ここ数年、ファミコン・スーパーファミコン・メガドライブの互換系「新作&再販ソフト」がレトロゲーム界隈を賑わせています。今回はブラウザ拡張機能
「Keepa」をつかってAmazonの価格推移を眺めつつ、それらの歴史を振り返ってみましょう。
※価格推移表の見方
青線……新品
黒線……中古品
◆2016年◆コロンバスサークル (2016-01-30)
売り上げランキング: 14,571

2016年、先陣を切ったのは音楽アルバムという形で発表された『8BIT MUSIC POWER』でした。
もちろん、それまでもファミコンの新作はインディーズレベルでは何本か発表されてきました。しかしながらメジャー流通という意味ではこれが初登場でした。ちなみにこれに先駆けて2008年にリリースされた『ミスタースプラッシュ』も13年ぶりのファミコンソフトとして当時、話題になりましたが、あくまでもDVDの初回限定特典の組み立てキットだったので単品で流通したわけではありませんでした。したがって本作が出たとき『ミスタースプラッシュ』がなかったことにされ
「21年ぶりのファミコンソフト」としてメディアを賑わせていましたね。日本人は初物を尊ぶ民族なので、初物であるのと、そうでないのでは話題性はもちろん、売り上げもまったく変わってきます。
さて、そんな『8BIT MUSIC POWER』ですが、メジャー流通が実現したとはいえ任天堂の公認ソフトではありません。本作はFC互換機用ソフトなのです。逆に言えば
「あくまでもFC互換機用ソフトですよ」という体裁をとったからこそメジャー流通できたと考えられます。それでいて「FC/FC互換機用」という表記をしている理由は、この書き方なら自らが「ファミコン」と書かなくても「ファミコンで動くソフト」だということが誰にでもわかるからでしょう。Amazonの説明文を読み返してもらえばわかりますが「ファミコン」という言葉は一言も出てきません。にもかかわらず本作は、メディアや店頭ポップレベルでは99%「新作ファミコンソフト」として紹介されました。周りが勝手に「ファミコン新作」と言ってるだけなのです。かつて黒いファミコン
『ハッカージュニア』が、この「ファミコン」という言葉を広告で使用していたことを任天堂さんに怒られて、裁判で負けたことがあるためです。
価格推移ですが、発売後はしばらく安定していましたが半年後に上がって以来、下がったり上がったりを繰り返しています。最低価格は3000円台後半。最高で1万円強。これはこの手の互換系ソフトでは珍しい傾向です。やはり初物は特別なんでしょうか、、、
コロンバスサークル (2016-10-06)
売り上げランキング: 12,533

『8BIT MUSIC POWER』より約9か月後にリリースされた『キラキラスターナイト DX』は元々「キラキラスターナイト」というRIKI氏がインディーズレベルで発表していた作品のDX版で、前回と違って、れっきとしたゲームでした。こちらもゲームとしてのファミコン新作としては21年ぶりだったということで大変、話題になりましたね。
価格の推移としては発売されると、徐々に下がっていき、最近、底値になったあと、何となくこれから上がるような気配を醸し出しています。
◆2017年◆コロンバスサークル (2017-04-06)
売り上げランキング: 11,703

2016年にリリースされた『8BIT MUSIC POWER』の続編です。ファイナルと銘打っているだけあって、これ以降、このシリーズは出ていません。
価格の推移ですが、リリースされた半年後に、中古ソフトに極端なプレミア傾向がみられたほかはなだらかに下がっていくパターンのようです。元々5000円台前半で販売され、現在の価格は3000円台前半です。
ブレーズプロ (2017-04-08)
売り上げランキング: 18,519

