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「本物のコレクター」という謎ワードをめぐる雑考

 正月休みに自分のコレクター観について改めて考える時間があったので、思ったことをとりとめなく綴ってみる。


<大絶賛の嵐>

 だいぶ前の話だが昨年9月、時計に1億円つぎこんだとあるコレクターが話題となったことを憶えているだろうか。ある程度楽しんだら「家ごと売っぱらいます」という姿勢がインターネットを中心に世間から「本物のコレクターだ」と絶賛されたのだ。

 その発言の一部を見てみよう。

 でもコレクターっていうのは、
 特に欧米のコレクターは割り切っていて、
 (収集)は50歳から60歳まで。
 全部あとはオークションに出しちゃう。
 仮に私のところに住んでもらっている。
 その期間たまたま私と一緒にいた(略)

 コレクションとはそういうものなんです。

 SOURCE:ある時計コレクターのおじさんの信念が潔くてすごくかっこいいと話題に「本物」「至極だけど難しい」 #家ついて行ってイイですか


 たしかに「潔さ」は感じる……

 でも、僕はこの記事を読んで世間の反応とはちょっと違う感想を抱いたのだった。その気持ちをうまく表せないまま年を越してしまったのだけど、最近、ようやく考えがまとまってきたので、あいかわらずゴールは見えないが、とにかく書き始めてみよう。

 最初に断わっておくと、以下の言及はこの方に対するものでなく、リンク記事を読んだ上で僕が理解した「欧米スタイル」についての言及である。決して個人に対する意見でないことをご了承いただきたい。



<それは趣味を兼ねた投資>

 僕はこの記事を読んで、欧米スタイルとは「期間を決めてコレクションを楽しみ、将来的に売却するスタイル」ということで理解した。ということは、つまり転売する前提でものを集めるということになるよね。当然、対象となるコレクションは最初から価値があるものが好ましいわけだ。でもそれって考えてみると資産を金の延べ棒に変えてるようなもんじゃない。割り切ってるっていうか「趣味を兼ねた投資」だよね。

 もちろんだからと言って否定する気持ちはまったくないし、そもそも特定のスタイルを良し悪しを問うつもりなど毛頭ないのだけれど、僕はどちらかというと損得勘定などせず、世のためひとのためというわけでもなく、ただただ自分自身の魂から湧き起こる知的好奇心のみで、誰も見向きしないもの、世間的には無価値なものを集め、追求している我が道を行くタイプのほうが好感を持てるんだよね。

 何を隠そう、僕自身が世間的にはまったく人気がなく捨て値で叩き売られていた頃からファミコンを集めていた人間だから……


orotige-mubeya.jpg
 ※オロチのファミコン部屋の様子


 そのかわり、世間(家族)からの風当たりは強いよ。できるだけ迷惑かけないように心がけてるけど、嫁さんに「この中で一番高いもの何?」とか「どうせならテレビとか出てくれ」ってよく言われるもん(笑)

 でも僕は金儲けや投資といった金銭的報酬なんかを活動の目的にしたくないし、ステータスや承認欲求といった社会的報酬をモチベーションにもしたくない。自分の内面から沸き起こる純粋な愛のみに従順でいたいのだ。(実現できてるかはともかく)

 したがって「我が道タイプこそ本物だ」なんて畏れ多いことを主張するつもりもないし、その他のスタイルに愛情がないとも思ってない。別に僕は世間的にはニセモノでぜんぜん構わないのだ。むしろ「このような欧米スタイルを大絶賛する世間という構図」を解剖してみたら、いろいろ面白い側面が見えてくるんじゃないかなあというほうに興味があるのだった。

 参照記事:ゲームは「無駄な努力を褒めてくれる装置」である論について




<無関心という悪魔>

 そもそも「コレクション」を辞書で引くと「骨董品とかアンティーク収集」とあり、主に「博物館や美術館の所蔵物を指した言葉」とある。ということは、さらに歴史をさかのぼると、ジャンルにも拠るが、その多くは王侯貴族の私物だったことが考えられるだろう。つまりコレクションという趣味自体がもともとは「貴族のたしなみ」だったのだ。本来、一般庶民には許されなかった娯楽なのである。

 それが現代になって、たまたま日本という豊かな国に生まれた我々一般庶民は、様々な娯楽を享受できるようになった。その裾野は、世間的には無価値なサブカル方面まで急速に広がっている。その弊害のひとつが近年、たびたびネットで炎上する「夫のコレクションを勝手に捨てる妻」や「息子のコレクションを勝手に売り払う母親」といった「コレ捨て問題」であろう。


 参照記事:妖怪「コレ捨てババア」は現代の闇だね!


