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7月1日は「ネオジオ発売日」ではないのでは?という話。

 ここ数年、7月1日になると某有名ゲームメディアがtwitterで「ネオジオの一般販売が開始した日」とアニバーサリーツイートをするようになったのだが、一部のレトロゲーム界隈から疑問を呈する声があがっているのは、ご存知だろうか?

 今回はそんな「ネオジオ発売日問題」を取り上げてみよう。


◆ゲームセンターの革命児◆

 SNKは1990年1月31日――

 大阪江坂の東急インでビデオゲームの新システム「NEOGEO(以下ネオジオ)」の展示会を実施。海外業者を含めた1500名が参加し大盛況となった。

 業界紙「ゲームマシン1990年3月1日号」によると、ネオジオは「マルチビデオシステム(MVS)」と「レンタルシステム(のちのAES)」のふたつの営業方法に別れて販売される予定であり、前者、マルチビデオシステムはいわゆる業務用筐体で、ディストリビューターやオペレーターに強いられている高い仕入れコストの打開策として開発された、とのこと。

neojio0.jpg
出典:ゲームマシン1990年4月15日号

 後者、レンタルシステムはその名の通りレンタル専用の機器で、ご覧の通り我々の知ってるネオジオ(AES)そのものである。

 これは同社が全国主要都市37か所で行ったアンケート調査で90%以上が「レンタル制になれば借りたい」と答えたため実現に踏み切ったもので、主にゲームセンターやビデオレンタルショップ(関西中心チェーンであるTSUTAYAとコスモス)で取り扱われた。料金は1泊2日で本体が700~1000円。カセットが500円くらいになる、とのこと。

 SNKは当時の業界紙に、でかでかと広告を出している。




◆それぞれの発売日◆

 しかしMVS、AESともに1990年3月発売を目指していたのだが、少し予定が遅れたようだ。

ge-mumasin19900401.png
(株)エス・エヌ・ケイ(SNK、本社大阪、川崎英吉社長)では、同社の新TVゲームシステム「NEO・GEO」に関し、業務用本体は四月十六日に、レンタル用本体は四月二十六日に販売することになった、と発表した。
(出典:ゲームマシン1990年4月15日号)

 ゲームマシン1990年4月15日号によるとMVSが1990年4月16日から、そして、レンタル用本体は4月26日から販売されたとのことである。だが、これはちょっと妙な言い回しだ。レンタル用本体を“販売”とは一体どういうことだろう?

 レンタルなら「サービス開始」など、もっと妥当な言葉がありそうなものだが......。



◆7月1日は価格改定日◆

 その答えはゲーメスト1991年8月号よりもたらされた。

gamest00.jpg

 そこには「7月1日 新価格でネオジオ登場」という文字が謳われていたのだ。

 つまりAESは1990年4月26日にレンタルサービスを開始したと同時に、販売もされていた可能性が高い。それがあの微妙な文言の正体だったのだ。その後、1991年7月1日になって販売に力を入れるべく価格を改定したというわけなのである。(※この時点でレンタル事業から撤退したかどうかは資料が見つからず不明)

 つまり7月1日は「価格改定日」だったのだ!


neogeo1901.jpg

 さっそく1990年のゲーム雑誌を確認すると、まず「ファミリーコンピュータマガジン1990年5月11日号」に↑のような広告を発見した。その下部には赤文字で「4月26日、レンタルビデオ店、ゲームセンターでレンタル開始」の文言があった。

 次に、「ファミリーコンピュータマガジン1990年5月25日号」に以下のような広告を発見。

neogeo1902.jpg

 その下部には「全国有名デパート、玩具店での販売も実施中。」の文言があった。

 この“販売も”という言い回しに注目すると、これはレンタルの他に“販売も”実施していたという意味にしか取れないだろう。つまりレンタルのことを販売と言っていた可能性が、この「も」という一文字によって潰れたのだ。

gamest0047.jpg

 ゲーメスト1990年7月号にも同じ文言が確認できる。


gamest0049.jpg

 そして、1990年9月号の紙面広告には本体価格と一部ソフトの価格も掲載されていた。

 雑誌の発行日は当時の慣習により、だいたい1ヶ月位前に設定されることが多いので、以上の検証から少なくとも1990年の5月には全国の有名デパート、玩具店で取り扱われていたことがわかったのだ。




◆7月1日説を唱えるファミ通◆

 しかしほんの数年前、確認できる限りでは2年前から、あろうことか日本の最大手ゲームメディアである「ファミ通.COM」のtwitter公式アカウントが7月1日になるたびに、なぜかネオジオの一般販売が開始した日とアニバーサリーツイートをするようになるのである。


 ネット大百科であるWikipediaにも「レンタル事業で一定の成功を収め、更に消費者側から“購入できるネオジオを”との声もあった事から、家庭用ゲーム機販売事業へ参入、高級ゲーム機としての市場を開拓すべく1991年7月1日より一般販売が開始された。」という記述が見られることから、どちらかがどちらかを参照している可能性が高いのだが、上記の理由により、これは間違いと言わざるを得ない。なぜなら「購入」はできたのだから!

