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トリビア検証「アポロ11号は本当にファミコン以下だったのか?」

◆ファミコンで月面着陸◆

 皆さんは以下のようなトリビアをご存知だろうか?

 No.215

 月面着陸に成功した
  アポロ11号の
   コンピューターの性能は
    ファミコン以下


 (56/100へえ)


 これは2003年9月10日、かつて人気を博したフジテレビのバラエティ番組『トリビアの泉』にて放送されたものである。現在でもWEB上の様々な場面で言及が見られる有名なトリビアだが、その印象的な内容のわりには56へえという低評価だったようである。パネラーの一人・荒俣宏先生にいたってはたったの2へえだった。

 かくいう私オロチも、このトリビアに関してはむしろ0へえでもいいぐらいだと思っているクチなのだ。今からその理由を述べていこう。




◆50年前の昔話◆

 まず、指摘しておきたいのはアポロ11号が月面着陸したのは今から50年前の昔話だということ。西暦で言えば1969年7月19日――

 僕らが生まれてくるずっとずっと前である。

as11-40-5874_medium.jpg
 画像:NASA Image and Video Library


 一方、ファミコンの発売は1983年7月15日――

 なんと、そこには14年もの開きがあるのだよ!

 14年といったら小さくていい匂いがしてあんなにかわいかった赤ちゃんが、ニキビ面で反抗期まっただなかのクソ生意気な中学二年生になってしまう歳月だ。コンピュータの進化は日進月歩。その昔、人類の偉業に携わったコンピュータより、14年後の子どもの玩具のほうが性能が上回るなんてこと、普通にコンピュータあるあるじゃないのか!?




◆作為的な構図◆

 それでも、あえて、このトリビアをとトリビアたらしめているものは何なのかという視座に立つならば、私は以下の2点の邂逅だったと表現しよう。

S69-38677_medium.jpg
 画像:NASA Image and Video Library

 1.すなわち、人類は今から50年も昔の原始的なコンピュータで月まで行けたくせに、それから(※)現在に至るまで結局、誰も行ってないじゃないかという不可解な事実がこの偉業をより際立たせているという点。

 2.もうひとつは、このトリビアが放送された2003年はファミコン20周年であり、それなりに盛り上がってはいたものの、すでに爆発的に世界へ普及していたPS2をはじめとする当時の最新ハードの前では骨董品も同然。その高い知名度が災いしてか、ショボいゲーム機の代名詞に成り果てていたという点だ。

 ※ 正確には1972年12月11日、アポロ17号が6度目の月面着陸を成功させて以降



 本トリビアは、本来、まったく関係ないこの2つの要素が出会ったことによって、「人類史上、稀に見るチートな偉業に携わったコンピュータが、あの誰もが知ってるショボいゲーム機より性能が劣っていた」という作為的な構図を成立させていたのである。

 むしろこのような作為的な構図を生み出す視点の妙こそ“トリビア”という発明だったのかなあ、なんて思ってみたりする。




◆ネタにマジレス◆

 ただし、このトリビアについては視点の妙だけでは、とてもじゃないが補いきれない、無数のツッコミポイントがあるので話は別だ。以下に列挙してしまおう。


●実はそれほど性能が要らなかった
 アポロ11号に搭載されていたコンピュータ「Apollo 11 Guidance Computer(以下AGC)」は軌道を制御するためのものであり、画像を処理するわけじゃないので、そもそも画像処理に長けたファミコンほどの性能は要らなかったと言われている。

●重量の関係上、必要最低限の機器だった
 ことのほかシビアなことで知られるロケットの重量制限の中で、必要最低限の性能しか搭載できなかったAGCだったが、複雑な計算はすでに地上のコンピュータで済ませていたので、それでも問題なかったという。

●信頼性重視であえて古い機械が選ばれていた
 さらに言うと、当時、ロケットに搭載するコンピュータは最新機器ではなく、宇宙空間での安定動作や、信頼性が重視されあえて古い機種のものが選ばれていたとのことだ。

●本当はファミコン2台分だった
 AGCの性能はファミコン2台分だったとするデータも存在する。これが本当だとすると少しインパクトに欠けるトリビアになってしまうだろう。(参照

