PS版『serial experiments lain』初プレイ所感 他

2018年07月22日22:52  PS1・SS・3DO 写真あり

<注目!!>
任天堂が、海外の大手ROM配布サイトの訴訟に踏み切る。損害賠償請求額は100億円規模になる可能性も | AUTOMATON
 もう何十年も前から、海外では「SUPER MARIO」で検索すると上位にこういうサイトが上がってくるような状況だった。ずっとずっと放置されていたからなあ。これを機に、ヤフオクでやりたい放題やってる偽物業者や、最近メルカリで元気の良いコピー出品者も駆逐して頂きたい。

<ニュース>
中小のゲームセンターが消えていく本当の理由―― 「マットマウス鹿島田・新川崎店」の閉店がもたらす意味 - アーケードゲーム Arcade
 タイトルに「本当の理由」とあるが、記事を読むと「まあ、それしかないわな」という理由でした。

きみは「serial experiments lain」を知っているか 20周年を経ていまだ続く実験 - ねとらぼ
 記事ではゲームの話は出てこなかったものの、最近、念願かなってPS版を入手し、絶賛プレイ中の私にはタイムリーな話題だった。ネタバレを恐れて、飛ばし飛ばし読んだよ(笑)


<初プレイ所感(ムダに長いよ)>
lain0.jpg

 ついでに初プレイの所感のようなものを書き綴っておこう。最近、未プレイゲームがたまってきたので、時間をつくっては、適当に手に取ったやつをプレイしている。

 直近のADV遍歴はPCE『銀河お嬢様伝説ユナ』(94年)→、3DO『武 TAKERU』(93年)→、FCD『中山美穂のときめきハイスクール』(87年)だ。そのチョイスに何の意図も無い。なお、PS『serial experiments lain』は98年リリースということなので、私にとってはかなり進んだ時代のADVということになる。

 いったいどんな体験が待ちうけているのだろうか……

lain1.jpg

 ゲームを始めてまずこのサイバーチックなユーザーインターフェイスに驚嘆した。野心的である。プレイヤーは浮遊するチャプターのようなものを選んで、細切れになったストーリーを見ていくといった調子。しかしどこを選んでも良いという自由度には不安を覚える。私は「ゲーム性=自由度の高さ」ではないことを、多くのゲーム体験で学んでいたからだ。

 振り返れば『ポートピア連続殺人事件』の虫眼鏡コマンドや『さんまの名探偵』のかにかにどこかに?など、グラフィック画面をカーソル選択するという方式に対して、私は同じような不安をすでに抱いていた。『ときめきハイスクール』で序盤の教頭先生の背広の胸ポケット付近をノーヒントで2回調べなければ先に進めない場面も、この行為に何の意味があるのかと思ってしまったくらいだ。
 意味があるのか、なんて、ほぼ禁句に近い表現だが、私のいう意味には3つ具体性がある。たとえばこの「胸ポケット付近を2回調べるという行動」が今後、何かの伏線になるのか。もしくは何かの伏線回収だったのか。それともこの主人公の選択(正解ルート)には裏テーマみたいなものがあり、最後の最後にそれが判明するのか。どれでもいい。ああ、この主人公はこういう性格だからこの行動で正解だったんだな、意味があったんだな、って思わせてくれるカタルシスさえあれば!

 しかし現実のレトロADVはそうではない場合が多かった。


 ※「テレホンサービスありきの内容」この一言に尽きる

 たしかにその昔、このような引き伸ばしとしか思えないようなギミックがゲーム性だと思われていた時代があった。ストーリーを選択できるということ自体が面白かったし、画面のどこかを選ぶ行為自体が新鮮だったからだ。言うなれば当時のADVには時代性という大きな味方がいたのである。

 しかしそれは、同時に大きな呪いの始まりでもあった。すなわち「ストーリーとゲーム性の両立」というやつだ。ADVの肝はストーリーのはずだが、当時の作品の多くは「ゲーム性を取り入れなければならない」という強迫観念に取り憑かれていたように思う。そう言った意味では、PCエンジンCD-ROM2のアニメ系ADVなどは、ずいぶん吹っ切れていた作品が多かったが「こんなのゲームじゃない」「ただの紙芝居だ」という厳しい声があったのも事実。結局、呪われていたのはゲームではなく、ユーザーのほうだったというオチである。


