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闇のファミコンソフト『藤屋ファミカセシリーズ』の正体が判明

<ファミコンと毛糸の店>

 その店は藤屋と言った。小さな毛糸販売店である。しかし80年代末期から、いつしかそこは「ファミコンと毛糸の店」と呼ばれるようになっていたという……

 毛糸屋さんとファミコンにどんな関係があるのだろう。まさか『アイアムティーチャー』シリーズを売っていたからというオチではあるまい。その答えは藤屋店長の息子。通称「ドクター前田」と呼ばれている人物(当時35才)が、自主制作したファミコンソフトを売っていたからだったのだ……

 そのファミコンソフトこそ、藤屋ファミカセシリーズである。

hujiyafamikase11.jpg
 ※藤屋ファミカセシリーズ3 (画像提供:非売品ゲームコレクターじろのすけさん)

 このソフトの名前を知っているひとは、相当のファミコン通だ。

 なぜならこれはマニアの間でも正体がまったく不明だったからである。そのため、長い間、裏物を含むファミコンソフトを網羅したサイトや書籍にもその名を見ることはなかったし、レトロゲーム店の買取リストにも掲載されることはなかったのだ。言うなれば、知るひとぞ知る「闇のファミコンソフト」である。

 それでも、ごく稀に市場に出ることがあったため(参照リンク)、存在だけは確認されていたのだった……



<キーワードは高田馬場>

 しかし、このソフトを幸運にも手にした者には、その正体について最大のヒントが与えられていた。なぜならこのゲーム、タイトル画面にご丁寧にも製作者の名前と住所が記載されていたからである。

hujiyagamegamen.jpg
 ※『藤屋ファミカセシリーズ4』タイトル画面より

 さすがにプライベート情報なので黒塗りさせてもらったが、この通りである。

 この画面によると、シリーズ名(※1)はフジヤシンキングゲームズ。製造年は1987年。ということも読み取ることができるだろう。

 ※1:2017年10月5日修正



hujiyafamikase10.jpg
 ※『藤屋ファミカセシリーズ3』(画像提供:非売品ゲームコレクターじろのすけさん)

 こちらのソフトにいたっては、カセットのラベルに住所と電話番号が書いてある始末。当然、無許可だったはずだが、堂々としたものである。



<FCソフトを自主制作した天才医師>

 それどころか、このドクター前田なる人物。1990年1月1日は発行された大人のためのファミコン情報誌「Gアクション」に、ファミコンソフトを自主制作した天才医師という触れ込みで、インタビュー記事が掲載されていたから驚きだ。

Gakushon0.jpg
 ※漫画アクション別冊「Gアクション」創刊号。切り口が面白い記事が満載。


 この記事によると、彼は某医大を卒業後、医療用レーザーの研究に着手。都内クリニックでレーザー治療を担当するれっきとした医師だという。

hujiyafamikase02.jpg
 ※ちなみに同記事内にファミコンを代表するインディーズソフトの製作者として田尻智さんの記事も載っているところが興味深い(参照リンク


 ファミコンソフト制作を始めたきっかけは25才のとき。科学計算をする目的で「コモドールVIC-1001」というコンピュータを購入したこと。たまたま6502というファミコンと同じCPUだったため(ファミコンのCPUは正確に言うと6502ベースのRP2A03)、とりあえず将棋のゲームをつくってみたということだ。

