脳内テトリスが突然バーンってつながった話「やる気のなかったM先生」


 高校のとき、ぜんぜんやる気のないMという地理の先生がいた。授業中いつも「めんどくせえ」とか「いやだ、いやだ」とか言ってんの。普通に考えたらそんなやつには教わりたくないよね。ただ残念なことに生徒たちもおしなべてやる気がなかったものだから、M先生とはウィンウィンの関係で皆うまくやっていたと思う。

 でも、その日は違ったのだ。

 元気だけが取り柄の空気読めない系男子Aくんってのが、いつものようにMが「いやだ、いやだ」って授業してたら、突然「そんなにいやなら、やめればいいじゃん」って小学生みたいなこと言いだしてさ。さすがにキレるんじゃないかって。一瞬、教室がしーんってなったのをよく憶えている。でもMのやつ、意外にも「そうかあ」とか言って口ひげを撫でながら、ほくそ笑んでいたんだよね。あの不気味な反応は何だったんだろう?

 月日は流れ、数年後――

 大学のときだったか社会人になってたか憶えてないけど、テレビ付けたらどっかの予備校のCMがやっててさ。ほら、よくあるじゃない。胡散臭いカリスマ講師とやらがたくさん出てくるタイプのやつ。すると、その中に見覚えのある口ひげの男がいたんだよね。

 もしかして!?
 テロップを見たら名前と科目が一致。

 おいおい、Mじゃねえか!


tetorisu02.jpg


 もうね、脳内テトリスが突然バーンってつながったよね。

 そういういえば高校のとき、こんな先生いたなあ。ぜんぜんやる気なかったよなあ。授業中Aくんになんか言われてたなあ。そうそう、やめろって言われてたっけ。そのとき不気味な反応してたなあ。口ひげ撫でながらほくそ笑んでたわ、そうか、あれはこういうことだったのか!って気付いた瞬間、記憶のテトリミノが全部つながって一気に解けたのだ。人生の転機っていうのかな。ほら。漫画でよくあるじゃない。おバカキャラが「オラ、よくわかんねえけど」とか言って芯食ったこと語りはじめるやつ。あれと同じでさ、あの日、Aくんの小学生みたいな煽りが、なぜかMの心に響いちゃったんだよねきっと。そんなん笑うしかないじゃない。

 その出来事からどれくらいあとなのかは知らないけど、Mは高校を辞め予備校へ転職した。そしたらどういうわけかカリスマ講師になってんの。なに天職、見つけちゃってんだよって。そう思ったらさ、なんだか嬉しくなっちゃってね、、、



orotima-ku1.pngおしまい

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