーイの開発基板などを出品していることも見逃せないポイントなんですが、怪しかったからという理由でスルーしたコレクターも多く、真贋についてはいまだにハッキリしてないのが現状です。
<参照リンク>
・激レア ファミコン デバッグ基板 の スーパーマリオブラザーズ
・激レア ファミコン デバッグ基板の スターゲイト (14/16)
・激レア ファミコン デバッグ基板の ハイパーオリンピック(15/16)
売り上げランキング: 118
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