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任天堂・竹田玄洋氏の「D.I.C.E. Awards」受賞について

 今回は、任天堂の竹田玄洋さんが「D.I.C.E. Awards」生涯功労賞が授与されるというニュースについて感想などを並べてみたい。

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<そもそもD.I.C.E. Awardsとは?>

 1996年に設立されたAcademy of Interactive Arts & Sciences(AIAS)という非営利団体(前身組織は1992年設立)が1998年より選定しているゲーム賞である。本拠地は米国ロサンゼルス。その最優秀賞はゲーム・オブ・ザ・イヤー(GOTY)の名で耳にしたことのある方も多いだろう。

 この度、そんな栄誉あるD.I.C.E. Awardsの生涯功労賞に輝いたのが、「ハードウェアの魔術師」こと、任天堂特別顧問・竹田玄洋さんである。



<任天堂初のゲームデザイナー>

 竹田さんが任天堂に入社したのは1972年のこと。それ以来、長きにわたりハードウェア部門の責任者として開発に携わっていたことから、いつの頃からか、そのようなユニークな二つ名がついたのだろう。
 しかしながら、実は彼が任天堂初のゲームデザイナーであったことはあまり知られていないのではあるまいか。『EVRレース』

宮本「竹田さん、初代ですよね」
岩田「初代のゲームデザイナー?」
宮本「そうなんです。ビデオゲームをつくりはじめたのは、横井(軍平)さんより早いんです」
 ※出典:社長が訊く『Punch-Out!!』(任天堂公式サイト)



<代表作は『Punch-Out!!』>

 竹田さんの代表作といえば何といってもファミコンでもお馴染み『Punch-Out!!』であろう。


 ※こちらはファミコンの非売品バージョン

 このゲームは元々業務用につくられたもので、ニンテンドーDSに先駆けたDS(デュアルスクリーン)でもあった。なお、任天堂初のDSということならばゲーム&ウオッチのマルチスクリーンが先である。




<竹田玄洋の功績>

 さて、ゲームデザイナーに贈られることが多いDICE賞だが、今回、評価されたのはそんな竹田さんのハードウェア部門での功績である。私は以下の3つを挙げたい。

 そのひとつはFC・SFC時代のバッテリーバックアップシステム。あの長たらしい復活の呪文からファミコン少年たちを解き放ったのは他でもないこの魔術師だったのだ。ふたつめは64時代に設計した3Dスティック。八角形の穴から生えた奇妙なアナログキノコは、無垢な少年たちを3Dの世界へといざなったことだろう。そしてみっつめはWiiリモコンをはじめとするWiiハードの開発である。



 「高性能=良いゲーム機」という時代に生まれた異端児が、世界中のライト層を巻き込み大成功。任天堂株価を前人未踏の7万円台に押し上げた原動力のひとつとなったことは記憶に新しい。

 参照記事:歴代ハード・主要ソフトから見た任天堂株価の30年史




<過去には宮本茂さんも受賞!?>

 ちなみに2015年、任天堂が君島新体制になった際に竹田さんとともに同社の両翼として「フェロー」という新役職に就いた宮本茂さんも、とっくの昔の1998年にDICE賞に輝いている。しかし今回、竹田さんが受賞した生涯功労賞(Lifetime Achievement Awards)とは別の、栄誉の殿堂(Hall of Fame)という部門であった。

awa-domiyamoto.jpg
 ※Image:SPECIAL AWARDS(AIAS)

 このふたつの部門は何が違うのか。公式サイトなどを確認してみたが正直言って翻訳する気も起きなかった。日本の褒章と同じにおいがしたからだ(笑)