 もうすでにこの時点で天才である。

 源平碁や神経衰弱みたいな思考型ゲームは、グラフィックやサウンドに凝る必要がないので、休日を利用して、僕一人でもすぐにできてしまうと思ったんです。

 ※同インタビュー記事より

 そして1980年代後半にとうとう、ファミコンソフトを製作・販売するに至った。その舞台が冒頭の「ファミコンと毛糸の店」だったわけだ。




<藤屋ファミカセシリーズの種類>

 注目は当時、お店で配られていたという手作り感あふれるチラシである。
 
hujiyafamikase010.jpg

 これによると『藤屋ファミカセシリーズ』はA~Eまで5種類あったことが確認できる。

 このチラシの存在によって、現時点で確実に存在することがわかっている、非売品コレクター・じろのすけさん所有の上記の2本はそれぞれ「3=D」、「4=B」であることが判明。また「A」なるディスクバージョンが存在することも新たに判明した。

hujiyafamikase01.jpg

 こちらはパッケージに裏画像である。

 『源平碁』は日本古来のゲームであり、最近では「オセロ」と呼ばれてるそうだ。『逆源平碁』は石が少ないほうが勝ちというルールだという。左下に書かれた「ファミリーコンピュータとオセロは他社の登録商標です」という文言にはニヤリとさせられるが、それよりもパッケージがあったということに注目したい。



<思いもよらない事実>

 このインタビュー記事、なぜか後半はUFOの話に終始しており、それ以上の有益な情報は載っていなかった。そこで私オロチはドクター前田という人物に突撃取材するしかないと考え、彼が現在、どこで何をしているのか調査を開始。

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 ※同インタビュー記事よりドクター前田氏


 まずはドクター前田氏の本名と同姓同名の人物が、ゲームプログラムもできる「天才医師」として過去に数冊、本を出していたことが判明。
 その後、藤屋とまったく同じ住所の建物の中に、ホクロなどを除去するレーザー治療医院があることを発見。(書くまでもないと思うが、現在、藤屋は存在しない)その院長の名前も同姓同名であり、病院のホームページにはゲームのことはいっさい触れられてなかったものの、プロフィールを見たところ趣味に「UFO関連」とあったため、同一人物と断定。(UFO情報有益だったよ!)

 もしかしたら、取材できる?
 そう思った矢先、思いもよらない事実に突き当たってしまったのである。


maedaiin0.jpg
 ※ググった結果


 なんと、そのレーザー治療医院は、2016年3月25日に閉院していたのである。その病院のドアには、誰かの手書きでこのような張り紙がしてあったという。

 「院長、急逝のため閉院いたしました」


 ただただショックだった……
 ブログやツイッターの言及を見ると、たいへん人気のドクターだったようである。たしかに病院のホームページはアーカイブで確認したので正直「閉院してる」ことは覚悟していた。しかしまさかそんな原因だったとは思いもよらなかった。閉院を惜しむ患者の皆さんとは、まったく違うアプローチでこの事実にたどり着いた立場ではあるが、せめてご冥福をお祈りしたい。



<まとめ>

 今回の調査では今まで謎に包まれていた『藤屋ファミカセシリーズ』について、多くの新事実が得られた。

 そして何よりも「ドクター前田」という人物のひととなりに、ほんの少しだけ触れることができたような気がして感慨深いものがあったのだ。しょせんは裏物。裏ソフトの類なのもしれない(インディーズという言葉もある)。それだけの理由で距離を置くレトロゲームファンもいるだろう。しかしそこには必ず人間が織りなす物語がある。

 私はこれからもファミコン考古学の1ページとして『藤屋ファミカセシリーズ』の物語をつむいでいきたいのだ。



orotima-ku1.pngひきつづき調査中。
有益な情報待ってるよ!!





 スペシャルサンクス:非売品コレクター じろのすけ さん(オタク旦那と一般人嫁

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コメント

天才とオカルトといえばエジソンもオカルト研究してたの思い出した

2ちゃんねるのスレを見ると、予約が半年以上、夜11時までの激務を
激安料金で一人でこなしていて、嫌になって逃亡した説がありますね。

闇でファミコンゲーム作ってたり、ミステリアスな人だったんですね。

 
権利を買って、復刻として出す互換機メーカーが出ないかな?

前田先生は横浜市立大卒で2chで自分の医院のスレに書き込んでたなぁ
ホクロ取りが安かった

これ、バックアップ活用テクニックに広告を出してませんでしたっけ?

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