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ドラクエ訴訟の原点「ハイスコア事件」をめぐる調査記録(9) ~すべての伝説を越えて~ 

 これはファミコン雑誌「ハイスコア」の竜王掲載伝説を、12年間にわたって追いつづけた筆者の調査記録である――

haisukoa09.jpg

 前回の記事はこちら



◆すべての始り◆

 思い起こしてみれば今から12年前――

 ハイスコア事件の原因について、弊ブログの掲示板が絵に描いたような諸説紛々だったことが、すべての始りだった。もしそこで思いっきり竜王掲載説を否定されていなかったならば、おそらく私が竜王探しの旅に出ることもなかったであろう。

Hi-SCOREはラスボスじゃなくて情報規制されてた銀の鍵を明記したトラブルかと
2009/01/27(20:50) 235.名無しさん


銀の鍵じゃなかったような・・・
ドラクエⅡのラーの鏡の場所を写真付きで載せていたと記憶。
2009/01/28(08:14) 240.zaku


ドラクエⅡとハイスコアの問題はですね
正確な名前忘れたけど龍の角?とかいう塔の階段と宝箱の位置を載せたからです。
昔のドラクエのラスボス規制は有名ですが
攻略本にすら宝箱の位置を載せないような主義でしたからね。
ラーの鏡とかそんなの初めて聞きましたよ?
2009/01/29(13:54) 246.名無し


ハイスコアの「ラーの鏡記載」による回収騒ぎ
懐かしいですね・・・。

あの号は確か全体的に水色っぽく、ファミスタの
ピッチャーが描かれた表紙だったはずです。

この号は持ってたので覚えてます。
書店からの回収騒ぎは、確かニュースで見て知ったと
記憶してます。
2009/02/03(13:17) 257.名無しさん


間違っている情報が載っています。
ハイスコア誌はラスボスやラーの鏡も載せていないはず。
そして回収にもなっていない
わけで。

2009/03/15(10:05) 290.なんか


× ドラクエのラスボスを無断で載せた
× ラーの鏡を乗せた
× 回収された

○ 序盤の塔の階段と宝箱の位置を知らせないように規制されていたのを載せてしまった
ちなみにマルカツの場合は階段と宝箱の場所を黒ベタで塗り潰して「知らせるように」掲載していた
2013/11/10(12:39) 2234.正しい情報は

 いよいよ、すべてを明らかにするときがやってきたのだ。



◆漫画みたいな展開◆

 それでは、さっそくエニックスが訴えるきっかけとなったとされる1987年3月号の『ドラクエ2』攻略記事を見て行こう。この特集は全6ページで構成されていた。まずは最初の1-2Pである。

kouryaku4.jpg

 さっそく、そこには銀の鍵の記事があるではないか!

 いきなり銀の鍵説が正解か?
 いやいや、まだ判断するのは早い。

 次のページを見てみよう。
 3-4Pである。

kouryaku3.jpg

 なんと、ラーの鏡もあるのか!

 だとしたら銀の鍵説とラーの鏡説、
 両方とも正解ではないか。
 いやいや、まだ判断するのは早い。
 
 つづいて5-6Pである。

kouryaku5.jpg

 おいおい、塔の階段&宝箱の位置までも載ってやがる!

 何のことはない。かつて我が掲示板()でお互いがお互いを否定し合っていた諸説紛々論者の皆さんは全員正解だったのだ。なんてことだ。我々は争う理由がないのにも関わらず争っていたのか。唯一、シドーの姿だけは載っていなかったものの、それ以外の説はすべて載っていたのである。

 まさか、こんな漫画みたいな展開が現実に起ころうとは、、、



◆削除された4月号の存在◆

 ただし、原因には「裁判の引き金となった直接的な原因」と「積もりに積もった間接的な原因」と、二通りのニュアンスが存在することはすでに連載第7回で述べたとおりである。そう考えると3月号に載っていた諸説紛々は、あくまでも後者の原因ということになるのではないだろうか。

