『Desert Bus』は1995年にリリースを予定していたメガCD専用の未発売ゲーム『Penn & Teller's Smoke and Mirrors』に収録されていたミニゲームである。
アリゾナ州のツーソンからネバダ州のラスベガスまで砂漠の中の道をひたすら走り続けるだけという内容が、あまりにも意味不明だったため、
カルト的クソゲーとして知られている。
※8時間プレイ動画 BGMは一切なく、車窓から見えるのは砂漠のみ。終点ラスベガスへ到着するのにリアルタイムで8時間もかかる上、クリアボーナスは1ポイントのみ。ゲームを中断しようとスタートボタンを押してもクラクションが鳴るのみという、のみのみ尽くしで、しかもバスは何もしないと右へ少しずつ寄っていき道を外れてしまうため、何らかの方法でアクセル(Aボタン)を固定して放置するというずぼらな手法さえ通用しないという
鬼畜仕様となっている。
※冒頭の場面より このゲームをプロデュースした
Penn & Tellerは70年代からラスベガスで活躍する、毒舌の大男と何も喋らないチビからなるコメディアンコンビ。ポリゴン技術などの進歩によってリアリティへ追求が加速していた当時のゲーム業界の風潮に対して、「実際に砂漠を走るバスをリアルに再現したらこうなりました」という、いかにも西洋的な皮肉を利かせたのだろう。
クラクションが鳴るだけというスタートボタンの仕様についてもご丁寧に
「人生にポーズ機能などありません」とマニュアルに書かれていたんだとか……
そんなクソゲーが現在までに4億円以上のお金を集めていると聞いたら驚くだろうか?
海外ゲームメディア
「Polygon」によると、現在このゲームは2007年から開始された「Desert Bus for Hope」という慈善プロジェクトに利用されているとのこと。
https://desertbus.org/ きっかけはこのゲームを入手したカナダのグループが、あまりにも退屈な内容に一計を案じ、「お金をくれた分だけゲームを続ける」という企画をストリーミング配信したことだった。面白がった視聴者がお金を投入しつづけ、結局、7万ドルも集まってしまい、おかげで彼らは5日と5時間5分も砂漠の中を運転し続けるはめになったという。
このプロジェクトは現在も続けられており、今年だけ65万ドル以上が集まっている。過去10年間を累計すると、じつに
400万ドルを越えるという輝かしい結果を残しているのだ。日本円に換算すると4億円を越える額である。
集まった寄付金は「Child’s Play」という慈善団体へ託され、玩具やゲームなどに姿を変えた上で、世界中の100を越える病院にいる子どもたちへ届けられているとのこと。バスが乗せていたのは客ではなく玩具やゲーム。行く突く先はラスベガスではなく子どもたちの笑顔だったというわけだ。
|  | 最悪のクソゲーと呼ばれたゲームが、 子どもたちのために役立ってるなんて、 世の中、何がどう転ぶかわからないね! |
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SOURCE:
Desert Bus for Hope eclipses $4 million lifetime mark(Polygon)
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