 ※素朴な感じが良いが、プレイしてるところを嫁に見られたくはない作品だ

 最近は、夜中にやっている「キャプテン翼」をビデオに撮ったやつを子どもたちと見始めた。既に数話進んでしまったあとにテレビでやってることを知ったので、それまではレンタルDVDで昔の「キャプ翼」を借りて見ることにした。
 ――だが、いざ話が追いついて、新しい絵柄と声と演出になった「キャプテン翼」を見てみると違和感がハンパないのだ。これは単純に「今まで見ていたやつと違う」といった保守的な違和感ではない。絵柄や声や演出の素朴さがごっそり削ぎ落とされ、今風に生まれ変わってしまった作品がまったく別物に見えてしまうというジェネレーションギャップ的な違和感なのだ。現に子どもたちは何の抵抗もなく、新しい「キャプ翼」の世界へ滑り込んで行ったが、私は透明人間になった石崎くんに顔面ブロックでもされているのか。その門をくぐることはついにできなかったのだ。

 PCE『銀河お嬢様伝説ユナ』をプレイしたとき、内容はともかくとして、そんな旧キャプ翼を見てるときのような安心感があった。



 一方、3DO『武 TAKERU』はゲーム性などいっさい無かった。本当にただのAボタンを押すだけの紙芝居だったのだが、その世界観が独特で楽しかった。私はつくづく思う。ゲームは体験だと。つまり「今どき3DOでコレをやる」という付加価値は無視できないんじゃないの派の人間だ。ついこないだ、高田馬場ゲーセン・ミカド池田店長のインタビュー記事に以下のような言葉があったことを思い出す。

 ゲームセンターのゲームって、家を出た瞬間から冒険が始まっているんです。電車に乗って目的地に着いて、ゲームで遊んで腹が減ったら近くのラーメン屋で飯食って、最後は仲間と居酒屋行って飲みながらゲームについて語るっていう。

 感銘を受けたのだ。私はたまに雑誌でゲームレビューを書くことがあるのだが、あるとき、こんなことを言われたことがあった。オロチさん、もう少し客観的に書いてくださいと。ゲームのレビューを客観的に書いてくれ……だと……!?

 実際のところは、無記名レビューだったのであまり個性を出さないで欲しいという要望だったのだが、結局、そのレビューは、筆者の名前を出すことになって解決した。僭越ながら「それで正解だ」と思ったのだ。なぜなら私は、今の時代にレトロゲームをやること自体のイベント性を、置き去りにしたレビューなど不可能だと思っているからだ。箱から3DOの本体を取り出した時点から、すでに私の冒険は始まっていたのである。

 もちろんその個人が今までどんなゲーム体験をしてきたか、も重要な要素である。しかし残念ながら我々は、もはや当時、感じたようなゲーム体験などできやしないのだ、ということを自覚しなければならない。これをレトロゲーム体験の不可逆性とでも呼ぼうか、以上のようなことが、『lain』をプレイし始めてから5分くらいで私の頭をかげめぐった、だいたいの内容である。(長いっ!)

 これぞ、純度100%の私的レビュー。そりゃこんなこと書いてたら怒られるわ(笑)

lain2.jpg

 それにしてもこの子、ジャケ絵とゲーム中と顔が変わり過ぎなのが気になる。ファミコンみたいにまったく違うならハナから諦めもつくのだが、微妙に違うところに不気味の谷があった。せめて、私の中で彼女に対する唯一の識別記号である、この片方長いモミアゲが何かの伏線だったらいいなあと願うばかりだった。ただ、レインって名前は良い名前だと思う。ストーリーを進めるほどそう思わせるところが上手い。とくに「ちゃん付け」が良いのだ。もし娘が生まれたらレインと名づけよう、そんな妄想が頭によぎるのだった。

 以前、このブログにこのゲームのことを取り上げたら「アニメ版を見ないと意味がない」とのご指摘を受けたが、これはこれとして、このまま貫徹させてもらおう。そう決心しつつ30分ほどプレイしてセーブすることを思い立つ。しかし、いざ試みても「メモリーカードを差し込んでください」と頑なに拒否された。おいおい、メモリーカードならささってるじゃんか。調べたところ、なんとこのゲーム、PSのゲームなのでPS用メモリーカードでないとセーブできないことが判明。PS2でプレイしていたのがアダとなったか。結局、私の初プレイ30分は心のメモリーカードにセーブして終了。

 次回の『lain』はPS用メモリーカードを求めて、近所のハードオフへ出かけるところからのスタートだ!



orotima-ku1.png内容のこと、ほぼ触れてないは、わざとだよ……

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