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【スーパータイガー事件】ハイスコア至上時代の衰退を考える

<ハイスコア至上時代>

 かつて“ハイスコアを出すこと”が“ゲームをすること”と同じ意味だった時代があった。

 別の言い方をすれば、ほとんどのゲームには“スコア”という概念があり、そのスコアを競う行為がゲームだったということである。ファミコンの初期ゲーにはエンディングがないものが多かったけど、ハイスコアを目指していた少年たちにとって、“感動のエンディング”などむしろ邪魔だったのかもしれない。

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 少年たちはそんなフレーズに目を輝かせ、毎日必死こいてAボタンを連打してた。ハイスコアさえ出せば英雄になれた。まさにハイスコア至上時代。その名も「ハイスコアルーム」という全国の読者がハイスコアを競うコーナーがファミマガに載っていたのもそんな時代だった。
 ランキングは編集部まで送られてくる証拠写真を集計するという方法で行われ、全国の猛者たちがそこでしのぎを削ったのだ。

 当時のファミコン少年たちはこのコーナーに名前が載ると、3日間はその名誉をオカズに白飯が食えたという・・・・・・



<スーパータイガー事件とは?>


 さてそんな「ハイスコアルーム」で大事件が起こったのは1986年7月のこと。

 それまで驚異的なハイスコアで、あらゆるジャンルのソフトを制し、ランキングトップに君臨していた「スーパータイガー」を名乗る人物の不正が発覚したのだ。
 俗に言うスーパータイガー事件である。

su-poa-daita-jiken0.jpg
 ※こちらがそのときの記事

 以下、一部抜粋 (※○○は住所のため伏せてあります)


 このハイスコアルームにぺてんを使って名前をのせちまったヤツがいるんだ。(省略)

 スーパータイガーこと、○○○は○○のY、キミのことだゾ。こちらの追求に素直に白状したから本名を発表するのはカンベンしてあげる。だけれども、キミは以後除名処分として、記録はすべて抹消、今後キミの応募はうけつけないぞ。深あーく反省しなさい

 (省略)

 二度とこんなことが起こらないようにシンチョォに討議した結果、ペンネームは禁止!とします。




 記事ではその証拠写真らしき『バイナリィランド』などのスクリーンショットが掲載されているが、一説によると彼の不正は、通常ではありえない得点だったため、他の読者の指摘により発覚したらしい。
 
 つまり例えば、9,999,900点を超えると0点に戻る仕様のゲームで10,000,000点を出してしまったり、100点単位の仕様のゲームで10点単位のスコアを出していたというのだ。

 それ以降、同コーナーではペンネームの使用が禁止となったが、やがて時代の流れとともにコーナー自体もなくなり“スーパータイガー事件”はファミコン史上最もセンセーショナルなスコア不正事件だったという伝説だけが残った。



<スコアよりもストーリー性を重視する時代へ>


 ファミコンにおけるハイスコア至上時代が衰退した原因はいろいろあると思うけど、僕はスコアよりもストーリー性を重視するゲームが主流になったのが一番の原因だと考えている。
 たとえば『ドラゴンクエスト』のようなRPGが一番わかりやすいと思うのだが、じゃあなんでこれらのゲームが主流になったかというと、それはやはりストーリー性が重視されていることによって感情移入しやすくなったからだろう。

 そして、ストーリー性があるということは当然、今まで無かった“感動のエンディング”も用意されているということになる。これは意外に大きい要素で、それによって少年たちはハイスコアよりもエンディングを目指すことになるのだ。

 でもストーリー性って、ゲーム性とは対極にあって、極端な話ストーリー性だけあればいいってんなら小説でいいのだ。そこで、いかにゲーム性を残しつつストーリー性を重視するかって問題になるんだけど、その一番手っ取り早い方法は、今までゲームの象徴であったスコアを無くすことだったのではあるまいか。

 たとえばドラクエをやってるやつが「俺はゲームをやってるんじゃない。冒険をしてるんだ」と言い出したとする。これは立派な感情移入なんだけども、そんな彼がスライムを倒しても100点入るだけだったらどうなるか。

 想像しただけでも笑いが込み上げてくる(失礼)



<ストーリー性とスコアは両立しないのか>


 じゃあストーリー性とスコアは両立しないのかって言われるとそうでもない。スコアの要素は形を変えただけだ。そして、かつてハイスコアを出し、雑誌に名前が掲載されることによって報われていた行為が、よりわかりやすくゲーム内で成立するようになったのが一番のポイントだと思う。

 例えば、ファミコン少年たちはハイスコアを出したら、親に借りたカメラでそのテレビ画面を撮影し、カメラ屋さんまで走って現像に出し(そのときフィルムを使い切ってることが望ましい)、後日、写真が仕上がったら取りに行き、写真がうまく写っているか確かめ(当時は現像するまでわからなかった)、封筒を用意して編集部へのあて先等を手書きし、証拠写真を入れ切手を貼ってポストへ投函した。そしてそのスコアが編集部に認められ、名前が載ることによって、やっとこさその行為が報われていたのだ。(この長い道のり!)