 もちろん、それらはエニックス側の主張を補強する根拠として裁判官へ提示された証拠にはなったではあろうが、しかしながら実際に仮処分の対象となったのは1987年4月号だったことを忘れてはいけない。

ge-mumasin00302.jpg
今回の事件はハイスコアメディアワークス(株)が編集、発行し、英知出版(株)が発売している月刊雑誌「ハイスコア」の四月号(2月28日発売予定)で「ドラゴンクエストII」の完全無敵攻略法を掲載、発行しようとし(以下略)

 アミューズメント業界紙「ゲームマシン」1987年4月1日号によると、改正される前の1986年4月には「ドラゴンクエストII」の完全無敵攻略法なるものが掲載される予定だったことがわかっているのだ。残念ながらその内容は削除されてしまったため永遠に闇の中。ギアガの大穴の中ではあるのだが、これが「裁判の引き金となった直接的な原因=仮処分の対象」であることは間違いないのだった。

 ということで、最後のまとめである。

【原因】
『1』ラスボス(竜王)を掲載 
『2』銀の鍵の位置を掲載 
『2』ラーの鏡の位置を掲載 
×『2』いなづまの剣の位置を掲載 ※1
『2』塔の階段&宝箱の位置を掲載 
『2』完全無敵攻略法 ※2
×『2』ラスボス(シドー)を掲載 ※3
×『3』ラスボス(ゾーマ)を掲載 

【結末】
×発禁になった 
×回収になった 
×廃刊になった 
改正後、発行された

※1:仮処分が下されたあとの1987年5月号に掲載された
※2:仮処分の対象となった直接的な原因であるが内容は不明
※3:ただし削除された1987年4月号に載っていた可能性がある

 竜王説と諸説を同列の○としたのは、くどいほど述べてきたとおり、いずれも仮処分の対象にはならなかったからである。完全無敵攻略法が※付きなのは現物が削除されてしまい、そのソースが今のところゲームマシン紙しか見当たらないからである。ただし内容がどうであれ、改正される前の4月号が仮処分の対象になったのは間違いないため◎とした。

 まさか最後の最後にすべての伝説を越える新説が出てくるとは夢にも思わなかったものの、そもそも「原因」という言葉にはニュアンス的な問題があることは、さんざん述べてきたとおりである。したがって○の説でも「間違いとは言えない」ということだけは強調しておきたいところ。

 なお、シドー説については改正される前の4月号、つまり「完全無敵攻略法」の記事に載っていた可能性は完全に否定できないものの、内容がわからないため※付きの×としたが、むしろ、いなずまの剣説のほうが、次の5月号には載っているわけだから、改正される前の4月号に載っていた可能性が高いと言えるだろう。このあたりはあくまでも可能性の話であり、現物が確認できる竜王説や諸説のほうが優位であると考える。

haisukoa198704.jpg
 ※改正後に発行された1987年4月号

 以上の結論から導き出される都市伝説の真相は以下である。

<都市伝説の真相>
原因については竜王説、銀の鍵説、ラーの鏡説、塔の階段&宝箱説がいずれも正解。ただし仮処分の対象となったのはあくまでも4月号に掲載予定だった完全無敵攻略法である。結末については発禁にも、回収にもなっておらず「改正後、発行された」が正解。無論、そのとき廃刊にもなっていない。

 これで決まりだ!



◆最後にのこった説は?◆

 ようやく私の竜王探しの旅はエンディングを迎えたようだ。



 思えば、初代『ドラクエ』の竜王は、ラダトーム城から「ひかりの玉」を盗み出したことによって闇の覇者に君臨したという話である。したがって勇者の目的は竜王を倒してひかりの玉を取り戻すことであった。このストーリーは「なぜ竜王を倒した瞬間に世界からモンスターがいなくなるのか」という謎の説明にもなっているのであるが、目的を果たした瞬間、誰もが平和になったという意味では今回調査した「もうひとつの竜王伝説」もまったく同じ展開ではなかっただろうか、、、

 蓋(ふた)を開けてみれば誰も争う必要がなかっただなんて
 つくづく因果な話ではないか!