 上段で挙げたような誌面広告がいくつも残っている以上、1990年7月1日は誰がどう見ても「価格改定日」であって、頭をムリヤリひねくり回して「前の値段が業者向けで改訂後が家庭向け」と解釈できなくもないのだが、広告のどこにもそんなことは書かれていない。ひっくり返そうが、逆立ちしようが、この広告から「1990年7月1日から一般販売を開始した」という情報を読み取ることが筆者にはできないのだった。

 それとも7月1日説には、我々の知らない決定的な根拠があるのだろうか......。



◆公式見解は?◆

 ちなみに、SNK JAPANのtwitter公式アカウントは1990年4月26日をネオジオ誕生日としており、筆者はホッと胸をなでおろすのだった。(※ネオジオ誕生日というならMVSが稼働した4月16日のほうが妥当なのではというツッコミはひとまず不要である)


 2020年には30周年を記念して「SNK GALS‘ FIGHTERS」が配信されたのは記憶に新しいところだ。倒産などいろいろなゴタゴタを乗り越えて実質まったく別の会社に生まれ変わっているにもかかわらず、そのあたりは、しっかり引継ぎされているようで何よりである。

 ただし、SNKエンターテイメントのtwitter公式アカウントのほうは、なぜかファミ通が唱える7月1日説の尻馬に乗っており、2020年には自ら以下のようにtweetする始末。SNK側にも少し混乱が見られるようだ。


 いずれにせよ、今でも現役でネオジオ実機を嗜(たしな)んでいる一ファンの筆者としてはどっちでもいいのでせめて統一してほしいところなのだが、できれば、たぶん合っているであろう1990年4月26日のほうが誕生日だったらいいなあというのが正直な気持ちである。

 7月1日説が出て来たのは、ここ数年なので、まだ間に合うよ!



orotima-ku1.png7月1日説が合ってたらごめんなさい。




 追記:2022/7/2

 twitterにて有力な情報をいただいた。なんと、2016年6月16日増刊号「ファミ通創刊30周年記念号」付録のゲームハードヒストリーという資料ではネオジオの発売日が1990年4月26日になってるというのだ。こちら。

 ファミ通さーん!
 
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コメント

ネオジオは発売日どころかレンタル自体が謎でした。

ネオジオのレンタルの話は当初ファミ通か何かで読んで、レンタルを楽しみにしていたのですが、田舎のTSUTAYAだったからなのかもしれませんが、当時でも結局開始されたのかどうかわからない状況で、少なくとも近所のTSUTAYAではパンフレットはあるものの、取り扱いは始まらず、ごく一部だけで実施されたのかどうかも分からないままでした。
たしか本体1000円、ソフト700円とか具体的な金額も決まっていたような記憶もあります。
当時のパンフレットではソフトによっても値段差がつけられていた様な記憶もあります。
発売日も記載されていたような記憶があり、春休みシーズンだったような気がします。
オロチさんの調査の発売延期前の日付と合いそうです。
少なくとも夏場では無かった記憶なのですが、
ただ、レンタルでも見た記憶が無いのです。
誰か都会に住んでいた方でレンタルしたことあるよーって方いらっしゃいませんかね?

ここから先はガセネタだったら申し訳ないのですが、ゲームのレンタルって部分が法律か何かに引っかかって、待ったがかかったっていう記事を読んだようなうっすら記憶があるのですが、ネットの情報を見ると、レンタルされていたっていう情報もあり、何が事実なのか、ずっと謎でした。

レンタル利用してましたって方!情報お願い致します!

コメントありがとうございます。レンタルの実態ですかー。たしかに少なくとも私の周りにはいなかったですねえ。その法律云々という話は興味深いです。
家庭用ゲーム、たとえばファミコンをレンタルしようとしてダメだったという話は聞いたことありますが、これはあくまでも任天堂がレンタルを禁じていたからであって、ネオジオのように最初からメーカーがレンタル用に作った場合はどうだったのでしょうか。

レンタル問題はメーカーに許可得ないPCゲームとかなんじゃないかなと。記事の業界紙ゲームマシンの何号か前に。社長が法的に問題ない旨を話しているコメントもあった気がします。(ただ、こういうコメントあったって事は微妙だった裏返しですが)

自分は神奈川でそのころ中学生だったので行動範囲は狭いですが、中規模のレンタルビデオ屋で2件ほどレンタルと販売やっていましたよ。2件ともMVSも置いてました。
これこそ当時のチラシとか残ってるといいんですけどね。。。

地元のファミコンショップ「ブルート」はレンタル扱ってましたよ
ただ直営かフランチャイズかは分かんらないのでブルートそのものが扱っていたのかは不明です
なおその近所にSNK経営のゲーセン(ネオジオランドじゃないよ)があったのでそのツテでかもしれない
それなりのお値段だったので使わなかった思い出
(後に業界はいったのでネオジオ、ヤリまくりw)