<DICE賞のやたら多い部門>

 そもそもこのアワード、部門の数がとてつもなく多いのだ。

<D.I.C.E. Awards>
・Game of the Year
・Overall
・Action
・Adventure
・Cellular/Mobile
・Downloadable
・Family
・Handheld
・Immersive Reality
・Massively Multiplayer
・Racing
・Role-Playing
・Strategy/Simulation
・Sports
・Fighting
・Casual
・Social Networking/Web-based
・"Outstanding" Awards
・Animation
・Game Direction
・Art Direction
・Character Performance
・Game Design
・Gameplay Engineering
・Immersive Reality Technical Achievement
・Licensed Soundtrack
・Online Gameplay
・Original Music Composition
・Sound Design
・Story
・Visual Engineering
・Technical Achievement
・Innovation in Gaming
・Console Awards
・Console Game of the Year
・Console Innovation (Creativity/Innovation in Console Gaming)
・Console Children's
・Console First Person Action
・Console Sports Simulation
・Console Action Sports
・Computer Awards
・Computer Game of the Year
・Computer Innovation
・Computer Educational/Skills
・Computer Family/Children's
・Computer First Person Action
・D.I.C.E. Sprite Award
・Technical Impact Award
・Award show hosts
・Hall of Fame
・Lifetime Achievement Awards
・Pioneer Awards


 ざっと拾っただけでもご覧の通り、めまいがするくらい無数の部門があるので「よくわからん」ってひとのほうがむしろ正常なんじゃないだろうか……

 ただ、こうした枝葉末節的とも思える地道なフレームワーク作りが、ゲーム業界全体を盛りたてる一助となっているのは間違いない。そう考えると、D.I.C.E. Awards関係者各位の皆さま方におかれましては、感謝の気持ちの込めてオロチ賞を授与いたします。(いらねえよ!)



orotima-ku1.png何はともあれ、おめでとうございます。
関連記事

コメント

こんにちは。ちょっとした質問です。
バッテリーバックアップを初めて使ったのは任天堂ではないと思うのですが、
竹田玄洋さんが開発した、というのはどういう意味なのでしょうか。
他機種で既に使われていましたし、ファミコンでも任天堂が初めてではないですよね?

確かに、SRAMを電池でバックアップ技術は組み込み機器の分野では、
70年代からある手法ですので、これをファミコンでも利用できるようにシステム化したということじゃないでしょうか?
ユーザーとしてはバッテリーバックアップはとても印象に残る技術ですが、ファミコン史上の功績としてはMMCの開発のほうが重要なのではないでしょうか?

おっしゃるとおり。電池によるファミコン用のバッテリーバックアップのシステムを開発したという意味です。ファミコンでは初めて採用されたのが87年4月に出たSETAの『森田将棋』だといわれてますが、もともとNES版ゼルダ(リリースされたのは87年8月)用に開発されたシステムだったので、D.I.C.E. Awards的には、とても印象が強かったのかなと思って、こちらを挙げさせていただきました。

返信ありがとうございます。
勘違いだったら申し訳ないのですが、セタ「森田将棋」やタイトー「未来神話ジャーヴァス」などのバッテリーバックアップは各メーカーの自社制作ではないのでしょうか?
任天堂のバッテリーバックアップが先に開発されていたのですか?
(めでたい話に水をさすような質問になって申し訳ありません)

森田将棋のバックアップはセタが開発したという証言はあるもの確実なソースが見当たりませんでした。ご存知の方がいたら教えてください。ちなみに海外の殻割り調査してるサイトによると、基板(PCB Producer)は任天堂のようです。
ttp://bootgod.dyndns.org:7777/profile.php?id=3479

ジャーヴァスのほうの基板(PCB Producer)はタイトーのようですが、バックアップシステムが自主開発なのかどうか。こちらもソースをご存知の方がいたら教えてください!
ttp://bootgod.dyndns.org:7777/profile.php?id=1763

任天堂のバッテリーバックアップが先に開発されたかどうかについては、実質役に立たなかったようですが単に「バックアップ」搭載ということでしたらファミリーベーシックが一番最初になるのかもしれません。

何でオロチさんがそんなことまで調べて答えなきゃならないんだw
なんか勘違いしてる人いるよね

 以前別のコメントで書いたのは、竹田氏が開発したEVRレースだったんですね。勉強になりました。そして竹田さん、お疲れ様でした。素晴らしい夢をありがとう。

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