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海外メディアから未編集の任天堂取材テープが流出か!? 1990年の宮本氏インタビューや社内会議の様子など貴重映像(解説あり)

◆インタビュー映像◆

 Youtubeに任天堂に関するととんでもない動画が流出していることが弊ブログの調査によって発覚した。

1990miyamotointabyu-02.jpg

 「1990 Miyamoto Interview, Nintendo in Kyoto B-Roll (In Japanese)」と題された問題の動画は、そのタイトルから1990年に海外メディアが任天堂を取材した際のものであると思われる。冒頭はマリオの生みの親として知られる宮本茂氏へのインタビュー映像だ。宮本氏のバックにはファミコン版『スーパーマリオブラザーズ3』のデモ画面が流れるモニターが設置されている。

 『マリオ3』は日本版こそ1988年10月23日発売なので、なぜ今さら3?と疑問が浮かぶかもしれないが、米国版は1990年2月12日発売なので年代的におかしいところはない。



 しかし、若き宮本氏がスーパーマリオシリーズや今後のビデオゲームについて語っている映像というだけでも十分珍しいのだがなんだか様子がおかしいのだ。なぜならこの動画まったく編集されていないように見えるからである。つまり未編集テープの可能性が非常に高いと言える代物なのだった。



◆気になる発言内容は?◆

 ひとまず気になった箇所をピックアップしながら見てみよう。

Q.マリオゲームをつくるインスピレーションは何だったんですか?
A.カセットという形で最後のゲームをつくろうということで『スーパーマリオブラザーズ』が生まれた。大きくなるというアイデアからスーパーマリオというタイトルになった。マリオ最後の作品ということで技術を詰め込んだ。

Q.ゲームをデザインするには基本的に何が必要なんでしょうか?
A.どんな素材を与えられても遊ぶ人が楽しめるゲームにする自信。

 イントネーションからこのインタビューワが海外の記者であることがわかる。ただ言葉の壁はあるのせよ、それにしても質問が少々漠然としすぎていて難解のようだ。宮本氏が質問を受けるたびに困った顔をするのが印象的である。

 まずはゲーム史に燦然と輝く金字塔『スーパーマリオブラザーズ』について宮本氏は「カセットという形で最後のゲーム」と語っている。

dhisukucm0.jpg
 ※当時のCMより

 実際にそうなっていないのは皆さんもご存知のとおりであるが当時、任天堂はディスクシステムのテレビCMにおいて「カセットの時代からディスクカードの時代へ」と謳っていたようにディスクシステム発売後、ROMカセットでのゲーム供給をしない計画だったことは有名な話だ。マリオ最後の作品という表現も見られるが”カセットで”という意味だったと思われる。

 次に進もう。

Q.ゲームをつくるときはどんなことを考えなければならないのですか?
A.遊んでいるひとがどういうスタイルで遊んでるかということを気にします。

Q.これからマリオはどの方向へ行くと思いますか?
A.大きくスタイルは変えたくないがやりたいことはまだたくさんある。今後は11月に発売される「スーパーファミリーコンピュータ」でまだまだつくる元気はある。

 マリオシリーズの方向性の段では、宮本氏の口から「スーパーファミリーコンピュータ」という言葉が出てくるのは意外だった。



 ご存知の通り、現在、スーパーファミコンの正式名称はそのままスーパーファミコンであり、スーパーファミリーコンピュータの略ではないというのがゲーマーの常識とされている。したがってSNSで「スーパーファミリーコンピュータ」という言葉を口にしようものなら界隈から一斉砲火をくらうことも珍しくないのだが、よもや宮本氏の口からこの言葉が飛び出すとは!