 さっき僕はあえて「世間的には無価値」という強い表現を使ったけど、正確に言うと「あまりにもジャンルが多様化しすぎて価値がよくわからない」と言ったほうが正しいのかもしれない。僕はそこにこそ真理が隠れている気がするのだ。

 わかりやすく言うなら「無関心」ってやつ。



<シュレーディンガーの蛇>

 コレ捨て問題の多くは世間の無関心がなせる業だろう。ほとんどの一般庶民は誰かのわけのわからんコレクションに興味なんかない。個人的なコレクター観に至っては鼻クソよりもどうでもいい話なのだ。きっと……


 ここで僕はあることに気が付いたのだ。そこには世間的に無価値なものを嗜好する自分と、一方で世間の無関心を憂う自分が混在していたのである。

 これは矛盾だろうか? 
 ダブルスタンダードってやつ?

 一見、相反するような感情が重なり合っている状態など存在し得るのだろうか。そのあたりはまた次の課題にしたいなあと思いつつ、僕は今日もファミコンのコントローラを握るのだった。
 


orotima-ku1.png今回のワンポイント:「コレ捨て問題」はごく一部の貴族のたしなみにに過ぎなかったコレクションという趣味が多様化し、一般庶民にまで広まった結果、引き起こっている問題。なんだかんだ言って真剣に考えないといけないね!



 2018/1/7 文章を修正
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コメント

趣味を兼ねた投資だと も 思うけど、どうだろ?

購入額よりも売却益額が上がってないと 投資 とは言えないし、
単純な預金や国債での利率と比べて上がってないと、投資 と言えたかどうかは疑問
あと単体での売却額と、全部集めたことによる売却額で変わってくるだろうから、どうなんだろ

>主に「博物館や美術館の所蔵物を指した言葉」とある
「この部屋にあるXXは、アメリカの〇〇博物館にも所蔵されているが、世界に2つしかない」と言えばはったりでも結構納得されそう。

コレ捨て問題の最終的な問題は、死後どうするんだ?にもなるだろうしなあ
まあ将来のことはあんまり考えないわけで。捨てられちゃうのは忍びないが

コレクターって良く言うと情報の保全されてる方でその道のプロ。
悪く言うと幼児性の延長だと思う。

投資(趣味と実益)という方が人間らしくて逆に好感が持てる。
カネカネいうのも品が悪いが、普段の生活をおろそかにしてコレクターというのはちょっと順番が逆。そういう人多いよ。

5320さん
購入額よりも売却益額が上がってないと 投資 とは言えないという点、僕も考えました。たとえば額が大きいと所得税なんかも考えなきゃいけないし、よっぽどのプレミアがつかない限りマイナス計上になるでしょう。しかし、それが趣味を兼ねていれば、その分「楽しめた」という気持ちが担保になりますよね。そういう意味で「趣味を兼ねた投資」と表現しました。投資が必ずしも儲かるとも限りませんし。

オセロマルチビジョンさん
幼児性の延長とはこれまた興味深いワードですね。これは僕の「懐かしい」という感情に対する答えとリンクするものがあります。要するに我々は絶対に逃れられない「死」というものを本能的に恐れている。したがって、いつまでも死と遠い存在でありたい。そんな気持ちが幼児性だと解釈できます。
ただし、日本人は外見的な特徴がチンパンジーの赤ちゃんにそっくりな点とか、萌え文化やロリコン傾向の流行など。世界的に見てもネオテニーが進んだ人類だと僕は思っているのですが、コレクターってどっちかというと海外のほうが猛者が多い印象。この逆転現象は興味深いです。

