偉大なる嫉妬ゲー『サクラ大戦』編 【オロチの悶絶ゲーム評】


◆今回のお題◆

 第1回目のお題はセガサターン屈指の人気シリーズ『サクラ大戦』だ。


ハードドリームキャスト
発売日2000/05/25
メーカーセガ
備考セガサターン版(1996年)からの移植作品
プレイ状況最終話(10話)の終盤までプレイ済

<オロチの悶絶ゲーム評とは?>

orotinomonzetu.jpg ほぼファミコンしかやったことないファミコン親父・オロチがあえて予備知識0のまま、説明書すら読まずに古今東西の名作をプレイしていく珍企画。ときに怒り、ときに悲しみ、「あーでもない、こーでもない」と悶えながらも全力で作品を楽しんでいる偏屈ジジイのプレイ記録である。果たして彼は途中で悶死せずにエンディングを迎えることができるのか!?
 注意:文章には多くのネタバレが含まれます!





◆根拠のない愛は不安でしかない◆

 嫉妬とは醜いものだ。英語でも「Shit」といえばクソである。

 ただし空事とはいえ若い女から嫉妬されるのは案外悪くないものだ。本作『サクラ大戦』はいわゆる恋愛+戦闘SLG。真宮寺さくらは微塵も嫉妬を隠さないメインヒロインだ。少しでも選択肢が気に入らないと「選択肢が気に入らない顔」をしてくれる。しかも普段の姿よりも三白眼でこちらをにらみ付ける姿のほうが明らかに魅力的に描かれているのだ。あの急に黒のカラコン外したみたいになるやつ。いつの間にかこの顔を見ると安心している自分がいるのである。なぜならそれは彼女の主人公・大神(=私)に対する「揺るぎない愛」の証しだから。しかし同時にそれは「不安」でもあるのだ。私はこのアンビバレンスな感情こそ本作の核心ではないかと提言してみたい。

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 ※大神(=私)を睨みつけるさくら

 ひとは誰しも漠然とした不安を抱えて生きている。それは生まれたときの記憶がないからだ。稀に「胎児の頃の記憶がある」なんて酔狂なひともいるらしいが、だとしても自分が胎内から出てきた瞬間の記憶を鮮明に憶えているわけではあるまい。つまり人間は誰しも「生まれたおぼえがないのにある日突然生きている」のである。それとまったく同じ構図なのが「さくらの愛」だ。彼女の愛には根拠がない。少なくとも本作には好きになられるようなエピソードが何ひとつ描かれてないのだ。たとえば大神と会う前に別の男にケチョンケチョンに振られて自棄になっていたとか(それはそれでイヤだな)、大神が初恋のひと(故人)にそっくりだとかありがちなエピソードが後々語られるなら百歩譲ろう。しかしながら、もう明らかに最初から好きですやん、、、

 そう、さくらは惚れ薬でも飲んで来たのってくらい出会った瞬間から大神(=私)のことが好きなのだ。これが不安でなくて何なんだよ!

 もちろん一目惚れという可能性もある。だったらそういう描写を入れて欲しいのだ。私はいわゆる恋愛SLGというものをやったことがない。それどころかほぼファミコンしかやったことない生粋のファミコン親父である。したがって登場キャラクタが問答無用で主人公のことが好きという設定はあえて意図したものなのか、それとも、この手のゲームでは無条件に付与される定番のものなのか知らないが、少なくとも私には耐えられないのだ。だからわざと、さくらに嫌われるような選択肢をえらんでしまう。それでも大神(=私)のことを好きでいてくれるのか確かめたいからだ。すると彼女は期待通りの嫉妬を見せてくれる。まるでゴミクズでも見るのような目で私を軽蔑してくれるのである。

 この偉大なる嫉妬ゲー。流石はセガサターンで累計100万本以上売った大人気シリーズだけはある。人間のアンビバレンスな感情をモチベーションへと昇華させたゲームデザインは見事の一言だ。



◆「頼りになりませんか」から「だ~れだ」の落差◆

 ここからはちょっと辛辣なこと言うよ。

 さて物語は、隊長に就任した主人公・大神一郎と、帝国華撃団・花組の新人である神宮司さくらが公園で待ち合わせするところから始まるのだが、なぜ秘密部隊がわざわざ公衆の面前で待ち合わせしているのか、いきなり意味がわからない。無駄な寄り道などせずまっすぐ帝国劇場へ来させればいいではないか。最初に流れるムービーでさくらの立ち回りをプレイヤーに見せたかったために安易にそのまま「公園で待ち合わせ」ということにしたのだとしたら先が思いやられる。私はこういう作り手の都合で登場人物が整合性のない行動をしてしまうパターンが控えめに言って死ぬほど嫌いなのだ。

 案の定、さくらの姿を見て「まさか女性が迎えに来るとは」と驚く大神。それくらい知られてあげてよ。いい加減な組織だな。しかしそれらの疑問はすべて「秘密部隊だから」という言葉で片づけられていく。ああ便利な言葉。すると今度はさくらが華撃団の隊員だったことにも驚く大神。しかしそれを見た彼女はこう言い放つのだった。

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 頼りになりませんか?