 次に進もう。

1990miyamotointabyu-05.jpg
Q.ニンテンドーオブアメリカからアイデアを提供してもらうことはありますか?
A.そういうことはないが、開発の段階で文化的、宗教的に重大なミステイクを犯してないか、あるいは翻訳的に問題がないか確認することはある。

Q.ドンキーコングやスーパーマリオをつくったとき任天堂がこんなに成功すると思いましたか?
A.そういうことは思わない。スーパーマリオをつくったとき予感はもったが、ただ結果は運ですから。

 この段では「ただ結果は運ですから」と言ったときの宮本氏の満面の笑みが印象的だ。宮本氏はこの言葉を2回ほど使っているため、おそらく「運を天に任せる、即ち、任天堂」という謎かけをインタビューワに仕掛けたのではあるまいか。それでこの満面の笑みなのだろう。

 次へ進もう。

Q.子どもたちのアイデアをもらいますか?
A.よく送ってきてくれるが7割は技術的に不可能なもの。3割はすでに試したものなので採用されるケースはほとんどない。ただ一生懸命書いた手紙や絵など見てると楽しい。

Q.日本とアメリカなど海外においてゲームの人気に違いはありますか?
A.民族性、国民性とよくいうが僕はないと思う。昔、アーケードゲームはアメリカで1プレイ25セント、日本は100円だったので金額による評価の違いはあったが今は感じない。あるとすれば日本語のほうが英語よりも字数が短いということくらい。

Q.ビデオゲームはこれから先どうなっていくと思いますか。
A.わずか10年の歴史しかないメディアだが永久になくならないと思う。無限の可能性をもっており未来は明るい。

Q.いつかゲームをつくりたいと思う子どもたちにアドバイスをお願いします。
A.何か一つ専門をもっておくということと、何でもいいから自分の思ってるものをつくること。ものづくりはイメージでなくパワーですから。

 宮本氏はよっぽど「日本と海外のゲーム人気に差がない」ということに対して自信があったのだろう。

ドンキーアーケード0
 ※アーケード版『ドンキーコング』のチラシ

 つまりそれは日本でも海外でも同じようにヒット作をつくれるという自信であり、彼のゲーム開発におけるキャリアが海外で『ドンキーコング』を成功させたことから華々しく始まってることを考えれば何ら根拠のない話ではない。わざわざ「日本語のほうが英語よりも字数が短い」という些末な問題を提示してみせたのはその自信の裏返しと解釈するべきであろう。

 ただし宮本氏はビデオゲームはこれから先どうなっていくのかという質問に対しては「プレイヤー、ゲーム機、テレビ」という形態は永久になくならないと応えてる。まさか将来スマホという魔法のような道具の台頭によってゲーム機やテレビが必要ない形態が主流になってしまうなんて、さすがの御大もこの時点では想像できなかったのかもしれない。あるいは......

 

◆突然のオフレコ映像◆

 そして注目は21:07あたりから。なんと真面目にインタビューに答えていた宮本氏の映像が突然プツリと切れてカラーバーになってしまうのだ。

1990miyamotointabyu-01.jpg

 しかもあろうことか宮本氏とインタビューアが雑談している音声だけが生きており、二人がインタビューの答えについて「これで良かったかな」みたいな、本来ならメディアが流すべきでないオフレコの会話が垂れ流し状態になっているのだった。

 22:23からは「インサートを撮る」ということで画面が引きになりインタビューワの後ろ姿が映り込む。

1990miyamotointabyu-03.jpg

 この雑談のなかで宮本氏は「アメリカには異常にゲームが上手なひとが出てくるが日本にはなかなかいない」というようなことを漏らしていた。現在でもRTAでとんでもない記録を出したり、古いゲームの隠し要素を発見したりするのは海外勢のほうが多いことが想起される。宮本氏はそのような状況を「単純に人口の違いのせい」だと思っていたがどうやら文化の違いが原因のようだと語っていた。

 その後動画は前回の記事でも紹介した「宇治工場」の様子となったと思いきや、すぐに野村のファミコントレードの様子になり、、、

1990miyamotointabyu-06.jpg

 それも束の間36:39あたりから突然、任天堂社内と思われるオフィスの様子が流れはじめるのだった。



◆任天堂オフィスの様子◆

 映像はまずとある社員(河越巧氏?)がデスクに向かっているところを映している。

1990miyamotointabyu-07.jpg

 それからデスクの上に設置されたモニター画面へズーム。

1990miyamotointabyu-08.jpg

 SFCの『パイロットウイングス』だろうか。

 続いてSFC版『スーパーマリオワールド』をプレイする3人の様子が映し出される。

1990miyamotointabyu-09.jpg

 31:13からは宮本氏を含む4名の人物による会議の様子だ。

1990miyamotointabyu-11.jpg

 ホワイトボードに付箋を貼ったり剥がしたりして何かの内容について検討する宮本氏。

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 取材が入ってるからなのか普段からなのか会議は終始、和やかに進んでおり絶えず笑顔がこぼれていた。任天堂社内の雰囲気の良さがつたわってくる。




