◆幻のサテラビュー版◆ Youtubeに[サテラビュー] クーリースカンク | Cooly Skunkなる動画がアップされていました。
『クーリースカンク』はかつて大阪に存在したヴィジットというメーカーがSFC衛星データ放送サービス「サテラビュー」にて配信予定だったアクションゲームでしたが中止となり、のちにプレイステーション版でリリースされたタイトルです。多くの未発売ゲームが、当時のゲーム雑誌にぼやけたスクリーンショットを残すのみで永遠に日の目を見ないことを考えると、これは幸運にも救われたケースでした。
アーカイブに残存するヴィジット公式サイトではPS版『クーリースカンク』を以下のように謳っています。
スカンクの「クーリー」が6つの特殊なギアを使って敵を攻撃する横スクロールアクションゲーム。ギアは気流に乗って空を飛べる「パラグライダー」や地面を掘ることが出来る「ディガ」その他「ローラブレード」「エアーボード」「ホッピング」「ジェットパック」の6つ。又、ステージをクリアするとミニゲームも入っていて盛りだくさんの内容でこの低価格。
本作は廉価版も出ていたのですが、なんと980円という破格だったようです。
◆その意外なルーツ◆ 『クーリースカンク』のルーツをさらに掘っていくと、BPSがSFCにてリリース予定だった『メタモルキッドぐーみん』という未発売タイトルに辿り着きます。
『メタモルキッドぐーみん』の監督をつとめたのは元カプコンで当時、浮世亭(
※)の成瀬憲史氏。彼は
hiddenpalace.orgのインタビューの中で、最初にテトリスで有名なBPSから「子供向けのアクションを」という話が来たと述べています。そこから当時、同じく浮世亭が制作したSNES版『SKYBLAZER』をお手本にアクションゲームをつくろうというプロジェクトが立ち上がりました。
※SKYBLAZERは日本では『迦楼羅王』としてSFCで発売された こうして『メタモルキッドぐーみん』は低年齢層に弱かったBPSのマスコットキャラクター的なポジションを狙って制作され、ほとんど完成間近でしたが、ある日突然、BPSの方針転換によって幻となってしまったのです。
◆3度目の正直◆ それからしばらくして大阪のヴィジットという会社から「ゲームのエンジン部分を使って別のゲームを作れないか」という話が成瀬のもとへ舞い込んで来ました。
その頃、日本では既にプレイステーションが発売されていたものの、北米市場はまだまだスーパーファミコン(SNES)が強かったことから、北米市場向けにプロジェクトが動き出しました。主人公をおなら攻撃が得意なスカンクのクーリーにすることはヴィジットからのオーダーだったそうです。こうしてSFC版『クーリースカンク』も完成まであと一歩のところまで進みました。しかしここでも想定外の事態が発生します。なんと北米でもプレイステーションが爆発的ヒットしてしまったんです。やがて北米のバイヤーからキャンセルの申請があり『クーリースカンク』はまたしても発売中止になってしまいました。
その後、成瀬はプレイステーションでまったく違う2Dゲームを制作し、その過程においてPSにおける2D表現を研究。手ごたえを得た彼はヴィジットに『クーリースカンク』のPS版を出してみないかと逆に提案します。キャラクターはSFC版を使用するが背景等はPSレベルに合わせるという条件で3度目のプロジェクトが始動しました。
PS版「クーリースカンク」 マップ構成など大幅リニューアルを経て、晴れてPS版はリリースされたのです。その後、ジャレコからは『PankySkunk』として北米版もリリースされました。
◆20年目の発掘◆ ――それから20年ほど経った2019年。
秋葉原スーパーポテトのショーケースの中でそれは飾られていたいました。
image:gamingalexandria.com 日本語で「クーリースカンクが入ってます」と付箋がされたBS-Xの8Mカートリッジです。発見したのは
MrTalida氏。サテラビューを研究するサイト
「GOD BIRD」によると、本作は未発売に終わったものの、
プレイ可能な体験版が配信されていたとのことです。
おそらくこれはその体験版なのでしょう。

PS版と比較すると、たしかにSFC版は背景に奥行きが感じられないように見えますね。原文を読みたいかたは以下のサイトをご覧ください。
参照サイト:
Cooly Skunk (SNES, Unreleased) – Gaming Alexandria◆おまけ◆ 「クーリースカンク」の作曲を担当した藤田晴美氏がこの発見に反応を示したようです。
|  | サテラビューで未発売の『猛虎伝説'95阪神タイガース』も気になるね |
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