「本物のコレクター」という謎ワードをめぐる雑考

2018年01月07日09:46  コレクター論 写真あり

 正月休みに自分のコレクター観について改めて考える時間があったので、思ったことをとりとめなく綴ってみる。


<大絶賛の嵐>

 だいぶ前の話だが昨年9月、時計に1億円つぎこんだとあるコレクターが話題となったことを憶えているだろうか。ある程度楽しんだら「家ごと売っぱらいます」という姿勢がインターネットを中心に世間から「本物のコレクターだ」と絶賛されたのだ。

 その発言の一部を見てみよう。

 でもコレクターっていうのは、
 特に欧米のコレクターは割り切っていて、
 (収集)は50歳から60歳まで。
 全部あとはオークションに出しちゃう。
 仮に私のところに住んでもらっている。
 その期間たまたま私と一緒にいた(略)

 コレクションとはそういうものなんです。

 SOURCE:ある時計コレクターのおじさんの信念が潔くてすごくかっこいいと話題に「本物」「至極だけど難しい」 #家ついて行ってイイですか


 たしかに「潔さ」は感じる……

 でも、僕はこの記事を読んで世間の反応とはちょっと違う感想を抱いたのだった。その気持ちをうまく表せないまま年を越してしまったのだけど、最近、ようやく考えがまとまってきたので、あいかわらずゴールは見えないが、とにかく書き始めてみよう。

 最初に断わっておくと、以下の言及はこの方に対するものでなく、リンク記事を読んだ上で僕が理解した「欧米スタイル」についての言及である。決して個人に対する意見でないことをご了承いただきたい。



<それは趣味を兼ねた投資>

 僕はこの記事を読んで、欧米スタイルとは「期間を決めてコレクションを楽しみ、将来的に売却するスタイル」ということで理解した。ということは、つまり転売する前提でものを集めるということになるよね。当然、対象となるコレクションは最初から価値があるものが好ましいわけだ。でもそれって考えてみると資産を金の延べ棒に変えてるようなもんじゃない。割り切ってるっていうか「趣味を兼ねた投資」だよね。

 もちろんだからと言って否定する気持ちはまったくないし、そもそも特定のスタイルを良し悪しを問うつもりなど毛頭ないのだけれど、僕はどちらかというと損得勘定などせず、世のためひとのためというわけでもなく、ただただ自分自身の魂から湧き起こる知的好奇心のみで、誰も見向きしないもの、世間的には無価値なものを集め、追求している我が道を行くタイプのほうが好感を持てるんだよね。

 何を隠そう、僕自身が世間的にはまったく人気がなく捨て値で叩き売られていた頃からファミコンを集めていた人間だから……


orotige-mubeya.jpg
 ※オロチのファミコン部屋の様子


 そのかわり、世間(家族)からの風当たりは強いよ。できるだけ迷惑かけないように心がけてるけど、嫁さんに「この中で一番高いもの何?」とか「どうせならテレビとか出てくれ」ってよく言われるもん(笑)

 でも僕は金儲けや投資といった金銭的報酬なんかを活動の目的にしたくないし、ステータスや承認欲求といった社会的報酬をモチベーションにもしたくない。自分の内面から沸き起こる純粋な愛のみに従順でいたいのだ。(実現できてるかはともかく)

 したがって「我が道タイプこそ本物だ」なんて畏れ多いことを主張するつもりもないし、その他のスタイルに愛情がないとも思ってない。別に僕は世間的にはニセモノでぜんぜん構わないのだ。むしろ「このような欧米スタイルを大絶賛する世間という構図」を解剖してみたら、いろいろ面白い側面が見えてくるんじゃないかなあというほうに興味があるのだった。

 参照記事:ゲームは「無駄な努力を褒めてくれる装置」である論について




<無関心という悪魔>

 そもそも「コレクション」を辞書で引くと「骨董品とかアンティーク収集」とあり、主に「博物館や美術館の所蔵物を指した言葉」とある。ということは、さらに歴史をさかのぼると、ジャンルにも拠るが、その多くは王侯貴族の私物だったことが考えられるだろう。つまりコレクションという趣味自体がもともとは「貴族のたしなみ」だったのだ。本来、一般庶民には許されなかった娯楽なのである。

 それが現代になって、たまたま日本という豊かな国に生まれた我々一般庶民は、様々な娯楽を享受できるようになった。その裾野は、世間的には無価値なサブカル方面まで急速に広がっている。その弊害のひとつが近年、たびたびネットで炎上する「夫のコレクションを勝手に捨てる妻」や「息子のコレクションを勝手に売り払う母親」といった「コレ捨て問題」であろう。


 参照記事:妖怪「コレ捨てババア」は現代の闇だね!


 さっき僕はあえて「世間的には無価値」という強い表現を使ったけど、正確に言うと「あまりにもジャンルが多様化しすぎて価値がよくわからない」と言ったほうが正しいのかもしれない。僕はそこにこそ真理が隠れている気がするのだ。

 わかりやすく言うなら「無関心」ってやつ。



<シュレーディンガーの蛇>

 コレ捨て問題の多くは世間の無関心がなせる業だろう。ほとんどの一般庶民は誰かのわけのわからんコレクションに興味なんかない。個人的なコレクター観に至っては鼻クソよりもどうでもいい話なのだ。きっと……


 ここで僕はあることに気が付いたのだ。そこには世間的に無価値なものを嗜好する自分と、一方で世間の無関心を憂う自分が混在していたのである。

 これは矛盾だろうか? 
 ダブルスタンダードってやつ?

 一見、相反するような感情が重なり合っている状態など存在し得るのだろうか。そのあたりはまた次の課題にしたいなあと思いつつ、僕は今日もファミコンのコントローラを握るのだった。
 


orotima-ku1.png今回のワンポイント:「コレ捨て問題」はごく一部の貴族のたしなみにに過ぎなかったコレクションという趣味が多様化し、一般庶民にまで広まった結果、引き起こっている問題。なんだかんだ言って真剣に考えないといけないね!



 2018/1/7 文章を修正
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