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ドラクエ訴訟の原点「ハイスコア事件」をめぐる調査記録(2) ~公式ガイドブックの謎~

 これはファミコン雑誌「ハイスコア」の竜王掲載伝説を、12年間にわたって追いつづけた筆者の調査記録である――

haisukoa032.jpg

 前回の記事はこちら



◆メジャー誌も怒られた竜王掲載◆

 かくして、勇者でも何でもない私の”竜王探しの旅”が始まったわけだが、皮肉なことにハイスコアはマイナー誌だったからこそ現存数が少なく、今や滅多なことでは市場に出回らない希少本と成り果てていた。とくに86~87年あたりの初期ナンバーは“はぐれメタル級”の存在であり、おいそれと遭遇できるようなものではなかったのだ。

 そこで、私はひとまず外堀から埋めようと、他誌における竜王掲載事情を調査することにしたのだった。まずは今やゲーム雑誌界の重鎮となった「ファミコン通信」(現・ファミ通)の場合。1986年7月18日号(創刊3号)に以下のような記事を発見したのである。

famituu03001.jpg

 これは文字が主体の初代『ドラクエ』の攻略記事なのだが、右上のあたりを見てみると、そこには、何の必然性もなく「竜王の姿」が!

 この件についてファミコン通信の名物編集長だった浜村弘一氏は、とあるインタビュー記事のなかで以下のように述懐している。

浜村:いやあ、本当に大変だったんだよ。ドラクエの攻略情報に竜王を掲載してしまって、大目玉を食らったりね。まだエンディングなんて概念がちゃんとないから「何を怒ってるんだろう?」でした(笑)。

 ゲームのネタバレに対して、メディア側の意識が薄かった時代のファミコン雑誌とメーカーの温度差がわかるエピソードではないか。ちなみに創刊4号では「編集部からごめんなさい」と題されたおわび文が掲載されていた。



◆ファミマガの恐るべき挑発行為◆

 次にファミコン雑誌界の元祖「ファミマガ」の場合。誌面ではなく1986年9月30日に徳間書店より発行された「ドラゴンクエスト完全攻略本」に注目してみると、攻略本というだけあって実際のゲーム画面やイラストを交えたマップや、アイテムの位置、敵のステータスなど、がっつりと掲載されているのであるが、驚いたことにそこには竜王(変身後)の姿も当然のように載っているのだった。

dorakue1001004.jpeg

 しかもこの本は、判明しているだけでも第43刷が1988年5月30日に発行されているのでむしろ2年にも渡るロングセラー商品なのである。ファミマガのこの所業は、ただ単にエニックスが見逃していただけなのだろうか。それともファミマガとエニックスの間に何らかの協定があったのだろうか、、、

 いずれにせよファミマガは、後に、この攻略本の広告でとんでもないことをしでかすことになる。

dorakue0203.jpg

 これがファミマガ誌面に掲載された問題の誌面広告だ。一見、何の変哲もないこの広告には恐るべき挑発行為が隠されていたのである。おそらくノーヒントでわかる人間はいないだろう。万が一、右上の文章を見てピンと来たならば、あなたはきっと古(いにしえ)の大型掲示板ユーザーだったに違いない。

 そう、新聞のラテ欄でたまに発見されるアレである。

dorakue0201.jpg
れさえあれば!
かうかしているキミも
こしこ解いているキミも
っと最後までクリアできる
ンになってたあの難解
ライラしていたそのダンジョン
ンドン出てくる敵キャラも
んでも全部出ているぞ!
!とうなずく新事実
いねいで評判のポイント解説
ダパニ起こしそうな内容を
ゃんじゃか集めた!!
っぱりドラクエするなら
にはともあれ完全攻略本シリーズが
ちばんだね

 おわかり頂けただろうか。
 改めて見返してみると「ん」の不自然さよ!