『8BIT MUSIC POWER FINAL』と同じ月にリリースされたのがこの『魔界狩人 The Darkness Hunter Unholy Night』でした。
スーパーファミコンソフトとしては非公認ながら20年ぶりのメジャー流通の新作ソフトということで大変話題になりました。ゲーム内容うんぬんよりも20年ぶりのSFC新作という事実だけで、購入を決めたレトロゲーマーは多いはずです。かくゆう私も祝儀を出すような感覚で購入ボタンを押しました。結果として、ゲームの出来栄えは当時のSFC格闘ゲーム「らんま」シリーズや「ドラゴンボール」シリーズの水準には達しておらず、決して良作ではありませんでしたが、本作が発売するまでの間は夢を見させてもらいました。
価格推移ですが、発売してすぐに8000円台のプレミア価格になったあと、急激に下落しているところが特徴的です。そのおかげで、この作品については
「発売後すぐに値崩れしたソフト」というイメージを持っているひとが多いのではないでしょうか。本当は少しプレミア価格になったあとで急降下していたのです。一時期、Amazonでは低価格を表示してお金だけだまし取る詐欺が横行したため、最低価格についての信頼性はあまりありませんが、このグラフを見ると8000円台から一気に1000円台までさがっており、その下落の凄まじさが伝わってきます。その後は4000円前後で安定しているようです。
コロンバスサークル (2017-06-30)
売り上げランキング: 18,303

界隈で『魔界狩人』がもてはやされている現状を、互換系レトロゲーム界のドン・コロンバスサークル社が指をくわえて見ているわけがありません。2か月差で「〇〇年ぶりSFC新作ソフト」という初物ポジションは逃したものの、同社がSFC参入タイトルに選んだのは『改造町人シュビビンマン零』という元々1997年にサテラビュー専用ソフトとして配信されたアクションゲームでした。例によってAmazonの説明文を読んでみると「スーパーファミコン」や「サテラビュー」といった言葉は一切出てきません。この徹底ぶりにも関わらず、各メディアはこぞって「スーパーファミコン新作ソフト」と囃し立てました。
価格推移としては『魔界狩人』と似ており、こちらも発売後すぐに上昇、ただし魔界狩人ほどは急降下せず、3000円台で踏みとどまり、それから少し上昇したあとに現在はまた3000円台となっています。このあたりから
発売直後にプレミアがつくというAmazonのクソみたいな商慣習が、互換系「新作&再販ゲームソフト」にも定番となっていきました。この傾向は、2016年1月に発売された「ニンテンドークラシックミニ」のときに顕著に表れ、Amazon側は商品ページに定価を表示するという異例の処置を行いましたが解消されることはなく、その後、スーファミミニ、メガドラミニ、PCエンジンミニとレトロハードのミニシリーズが次々と登場しても何ひとつ改善されないまま現在に至っています。
コロンバスサークル (2017-09-07)
売り上げランキング: 18,947

これまで3作ともRIKI氏絡みだったコロンバスサークル社のFC/FC互換機用ソフトに新たな展開をもたらしたのがこの『平安京エイリアン』でした。もともと1979年にPCゲームとして開発され、1980年にアーケードゲームとして登場した本作は、古き良き固定画面アクションゲームです。アーケード版『平安京エイリアン』は1987年に日本物産によって『キッドのホレホレ大作戦』としてリメイクされ、同年には『ブービーキッズ』としてファミコン版がリリースされているわけですが、『平安京エイリアン』としては本作がファミコン初であり、初物好きの日本民族の間ではそれなりに話題となりました。
価格推移としては発売後、プレミアがつきましたが、それ以降は安定して下がっています。
BLAZEPRO (2017-11-29)
売り上げランキング: 18,580

2017年末期から2018年にかけてコロンバスサークル社は怒涛の再販ラッシュを展開します。その最大の特徴は
「再販元のゲームがめちゃめちゃプレミアソフト」ということでした。この作戦は見事に当たり、第一弾はSFCのプレミアソフトで知られる『アイアンコマンドー』でしたが、7000円前後という決して安くない値段にも関わらず、再販でもいいからプレミアソフトを手に入れたいという需要を見事にキャッチして、けっこう売れました。(弊サイト調べ)
価格推移としては発売直後プレミアがついたあと、順調に下がっていきましたが。現在も5000円台と、高値で安定しています。
◆2018年◆BLAZEPRO (2018-01-30)
売り上げランキング: 15,125