 この落ち着いた台詞回しである。

 え、さくらって元気キャラじゃなんだ。私はさくらのことをその見た目から勝手に「はいからさんが通る」の花村紅緒のようなお転婆系だと思い込んでいたので衝撃を受けたのだった。まさかこんな凛とした大正淑女だったとは。しくじった。好感しかない。しかもこちらの心理を見透かしたかのような台詞「頼りになりませんか」は、これからプレイヤーが体験するこの『サクラ大戦』というゲームにおいて「私がメインヒロインでは頼りになりませんか」というメタ的な投げかけでもあるわけだ。あまりにも秀逸な仕掛け。今までのことは全てチャラにするしかあるまい。(←チョロいな)

追記:2019/6/16 大正でなく太正だという指摘をいただきました。ありがとうございます。

 しかし私はすぐにどん底へ突き落されることになった。物語が少し進んだとき、ゲーム内の時間では一時間くらいしか経ってない頃であろうか、大神が帝国劇場の廊下を歩いていたところ、うしろから唐突に目を隠され「だ~れだ?」をやられたのだ。あの古典的イチャ。罰ゲームでしかやられたことないやつだ。そのとき声の主を当てる選択肢が出たのだが、私はもうすでに怒りに震えてボタンが押せなかったのである。

 ああ、さくらであって欲しくない、、、

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 願い虚しくタイムアップ!
 無情にも声の主はさくらだったのである。

 はあ、、、思わずため息が漏れた。この「頼りになりませんか」から「だ~れだ」の落差たるや。正直ガッカリである。作り手は「だ~れだ」のスキンシップレベルの高さ知らんの。キャバクラじゃないんだからさ。「だ~れだ」は最低限付き合ってる同士でないと成立しないイチャだろう。下手したら眼球に触れてしまうやん。花も恥じらう大正淑女が、出会って間もない男の玉に触れてしまうんやで!(しかも2つある)

 しかも2つある、じゃねえよ!(笑) 



◆「作り手の都合」論◆

 しかし念のために正解ルートを試してたみた私は(←何だかんだ言ってやりなおしてる)、もっと落胆することになるのだった。

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神「さくらくんも案外いたずらっぽいところがあるんだね」
さ「ふふ、、、ごめんなさい。
 でも私の声、おぼえててくれて、うれしいです(///)」

 うわぁ、、、
 だから言ったじゃない。

 さくらのいたずらっぽい一面を出したいだけの理由で作り手が安易に「だ~れだ」をぶっ込んで来た結果がこれである。実際に考えてみてほしい。名前をおぼえられた程度で恥じらうような女が「だ~れだ」みたいなスキンシップレベルの高いイチャをしてくるはずがないじゃないか。もはや支離滅裂だ。作り手はさくらを情緒不安定キャラにしたいのか。ある程度は選択肢によって反応が変わってしまうADVキャラクタの宿命だとしても最低限の整合性ぐらいはとってしかるべきだろう。じゃあ、すべての現実の人間の行動は整合性とれてるんですかという反論があるかもしれないが、我々は知らない家族のホームビデオ見せられてるわけではあるまい。創作物である以上、描かれていること(もしくはあえて描かなかったこと)にはすべて意味があるはずだ。積極的意味、消極的意味、メタ的意味、何でもいい。その込められた意味をすくいとる行為こそエンターテイメントを享受する側の醍醐味ではないか。

 もっと言うと正直「整合性うんぬん」は大した問題じゃないのだ。私が嫌いなのは安易さである。「だ~れだ」のスキンシップレベルの高さを見逃している浅はかさなのだ。整合性うんぬんはその結果に過ぎない。いや、違うよと、これは「いたずらっぽさ」の記号的表現だよっていう指摘はいかにも漫画・アニメ的である。紅蘭の爆発ヘアーや、あやめのおでこチョンなども記号的表現の一種なのだろう(このへんも突っ込みたくて仕方ないが長くなるでやめておこう)。だがご存知の通りこの手のゲームやアニメをいっさいやらない私には知ったことではない。そういうのいっさい看過しないスタイル。それがファミコン親父なのだ。(←絶滅危惧種)



◆『サクラ大戦』は偉大なる嫉妬ゲー◆

 ところで皆さん気づいていると思うが、恐ろしいことにまだ全10話ある中の1話の序盤である。にも関わらず私は「あーでもない、こーでもない」とただ悶えているだけで、この作品について何も語っていないに等しいのだ。おそらくこのペースのままでいくとエンディングを迎える前に無事、悶死するんじゃだろうか。(←誰が無事やねん!)

 したがって私は、次こういうことがあったら潔くこのゲームをやめようと思う。代わりに『ときメモ』をやろうと思う。次回はファミコン親父が『ときめきメモリアル』に悶絶だ!

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 この反応である。

 悲しい顔するわけでも、激怒するわけでもない。ただただ軽蔑してくる心地良さが伝わっただろうか。まったく無関係な『ときメモ』の名を出してしまって申し訳なかったが、本作における「私の好きな感じ」を再現したい一心で打った猿芝居である。やめるつもりは毛頭ないから安心してほしい。というかもうすでに最終10話の終盤までプレイ済だ。(←何だかんだ言ってハマってますやん)

(つづくかも)



orotima-ku1.png我々愛知県人には主題歌のイントロが
「燃えよドラゴンズ」にしか聞こえない(笑)



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[ 2019/06/16 14:23 ] PS2・DC | コメント(4)
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ふと思ったけど、サクラ大戦って何からやるのがいいのかな
8439. [ 2019/06/17 10:31 ] [ 編集 ]
私と同じDC版1がいいと思います
8441. [ 2019/06/17 14:57 ] [ 編集 ]
GBCよりも、やっぱそっちか。まあ一応全部持ってるけど
8442. [ 2019/06/17 18:07 ] [ 編集 ]
持っとるんかーい
8443. [ 2019/06/17 21:32 ] [ 編集 ]
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