◆公式ガイドブックの謎◆

 不自然とえいば、このメダパニ広告が掲載された時期である。なんとこの誌面広告は攻略本が発行された2年以上あとの1988年9月16日号(NO.17)に掲載されたものなのだ。なぜファミマガはそんな意味不明なことしたのか。その理由はすでに縦読みによって語られているのだった。そう、「目じゃない」と蔑まれている公式ガイドの発売である。

dorakue0202.jpg
 ※当時の誌面広告 ファミマガ1988年8月18日・9月2日号(NO.16)より

 順を追って説明しよう。

 初代『ドラクエ』がリリースされたのは1986年5月27日だった。そのおよそ2年後の1988年3月にエニックスは出版部門を設立する。その目的はなんと言っても自社の看板タイトルであるドラクエシリーズの攻略本を発行することだった。満を持して8月19日に発行されたのが『3』の公式ガイドブックだったのである。その後、9月15日に『1』『2』の公式ガイドブックが続いたのだ。当時、現役バリバリだったファミコン世代の私ですら忘れていたのだが、エニックスの『ドラクエ』公式ガイドブックは『3』→『1』『2』の順に発行されたものだったのである。

 したがって初代『ドラクエ』の公式ガイドブックは、ゲームソフトが発売されて実に2年4ヶ月後に発行されているのだ。この驚くべき遅さ。むしろ”それでも間に合った”という初代の息の長さに驚くべきだろうか、、、

 しかし、それは『3』の公式ガイドブックが出る1ヶ月前のこと。エニックス出版部門を激震させる出来事が起こったのだった。そう、あの悪名高き攻略本「どらくえ3」事件である!

dorakue3001.jpg
デマ情報により高騰化!? 謎のドラクエ攻略本「どらくえ3」事件は意外な結末だった!!

 こうして、エニックスは7月23日に「どらくえ3」に対して販売差し止めを求める仮処分を申請したのであった。結局、この申請は通らなかったものの、そんな地獄のような状況のなかファミマガは、こともあろうかメダパニ広告を打ったのだ。



 果たして、この大胆な所業。
 エニックスにバレて大目玉を喰らったのかどうか、、、

 非常に気になるところではあるのだが、この縦読み広告の存在を明らかにした2012年7月発行の「超実録裏話ファミマガII」には、特に後日談めいたことは語られていないため真相は闇の中である。

追記:2021/01/24
ファミマガの「ドラゴンクエスト完全攻略本」はエニックスとの契約で出版されたものでありました。お詫びするとともに訂正させていただきます。詳しくは「番外編」を御覧ください。



orotima-ku1.pngつづく



ドラクエ訴訟の原点「ハイスコア事件」をめぐる調査記録

(1) もうひとつの竜王伝説
(2) 公式ガイドブックの謎
(3) 消えたドラゴンロード
(4) マスコミの発禁報道
(5) そして都市伝説へ…
(6) 竜王説は生きていた
(7) 信じ抜いたすえの邂逅
(8) 堀井雄二のネタバレ観
(9) すべての伝説を越えて
(番外編) ファミマガ編集長の視点

関連記事

コメント

ドラクエ3のネタバレ画像が週刊誌にデカデカと掲載されたの衝撃的でした。
あれ、訴えられたんでしたっけ?w

フライデーですね。現物ばっちり押さえてますが、それはまた、機会を改めてまとめる予定です

国会図書館にハイスコアの書架があるようなので、そちらから確認すればいいのでは……?

演出といったらちょっと語弊がありますけど、まあ、なんというか、演出ですよ。演出!

竜王としてではないですが、ドラクエ1発売より前のジャンプの記事でドラゴンロードという名前で竜王の絵が紹介されてましたね。あと同じ記事でリカントはリカントカムイという名称で掲載されてました。ジャンプの表紙開いたところの折り込みポスターみたいなやつで、ゆう帝たちが活躍するファミコン神拳のやつだったはずです。

上記のドラゴンロードうんぬんですが、続きの第3回にてすでに書かれていることに気がつきました。大変失礼いたしました。

ななし

いえいえ、ありがとうございます。

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