 なお、諸説紛々のなかで、あえてまったく触れなかった説がひとつだけあることに、ここまで読んでくれた皆さんなら、もう、お気づきかと思う。そう、ゾーマ説である。実はその発生源となったのはハイスコア事件ではなく、別のドラクエ訴訟であることがわかっているのだ。いわゆる「FLASH事件」だ。

fjash.jpg

 こちらがその問題の号なのだが、今回の連載はあくまでも「ハイスコア事件」が本題であるため、FLASH事件についてはまた機会を改めることをお約束して、結びとさせて頂こう。

 どうやら次はゾーマ探しの旅に出る必要がありそうだ、、、


 最後に、今回の取材に協力してくださった大森田不可止さん(@omorita)をはじめ、数多くの資料&情報を提供してくださった、ナポりたんさん(@naporitanPG)、レアハンターマラリアさん(@mararia_nico)、そしてチラシ画像を提供してくださった、あかみどりさん(@akamid83)に心から感謝申し上げます。



orotima-ku1.png番外編もよろしくね!



ドラクエ訴訟の原点「ハイスコア事件」をめぐる調査記録

(1) もうひとつの竜王伝説
(2) 公式ガイドブックの謎
(3) 消えたドラゴンロード
(4) マスコミの発禁報道
(5) そして都市伝説へ…
(6) 竜王説は生きていた
(7) 信じ抜いたすえの邂逅
(8) 堀井雄二のネタバレ観
(9) すべての伝説を越えて
(番外編) ファミマガ編集長の視点

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コメント

ちなみに私は当時これを見てラーのかがみを取ることができました。
雑誌も買ったはずですが買ったハイスコアは流石にもう行方不明。

調査おつかれさまでした。
なかなか、読み応えのある記事でした。

面白い記事ありがとうございました

私の記憶では、邪心の像の使い方が載っていて、それがアウトだったような気がします。

その時テレビニュースでもさんざん扱われ、子供ながらに気にかけていました。

そのあとに発売されたハイスコアがペラペラの雑誌でびっくりしました。

編集スタッフのメンツのおかげでジャンプの次くらいにドラクエ制作陣と関係が深かったファミコン必勝本を全号所有しています。
こちらも1987年Vol.5(3月6日号、通巻No.18)でイラストによるDQII全世界マップを掲載してしまい、次号で謝罪文を掲載しています。
その謝罪文が載っているページに風の塔のイラストマップがありますが、階段の位置は描かれているものの宝箱は描かれていません。

その他にも紋章やロンダルキア関係は規制の関係で書けないことを明言していたり、直接回答すると問題になりそうな読者からの質問にジャンプからキム皇を召喚して答えさせてたりとメジャー誌の中では攻めていた方だと思います。

11135さん
古い雑誌は捨ててしまいますからねえ。私も当時読んでたファミマガは残ってません。

マッピーさん
ありがとうございます。

11137さん
邪神の像説ですか。もしかしたらどこかに載っているのかも。調べてみますね。

WD-40 さん
ファミコン必勝本でもそんなことがあったなんて知りませんでした。調査不足でした。貴重な情報ありがとうございます。たしかにファミコン必勝本は規制をちゃんと守っていたようですね。こちらでも調査してみます!

ドラクエ4のときもラスボス公開して裁判沙汰になった雑誌がありましたねえ
あの頃はドラクエの記事さえ載せておけばどんな雑誌でも売れたんじゃないでしょうか

結局ドラクエIIの完全無敵攻略法というのは謎のままなのですね…
語感からすると戦闘でダメージを受けないとかHPが減らないとかの状況をイメージしますが、改造なしにそんな状態になる裏技が本当にあったのでしょうか。

Dot Will Eat Itselfさん
それは初耳です。どの雑誌ですか?


11150さん
完全無敵というのは大袈裟な表現で、本当に無敵じゃない気はしてます。

オロちゃんニュース!!
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 失われたファミコン文化遺産「ショップシールの世界」2020年6月26日発売

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