海外で熱狂的な人気を誇りながら数奇な運命をたどっているMOTHERシリーズ。その歴史を語るのは容易ではありません。まず最初に世に出たのは1989年にリリースされたファミコン版『MOTHER』です。これは生みの親である糸井重里氏が任天堂へ企画を持ち込んだことがきっかけで誕生した作品でした。それからSFC版『MOTHER2』がリリースされたのが5年後1994年のことです。『2』は制作が難航していたところ、故・岩田聡氏が協力したことで奇跡的にリリースにこぎつけました。
2015年までこの『2』が海外で正式にリリースされた唯一のタイトルだったのです。海外では混乱を避けるため『2』は『EarthBound』と名を改められました。それは1995年のことです。

時系列でいうと、初代と『2』を合わせてリメイク移植したGBA版『MOTHER1+2』が2003年にリリースされたあと、『2』がリリースされてから実に12年後の2006年にGBA版『MOTHER3』がリリースされました。『3』が『2』以上に難産だったのはその空白期間の長さからも伺い知ることができます。それどころか『3』は一度、開発中止になってますからね。(
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1989年7月27日 FC版『MOTHER』

1994年8月27日 SFC版『MOTHER2』

1995年6月5日 SNES版『EarthBound』

2003年6月20日 GBA版『MOTHER1+2』

2006年4月20日 GBA版『MOTHER3』
さて、2015年に何があったかというと、25年の歳月を経て海外版Wii Uのバーチャルコンソールにて初代『MOTHER』が配信されたのです。海外コミュニティがお祭り騒ぎになったことは言うまでもありません。ただし海外では混乱を避けるため初代『MOTHER』は『EarthBound Beginnings』と名を改められました。実は初代『MOTHER』は当時、NESへの移植が計画されており、それは結局、失敗に終わったのですが、時系列でいえば1998年頃にそのプロトタイプである通称『EarthBound NES』が流出しました。紆余曲折を経てそのROMイメージは有志によって吸い出されネットに拡散されてしまいます。このとき混乱を避けるためNES版は『EarthBound Zero』と名を改められました。これはあくまでも非公式な存在です。こうしてMOTHERの歴史は2020年現在に至るわけですが、事実上最後のシリーズタイトルである『MOTHER3』については、ことあるごとに待望論が巻き起こりつつも、いまだに海外移植されていないのが現状なのです。
以上が私の語ることのできるMOTHERシリーズの歴史です。
皆さんの心の声を代弁しましょうか、、、
余計、混乱するわっ!(笑)
もしかしたらこちらのドキュメンタリー映画が、そんな皆さんの声に応えてくれるかもしれません。こちらは先日、公開された映画『MOTHER TO EARTH』のトレーラー動画です。
公式サイトによるとこの映像作品は、MOTHERシリーズの誕生物語と、NES版のリリースが頓挫した背景を数十年にわたって取材したドキュメンタリー映画であり、ゲームコレクター界隈や、違法コピーが繰り返されたアンダーグラウンドな世界にもスポットを当てているとのことです。一説によれば初代『MOTHER』のNES版リリースが失敗したのは、すでに違法コピーROMが蔓延していたためだと言われています。果たして真実は何を語るのでしょうか。
なんだか、とても危険な香りがしますね、、、

なお、公式サイトでは、ダウンロード版やDVD版のプレオーダーが開始されており、Kickstarterに参加していなかったひとも、申込みは可能なようです。詳しくは(英語に自信のある方のみ自己責任で)公式サイトをご覧ください。
公式サイト:
https://www.mothertoearth.com/
|  | いまだにEarthBoundという名前に慣れない |
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