●そもそも月へ行ってない
 信じるか信じないかはあなた次第です。


 最後の陰謀論はともかく、まとめると、性能が上なのか下なのか、という判断はどこをどう切り取って比較するのかで変わってくる話であり、たとえスペック上でAGCよりファミコンの性能のほうが上だったとしても、用途がまったく違うため「比較しても無意味」という元も子もない境地へ辿り着くことができよう。

 それでもまだ疑い切れないならば、アポロ11号にファミコンを搭載して月へ行くところを想像してみてほしい。あれ、、、案外、楽しいかも(笑)




◆元ネタを探せ!!◆

 最後に、アポロ11号(AGC)とファミコンを比較するという、スキャンダラスな構図を世界で一番最初に発見した人物を探してみたい。というのも『トリビアの泉』はあくまでも投稿ネタ番組であり、必ずしもオリジナルとは限らないからだ。

 さっそく調査してみると、案の定、私はWEB上に以下のような記述を発見したのである。

 アポロ11号が月面着陸に成功したとき(中略)、月着陸司令船に搭載されていたコンピュータは、初代ファミコン(赤白のやつ)よりも貧弱なもの・・・とのこと。 そんなので、よくもまあ月まで行けたもんだ。(また旅日記 - mataTabi Diary -


 この記事にはフロリダ州にあるNASAのケネディ宇宙センターを見学したときの様子が綴られていた。更新日は1999年11月27日である(改竄されているような様子は見られない)。『トリビアの泉』の放送日の4年前でありWEB上では確認しうる限り最古だと思われる。(※日本語圏のみ)

 気になるのは肝心の箇所が「とのこと」という伝聞調で終わっていることだ。これもまた元ネタではない可能性が高い。

 少なくとも「トリビアの泉」がオリジナルでないようだ。

6900952_medium.jpg
 画像:NASA Image and Video Library

 以下蛇足。私オロチはこの記事を読んだとき、学生時代に(英語ペラペラの姉と二人で)このケネディ宇宙センターへ行ったことがあるのを思い出したのだ。観光客は専用のバスに乗せられ、広大な敷地内を移動。所々でビデオを見せられていた。もしかしたらその解説の中にアポロ11号のコンピュータがファミコン(NES)並みだったという話があったかもしれないが、残念ながらそのような記憶はこれっぽっちも無いのだった。



orotima-ku1.pngう~ん、着陸失敗!



<参考文献>
The Apollo guidance computer: Hardware|Ch2-5
月とコンピュータ ≪ さくらインターネット研究所
apollo11号のソースコードを読みつつ - aerith7’s blog
【第13回】〈一千億分の八〉アポロ11号の危機を救った女性プログラマー、マーガレット・ハミルトン | 『宇宙兄弟』公式サイト
アポロはファミコン2個分。コンピュータの進化を1枚にまとめた画像 | ギズモード・ジャパン
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コメント

なんで今という感じがしないでもないけど、トリビアはネタ元が他にあるというか、それ系が多かったかと。色々と問題になってたりしたし。パクリ疑惑とか、本当かどうかの検証も必要のようなネタも多く…なのでか後半は、○○説みたいな検証番組になってましたね。

おっしゃる通りこのトリビアの検証は10年くらい前からやらなきゃなと思っていたら、今に至ったという感じです。今後、「アポロ ファミコン」で検索したらこの記事が上位に出てこればいいなあといったスタンスですね^ ^

真偽は定かじゃないですが、このトリビアは放送作家の北本かつら氏が考えたものらしいそうです。

ちょっと前には○○の容量はドラクエ未満だの以上だの
そんな記事も結構あったような。これもふーんそうだね、という程度。

あの伝説のジャンプ放送局はがき職人「竜王は生きていた」さんですか!?

僕らはこの街がまだジャングルだった頃から

1969年7月19日――

 僕が生まれてくる3ヶ月前である。

ファミコンで月まで行けたんなら
プレステ2だと冥王星辺りまでは
行けそうですね。

NEC PC-9801(8086~80286)程度って話を聞いたことがあるんだが、地上の管制装置含めての性能だったかも知れない

いい加減でスイマセン、それこそファミコンが出た当時の噂話なので……

オロちゃんニュース!!
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