コロンバスサークル社のSFCプレミアソフト復刻大作戦。第2弾は個性的なベルトスクロールアクション『美食戦隊 薔薇野郎』。こちらはSFCのプレミアソフトとしてあまりにも有名でした。私事で恐縮ですが、オロチ家でもヘビーローテーションのひとつです。しかしながらついでに言わせてもらいますと、私がこの手の互換系「新作&再販ゲームソフト」を無条件で、発売日に買っていたのは本作までとなりました。さすがに気づいたんですよね。最新ハードの新作ゲームではないので「早く買わないとみんなの話題についていけない」なんてことはないし、今までの傾向として発売日に買わないと「プレミアがついちゃってのちのち買えなくなる」なんてこともない。だったら慌てて発売日に買う必要なんてないのではないかと思ってしまったわけです。
価格傾向としては発売直後、プレミアがついたあと、なだらかに下がっていき、5000円弱で安定しています。
コロンバスサークル (2018-05-24)
売り上げランキング: 7,826

コロンバスサークル社のSFCでめっちゃプレミアついてるソフト再販シリーズ第3弾は『魔獣王』でした。さすがにみんなも気づいたのでしょうか。このソフトに限っては前の2本と違って価格推移が特徴的です。まず発売直後に、無茶なプレミアがつきませんでした。3か月ほど定価付近をキープしたあとなだらかに下落し、今は4500円前後で安定しており、3本の中では一番求めやすい価格になっています。発売から8~10か月経った時期が底値ではありましたが、他のソフトの推移なども考慮すると、ある程度下がったらそこで安定するので、買うなら今かもしれませんね。
コロンバスサークル (2018-10-18)
売り上げランキング: 18,221

こちらは海外でインディーズNES作品として発表されたロックマンリスペクトのアクションゲームです。『平安京エイリアン』ほどの知名度はなく、元々、よっぽどのゲーマーでない限り手を出さないようなタイトルでした。ただし作品自体のクオリティは高いので、逆に言えば、今まで話題性や再販タイトルのプレミア感で勝負してきたコロンバスサークル社が
「ここに来てゲーム内容で勝負してきた」という意味でとらえるなら、大いに評価できる作品でしょう。
価格推移としては、最初にプレミアがついていたものがドーンと下がったあと4000円台で安定しています。
◆2019年◆コロンバスサークル (2019-02-21)
売り上げランキング: 10,267

2019年になって突然、発表されたこちらは、ファミコンでは珍しいリズムゲームでした。もともと音楽アルバムとして出発したコロンバスサークルのFC/FC互換機用ソフトの道は「ここで極まったか」と思わせましたが、それほどでもなくレトロゲーム界隈の視界から消えていきました。時期尚早だったようです。(もしくは逃したか)
価格推移としては、とくにむちゃなプレミアがつくわけでもなく、順調に下がっています。奇しくも前々作の『平安京エイリアン』と動きが似ています。同社のFC/FC互換機用ソフトには
「最終的に4000円台に落ち着く」という傾向があるように思えます。
コロンバスサークル (2019-06-20)
売り上げランキング: 4,780

コロンバスサークル社が次に目を付けたのはメガドライブのプレミアソフトでした。『グレイランサー』は1992年7月17日にリリースされたメガドライブ専用ソフト。もともとビジュアルシーンを売りにしたSTGでした。まだ発売から1か月半しか経っていないので、今のところプレミア価格となっています。今まで通りの傾向でいけばここから緩やかに下がっていくでしょう。
しかしながら懸念材料はいくつかあります。まずこの手の再販ソフトは今まで3000本限定だったのですが、今回はさすがに絞ってきているという点が挙げられます。売れ残りが市場にダブつかないよう対策をしてきているわけです。また日本のメガドライブ市場はスーパーファミコンと違って元々マニアック傾向がつよかったという点も見逃せません。それゆえメガドライブ愛好者はメガドライブへの愛が深いと言われています。したがってその愛を誇示するように本作を買い求め、滅多なことでは手放さない傾向にあると思われます。
追記として、パッケージが刷新されているという点も指摘しておかなければなりませんでした。元々美少女パッケージのレトロゲームソフトにはプレミア傾向があるのです。今後の動向が注目されますね。
コロンバスサークル (2019-09-30)
売り上げランキング: 2,009

最後はまだ発売されてないこちらです。元々メガドライブで発売予定だった作品のリメイクで、英語版のようです。日本語にローカライズされているわけではないので、ひとを選ぶでしょう。こちらも動向を見守りたいと思います。
|  | 書いてる途中でアップしてもうた(笑 |
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