コレクターとしての熱が引いたり、飽きたり、自分の余命を考えたりした場合、
飽きた自分や価値の分からない遺族にそのコレクションがないがしろにされるよりは、
別のコレクターに引き継いでもらって
愛情を注いでもらいたいという意味ではないかと思いました。
その意味でコレクションを大切に考えていると評価されたのではないでしょうか。

上記の時間経過による価値の感じ方の変化を自覚しているから、
50歳や60歳ぐらいで割り切って手放してしまう欧米のコレクターもいるということだと思います。
今の自分では集めていた昔ほどコレクションを大切に思うことができない、と。
紹介されているコレクターさんが「そこはそこで愛情を注がれて」と表現しているので、そのように読解しました。

そのためオロチさんの「ある意味投資対象」という見方は少し違うのではないかなと感じました。
一方でオロチさんの「コレクターならずっと熱があるのが当然でしょ!」という気持ちが伝わってきました。

投資の方がコレクションより自己肯定が低い行動であり「これは蓄財のひとつの手段なんだよ」は逃げと取れます。
なので私は純粋な自己満足によるコレクションの方が”より本物”であると考えます。
「あなたが死んだ後にコレクションの品はどうやったら換金出来る?」と聞かれたら
「私にも分からん。中古屋でも二束三文だろうし、ゴミ捨て場直行でいいんじゃない?」
がカッコイイ!
で、もちろん生きてるうちにちょっとでも捨てられたら「あれがなくなってる」と速攻で気が付く管理状態が理想。
超カッコイイ。

余談ですが、断捨離の本来の定義でも「愛着があり管理出来ているものは手放さなくて良い」ってなってますよ。
だいたい世に言う断捨離は「大量の捨」しか言ってないですからね^^

あ、それと男には収集分類癖がもともと本能としてあるようなので、貴族に限らず誰でもなんかしらの物を集めて愛でていたと思いますよ。

なるほど。逆に言うと 本物の投資 ではないのかな

そもそもの番組をさらっとしか見ていないのですが
その時計コレクターのおじいさんは
「欧米の時計コレクター」をさしてこのセリフを言っていたのではないでしょうか?
その前提に「時計は人間よりも長くもつものです」と言っていたと思うのです。
つまり、人間の寿命よりも長く生きるものを
「自分が死んだら棺桶に入れてくれ!」とか言う人たちはナンセンスで
他の方に受け継いで貰うのが欧米のコレクターたち
もっと言えば、家の邪魔だと言って捨てる奥さんなんかもいません
ってことだと思うんです。

なのに一部分が切り取られて、コレクションはうっぱらえ!だけ
一人歩きしてる気がします。
あ、勘違いしていたらすいません。

そもそも、この記事が間違っているということに気が付こうw
ピッカーズなどの番組を見てればこの記事が間違っているという事は直ぐに判る筈。
後、投資と言うにはまだまだ歴史も未熟で価格も高くない。
ゲームのコレクターに限るなら、好きな収集家で良いと思うよ悩む事じゃない。
むしろ、コレクターじゃないのにゲームが好きで集まっちゃった系はどうなの?って思いますw

記事にもありますが、この方個人への言及の意図はありませんでした。どんなスタイルであろうと愛情を注がれていると思います。誤解を与えて申し訳ないです。

まあ欧米のコレクター文化が違うから

欧米ではある程度の期間で集めて、飽きたら次の物を集める
次から次へで変えていくスタイルだったはず

まとめて譲るのも珍しくないし、次のコレクションへの原資にするのもありだし

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

>50歳から60歳まで。
 全部あとはオークションに出しちゃう。
 仮に私のところに住んでもらっている。
 その期間たまたま私と一緒にいた

 先日、ビートたけし氏が行ったという「生前遺産分配」。

 これに近い考えかな、宗教観とも関わりそう。

オロちゃんニュース!!
orotima-ku1.png Youtubeチャンネル「オロチレーベル」を開設しました!!
 失われたファミコン文化遺産「ショップシールの世界」2020年6月26日発売

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