
1990年代――
米国を舞台に、任天堂とセガが繰り広げていた激戦は映画化されるくらい有名な話であるが、一方で、もうひとつの戦いがあったことは誰も知るまい。
Genericideとの戦いだ。
genericide 【名】
〈俗〉一般名称化による商標権の消滅[制限]
【語源】genericize + -cide
Genericide(ジェネリサイド)とは「一般名称化による商標権の消滅」という意味の専門用語である。とある商標があまりにも広まり過ぎて、そのカテゴリ全体を意味するようになると、商標としての機能を失い権利を行使できなくなってしまうことがあるらしいのだ。
インデペンデント紙の
記事によると今までエスカレーター、ヨーヨー、ジッパーなどが、そのような憂き目に遭ってきたという。したがって企業にとってGenericideの阻止は最重要ミッションであり、自社の商標がそのカテゴリ全体を示す言葉にならないよう、別の名称を広めようとするのが一般的な対策だった。同紙はその例として任天堂などのケースを挙げている。
たいていの企業は別の一般名を使うように勧めます。時々これはうまくいき、たとえば任天堂は「Games Console」という言葉を推しました。ゼロックスは「Copy」という言葉を好みました。ただしトランポリンを「rebound tumbler」と呼ぶ試みは見苦しく失敗しました。
おお、トランポリン、、、
ひとつの商標がカテゴリ全体を意味するといえば、日本では、それこそ
ゲーム機のことを何でもファミコンと呼ぶ「お母ん」という存在が想起される。

かつて多くのファミコン少年たちが、このお母んという存在に「あんた、ファミコンばっかやってないで、はよ宿題しいや!」などと怒鳴り散らされていた。しかしそれは対象のゲーム機がPCエンジンでもメガドライブでもお構いなく、スーファミになってもプレステやサターンの時代になっても関係なく、あまつさえゲームボーイやDSなどハンドヘルド機を楽しんでいるときでさえ、彼女たちは頑なに、それらのことをファミコンと呼び続けたという。
だがそれは何も日本に限った話ではない。海外のお母んだって、日本のお母んと同じようにゲーム機のことを何でも「Nintendo」と呼んでいたではないか、、、
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海外のオカンも「テレビゲーム=ファミコン」だったことが判明!? この世界的なミームは、今日に至るまで独特の文化を形成して来た。それでも任天堂はGenericideだけは阻止したということであろうか。事実、ファミコンやNINTENDO ENTERTAINMENT SYSTEMの商標が消滅した形跡は見つかっていない。

ちなみに、この話題について海外掲示板「
reddit.com」では、以下のような反応が見られた。
・マイクロソフトはXbox Oneを「the 360」のように
「the one」と呼んでほしいと願っています。
・Xbox Oneは本当に気の利いた名前だったね。
でもWii Uは駄目。Wiiの周辺機器だと思ってるひとが多かった。
・じゃあ「Xbox One X」は何て呼んでほしいの?
何の話やねん!
現在、英語圏では「Video game console」といえば、ほぼ家庭用ゲーム機を指す言葉として定着している。一方、日本では「ゲーム機」「テレビゲーム機」「家庭用ゲーム機」「コンシューマーゲーム機」「ゲームハード」などと呼ばれ、とくに決まった名称がないのが現状だ。そうなったのは全国のお母んたちの間で広まった「ゲーム機=ファミコン」という洗脳にも近い強烈なミームが、少なからず影響しているだろう。それどころか2010年代が過ぎたというのに行政ですらこのザマである、、、
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日本の行政はいまだに“ゲーム=ファミコン”だと思ってるらしい これで、よくぞファミコンがGenericideしなかったものだ。
|  | 日本では何か対策してたのだろうか、、、 |
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