◆謎の展開◆

 おそらくこのテープは何度も再利用され上書きされているのだろう。

 動画はそれから任天堂の旧本社ビルの外観映像となり、SFC版『スーパーマリオワールド』のプレイ画面になったあと39:53から再び工場の様子。フォークリフトが商品を運んだり海外版スーファミであるSNES本体のカートン段ボールが山積みされている映像になったかと思った次の瞬間40:00に予想外のソフトが映し出されることになる。

 なんとディスクハッカーである。

1990miyamotointabyu-12.jpg

 これは任天堂の宿敵だった裏ソフトメーカー・ハッカーインターナショナルが手掛けたディスクシステム用のコピーツールだ。

 おそらくであるが、任天堂がハッカーインターナショナルに対して起こした「ハッカージュニア」をめぐる裁判の判決が出たのが1992年5月27日であったことを考えると、任天堂はこの映像が撮られた頃からハッカーの製品を調査していたものと思われる。

hakka-junia06.jpg
※当時の広告 

 すると動画は40:11からはいきなりファミコン版『キン肉マンマッスルタッグマッチ』の画面に切り替わり、宮城県の11歳の少年がテレビゲームで光過敏性てんかん発作を起こしたというニュース映像がはじまったのだ!

 これはあまりにも斜め上である。この取材テープにはもともと日本のニュース番組が録画されていたのだろうか?

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 こちらは東北大学で行われたという実験の様子。

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 こちらは任天堂が自社製品に注意書きをそえることを伝える別のニュース番組(NHKの桜井洋子アナ?)。任天堂は直接関係ないものの、のちのポケモンショックを想起される。

 そして46:02からはシアトルマリナーズの件について山内元社長が登場!

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 出たー!
 待ってました。

 あいかわらずキーの高い声。
 
1990miyamotointabyu-17.jpg
 
 こちらは山内元社長のご自宅の前だろうか。社長のバックに歴史がありそうな立派な門構えがうかがえる。その後、映像は海外のニュース報道などに切り替わって終わっていた。以上がこのテープの一部始終である。



 実際の動画こちら。当時の貴重な映像を堪能しよう!

 なお、Twitter情報によるとこの動画をアップした人物Rare Mix-A-Lot Music氏は放送局に勤めているため、まだいくつかのアーカイブにアクセスできると語っておられた。


 <追記 2021.6.8>

 訂正です。Rare Mix-A-Lot Music氏本人からリプライがあり()、放送局に勤めているわけではなくただのコレクターとのことです。失礼しました。またこちらのビデオテープはアメリカの放送局であるABC (the American Broadcast Company)のために収録されたものという証言をいただきました。


koushoujutu.jpg


orotima-ku1.png最終的にどういう形で発表された映像なのだろうか?
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コメント

スーパーファミリーコンピューターの略かと思ってたけど違うのか
それより横井氏は出演していないのか

スーパーファミコンの正式名称はスーパーファミコンです。ちなみにファミリーコンピュータの最後「ー」は要りません。横井さんは出演していませんでした。

後半38:59からの映像はNHKの資料映像から引用された物と思われます。

39:40に登場するスーパーマリオ3の映像は
『あの人に会いたい - 山内溥』の冒頭に使われています。

また後半のニュース映像は1992年の映像が中心のため
その時期にNHKから任天堂関連の映像を引用しまとめたテープと思われる

43:30 (てんかん関連の注意書きを入れたのは1992年8月頃 (九州大学のページより
https://www.med.kyushu-u.ac.jp/reha/info/epi/NINTENepi.html

46:00 (1992年1月24日に山内元社長がシアトルを買収する計画を本社で記者会見した映像)

『あの人に会いたい - 山内溥』!
こないだやっていたやつですね。見ましたがわかりませんでした。ありがとうございます。その他の情報もありがとうございました。チェックしてみます。

オロちゃんニュース!!
orotima-ku1.png Youtubeチャンネル「オロチレーベル」超マイペースで更新中!!
 失われたファミコン文化遺産「ショップシールの世界」2020年6月26日発売

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