かつて日本に存在したゲームメーカーIGSがファミコンで出す予定だった『少年魔術師インディ』がヤフオクへ流出する大事件が発生!!

オークション結果を見る前に、この出品があった直後から私の
昔のホームページのアクセス急増率がえぐいのなんのって。なぜかっていうと幻のソフト研究所というコーナーに『少年魔術師インディ』を取り上げてたからなのだ。
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幻のソフト08『少年魔術師インディ』-たった一人のファミコン少年 せっかくなので内容をおさらいしておこう。
◆少年魔術師インディとは?◆ 双葉社が出していたゲームブックシリーズ「少年魔術師インディ」をゲーム化しようとした作品。 原作は井上尚美氏、 キャラデザはワルキューレ等でお馴染み富士宏氏、 音楽担当はイノヤマランド。そしてゲーム中にでてくる占星術アドバイザーに占い師のマドモアゼル朱鸞氏 (誰やねん)という豪華なスタッフ陣で製作されたRPGである。
※マドモアゼル朱鷺の誤字であったことが判明(後述)
※主人公のインディと思われる 「ときの風」に乗ってさまざまな時代を冒険するというスケールのでかい内容で、たとえば100年前の時代に戻ってあることをすると100年後の未来が変わると言ったタイムリープ的な演出が物語の根幹であった。
戦闘で使える魔法はレベルアップして覚えるのではなく、薬草を入手し、神秘の法則に従って魔法陣上に配置することで新たな魔法を生み出すシステムだった。 薬草には塩や牛の血など全17種類あり、作り出される魔法は100種類以上もあったというから、これもまたスケールがでかい。何と何を合成したらどんな魔法ができるのかはゲームを進めていくと明らかになっていくが、 中には滅多にできないレアな大魔法も存在したという。
合体システムといえばファミコンでは悪魔合体で有名な『女神転生』シリーズや武器合体ができた『ラグランジュポイント』などが想起される、、、
◆独特の戦闘システム◆
※戦闘画面 戦闘で重要なポイントになったのが魔間距離(まかんきょり)と呼ばれる 敵との距離である。その値によってどんな魔法がどれだけ効果があるのかが決まったらしい。距離感という概念はRPGにはあまり見られない要素だね。
◆完成していたのか?◆ 私が入手した資料によれば、このゲームは90%完成していたというが、別の情報では100%完成していたという情報もあり、そこはハッキリわからない。しかしチラシや広告が制作されていたり、中には限定200枚のテレフォンカードなんてのもあった。これは読者プレゼントなどで配布していたものである。
※テレホンカードの様子 さらに当時のテレビ番組で何週かに渡ってゲームプレイ動画が紹介されていたらしく、ニコニコ動画にその様子がアップされていた。
ファミコンの発売中止ソフト数あれど、テレビでプレイ動画を紹介されていたのは『少年魔術師インディ』とあと2本ぐらいじゃなかっただろうか。これらの要素を考えると、やはり限りなく完成に近かったことだけは確かである。
◆発売中止になった理由◆ 気になる発売中止になった理由であるが、
発売予定が92年7月から93年12月にかけて延期につぐ延期を繰り返しておりスケールの大きな内容が仇となっていたことを思わせることから、いつの間にか時代がスーパーファミコンに移り変わってしまい最終的に「いまさらファミコンで出しても売れないだろう」という判断になったことは想像に難くない。
この時代、同じようなパターンで発売中止になったソフトの多いこと多いこと、、、
※フィールドの様子 結局、『少年魔術師インディ』というファミコンソフトの存在は魔法のように消えてしまったというわけだ。
◆本物なのか?◆ さて、400人以上がウォッチリストに入れていた空前のオークション。まず何よりもハッキリさせておきたいのは
「こいつは本物か」というところだと思う。
まずディスクシステムのRAMアダプタ形状のサンプルROMは過去に何例か実績があるため、かなり信憑性が高いということを指摘しておこう。

こちらは過去に流出したファミコン版『ファイナルファンタジー』のサンプルROMである。同じようにディスクシステムのRAMアダプタ形状をしており、中身はこんな様子だったそうだ。
あとこれは完全に個人的な見解なのだが、私の調査力を駆使して出処など様々な可能性をリサーチしたところ、少なくとも私は99%本物だと判断するに至った。
※まちの様子 これは具体的には言えないがとにかく99%本物であろう。
◆界隈の動き◆ そんなわけで私も参戦するつもり満々だったので、ひとまずレトロゲーム界隈の動きに注目していたのだが、興味深かったのは日本のコレクター勢がみんな空気を読んで、あえて目立ったアクションを見せなかったのに対して、海外勢は
「ゲーム保存」の名のもとに有志で資金を募っていたことだろう。
とある有名なプロトタイプコレクターの呼びかけに多くの協力者が手を挙げていたのだ。そういえば日本にもゲーム保存を謳うNPO団体、大学機関など存在するが、今回の件は動いていたのだろうか、、、
アザゼル先生、教えて! まあ、たとえ日本で同じように有志が資金を募ったところで「ケチョンケチョンに批判されておしまい」というオチが見えてしまうところが悔しい。珍しいソフトは手に入れたら即共有するという文化が根付いている海外勢はこういうとき団結力あるなあという印象だ。
いや、最終的に誰が落札したかは、わかんないけどね。少なくとも私じゃない(泣)
◆オークション結果◆ ということでオークション結果は以下のようになった。
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ヤフオク! - 非売品 未発売品(発売中止)ソフト☆ 少年魔術...
堂々の150万円越えだ!!
私の周りでは50万~80万という予想だったのだが、まさか2倍以上とは。

※魚拓より
ちなみに過去に『ラブクエスト』が流出したときは25万円だった。インディは10倍だぞ。10倍。(違う) 言うまでもなく今回の150万円は
ファミコンの発売中止ソフトの流出品としては文句なしの過去最高額である。
落札したのは誰だったのかなあ、、、
2019/5/26 追記1:
私が観測していた海外のゲーム保存団体は敗れたとのこと。
ますます、誰なんだ?
2019/5/26 追記2:
なんと、落札者様から匿名でコメントをいただきましたので公表させていただきます。
※証拠画像 以下、落札者のコメント。
このタイトルはファミコンの歴史の大きな1ページであって、非売品をコピーして売りさばく者の手に渡るのだけはどうしても避けたかった。だから、ゲームが本当に好きな人達は安心して欲しい。日本の宝として必ず守っていきます。約束します。出品元からもれたらどうしようもないですが。
2019/5/27 追記3:文中のマドモアゼル朱
鸞なる人物について、おそらく「マドモアゼル朱
鷺」の誤字だと思いますが、元の資料を紛失してしまったためただいま確認中です。(今回の記事は私の旧ホームページを参照してるため、その時点で誤字だった可能性が高い)
2019/5/27 追記4:元の資料「ファミコン通信92年4月10日号」を発見。なんと元から朱
鸞でした。誤字かもしれません。

2019/5/28 追記5:インディのチラシの裏の紹介文より占星術アドバイザーは「マドモアゼル朱
鷺」さんで確定です!
|  | ひとまずヤフオクがコピー品であふれることは無さそうだ、、、 |
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海外っぽいから日本には帰ってこないだろうけど