レンタルの疑問を書いた者です。
皆様コメントありがとうございます。
都会ではレンタルあったのですね。

今まで中古やヤフオク等で、レンタル落ちのネオジオを見たことも無かったので、メーカー直営店とかで中古に流さないようにうまく統制が取れていたのか、レンタル自体が限定的なものだったのかずっと疑問でした。

CDとかって、「レンタル専用」って印刷されてますよね?
あれをネオジオで見たことが無いのです。
一般販売されていた物と、レンタル品の区別をつけないことも考えにいということと、家庭用AESと業務用MVSで規格を分けて、ラベルを分けていたのに、レンタル品と一般は区別していないなんて、考えにくいなぁと疑問に思っていました。

もしかしてレンタルしていたのは家庭用の形をしたMVS互換品?などと妄想したこともありますが、その本体も見たことが無いのです。

レンタルと共にこの辺りの情報もお持ちの方がいらっしゃれば、お話伺いたいです。宜しくお願いします。

レンタルネオジオはSNK社員、希望者に払い下げです。2万円だった(今も所持)
単純に販売してるものをレンタルとして出してるのでせいぜい管理シール貼ってるぐらいです
(この辺はSNKそのものが推してるからユルユル)
レンタル業そのものが委託だった感じ?
利用者いなかったのかwそれなりにキレかった思い出

>通りすがりさん
ありがとうございます。質問していた者です。

家庭用と変わらないものをレンタルだったのですね。
それならば、もしかすると払い下げネオジオ
後に管理ラベルを剥がしたものが中古に出回った可能性などはありますね。区別がないから見分けはつかないってことだったんですね。
謎が解けて良かったです。

私は1994年くらいにネオジオロム本体を買ったのですが、アーケードそのままのクオリティが家で遊べる衝撃は今でも覚えています。
衝撃と共に、所有していることの優越感も半端なく、いやらしい話ですが、ゲーセンで群がる人達を見ては、それが家でも遊べる事に対して、ニヤリとしていたのも事実です。(レンタルも無い田舎者のくせに、我ながら嫌な奴でしたね。笑)

ネオジオだけは次世代機が出てからもローディングが全く無かったので、他機種移植版よりも本物だと思っていたので、ほんとうに長く現役で遊ばせてもらいました。

リアルタイムで1990年春にファミ通のネオジオの記事を見て
「欲しい!けどさすがに高くて手が届かない!」
からの7月の価格改定で
「よっしゃ!これなら手が届くかも?」
を体験したいちゲームファンにしてみれば7月1日発売説とか本当に勘弁してほしいんですが
こんなの説ですらなくてただの勘違いでしょう

オロチさん引用のゲームマシン1990年3月1日号に
1月31日の発表会のコメントとして下記書いてあるので、そもそもがレンタル前提で、結構直前までバタバタしていたのが、レンタル用と販売用って分かり辛い・曖昧な時期がある所(そもそも物は同じ?)所なのかもしれないですね。それで販売流通も見込みできたので7/1に価格見直したと。

引用:
レンタル用本体とソフトは
「希望があればその店で販売しても差し支えない」とし販売については
「家庭用と同様の流通ルートではコスト的に無理があるので現段階ではレンタルを基本に考えている」

レンタル経験者です。
当時住んでいた街は地方都市で人口25万人規模。
その市内でレンタル実施店は1店舗だった記憶。
「ゲーム機をレンタルで借りる」という行為そのものがUXとして楽しめました。
ちなみに独立系のレンタルビデオ店。
TSUTAYAはほぼ全店がFCで、本社の意向で動いているので都会だろうと田舎だろうと入荷は無かったと思います。

単純に7月1日以前は先行発売であり、正式な発売日は1991年7月1日であったとか?
価格も先行販売だから高くて、正式な発売日に値下げの広告はインパクトあって、そういう販売戦略もありそうですし。
取扱店がみつからない場合はと記載があるように、実際は7月1日以前は一般店舗には卸していなく、メーカー直販のみの可能性も考えられる。
SNKも家庭用ネオジオの発売日について、明確にしないのは濁しておいた方がいい理由があるからな気がする。

先行販売というか、元々ゲームショップに行けば在庫があって買えるという類の物じゃなくて
業務用基板を一般ユーザーが買うみたいなニッチ向け高額商品で
買う人なんて一部マニアだけでしょうけど言ってくれれば売りますよ、一般人はレンタルで楽しんでね
って感じだったとは思ってますが…
それでも販売価格を提示していて買おうと思えば誰でも買えたわけですし
一般流通に乗せたのが7月1日からであってもそれを発売日とするのはモヤッとしますね

メーカー直販に関してはファミコン必勝本1990年3月2日号に「SNKが直接行うことはない」と記載されていました。また個別の記事でまとめたいと思います。

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 失われたファミコン文化遺産「ショップシールの世界」2020年6月26日発売

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