 しかし、スコアという要素が経験値など別の数値や、アイテムなどに置き換えられ、それらを得ることによって主人公がレベルアップするという形で報われたとしたらどうだろう・・・・・・



<少年はまるで自分のことのように喜んだ>


 結局何が言いたいかっていうと(なんとかまとめてみよう)・・・・・・

 上述したように、雑誌に自分の名前が掲載されるには、そうとうな労力を費やし、多少のお金も費やし、努力してゲームがうまくなって、やっと成し遂げられる結果だった。つまりそれは自分自身をレベルアップさせたことによる成果に他ならない。(不正するやつはもってのほかだぞ!)

 だが、スコアの概念が変わったことによって、自分の代わりに主人公がレベルアップしてくれると考えてみたらどうだろう。ストーリ性重視のおかげで感情移入していた少年は、まるで自分がレベルアップしたかのように喜んだはずだ。
 しかもそれは自分自身をレベルアップさせるよりも、お手軽で、経済的で、その上“感動のエンディング”という成果まで得られるとしたら・・・・・・


 ファミコンにおけるハイスコア至上時代が衰退した原因は、意外とこんな理由だったのかもしれません。


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コメント

写真現像のくだりの描写がいいっすね。
すごいスコアが出て大盛り上がりで写真を撮ったけど
現像された時にはもうテンション下がって結局出さなかったりとか(笑)。
今ではデジカメどころかネットでデータ送信の時代ですもんね。そう考えれば
昔の不正なんて可愛いもん…なのかな(笑)。

スコアに関しては確かに一部のシューティング以外では廃れてますが、
「S.D.I」のスコア戦争は最近まで続いてましたし、「スーパーメトロイド」の
タイムアタック考察は今でも続いてますね。

「ハイスコア」って言葉は今も昔もやっぱり魅力的なんですね。

僕なんかはそもそもカメラを貸してもらえなかったですからね。そういった意味では本文以上に様々な障害を乗り越えて、やっと参加できるというハードルの高い世界だったのかもしれません。

アーケードゲームの世界ではファミコンほど廃れる要素が薄かったんでしょうね。それでも全盛期に比べたら一時期、衰退の一途をたどっていたのは確かです。
でも最近はオンラインシステムが普及し、再びハイスコアを競うような、ゲーム性が見直されているような気がします。ただ、僕は今のゲームや、アーケードゲームにはまったく詳しくないので、そのへんのところはあえて書きませんでした(笑

 コメントありがとうございました!



忘れかけていたスーパータイガー事件
記事を読んで住所まで記憶が蘇ってしまいました。

ユーザー参加ものでは、青ディスクも思い出します。
時間とお金に余裕のある大人にはどうやっても勝てないというのを
思い知った子供時代です。

自分も裏ゼルダのクリアーで名前が乗った気が・・・
でもハイスコアルームのエキサイトバイクの
数字は絶対に全員八百長でしたよ

今でいうチート行為ですね。
ルールを破ってまで一番になって何が楽しいのだろうな。
マラソンで全区間走らずにバスで移動して1番でゴールするようなものなのに。
人に勝つことはできても自分に負けてる愚かで哀れな行為。

別な号には「他のコーナーでならスーパータイガーの投稿を受け付ける」みたいな話もあって、子供心に「甘い!」とか思ったり。
「その技術をもっと良い事に使いなさい」みたいなね。
スーパータイガー事件の細かい経緯なんて忘れかけてましたが、ここのおかげて思い出しました。
ところでバボさんは丸井のローンを払い終えたのだろうか?

今のゲームでハイスコア至上主義に近いのが残っているのはスポーツゲームや、不思議のダンジョンなんかかな?とふと思ってみた。

それと、昔のゲーム雑誌の定番投稿企画には「裏技発見」も欠かせなかったねー。
ファミマガの「嘘テク企画」ってのはこのスーパータイガーの行いを「俺たち編集でやってみようぜ!」的なノリだったのかな?
しかし、1回きりならともかく毎号やるとは。

あんな頃はテレビ番組でも視聴者参加ものが多かったし、そういう流れが消えてしまったのかもしれないね。

ハイスコアルームは始め上位者全員の名前を載せてたけど最終回間近になると新作に限り上位
者全員、他は最高記録を更新した人のみ掲載というルールに変わりましたね。 後に、なぜ
ハイスコアルームが終わったのかという読者の質問に ”コンピュータでスコア画面を捏造す
る人が出てきたから”だと書いてあったのを覚えてます。懲りもせずに同じ事をする人が続々
現れたようです。 あと新作ゲームのグラフィック、操作性などに読者が点数をつけランキングを決定というゲーム通信簿みたいなコーナーがあって某メーカーが専用ハガキを組織的に使
って自社のゲームが上位に来るようにしたという事件もありました。すぐバレたためランキン
グには影響なかったそうですが。ファミマガの記事はそれだけゲームの売れ行きに影響したと
いうことでしょうか。

いい時代だった

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 失われたファミコン文化遺産「ショップシールの世界」2020年6月26日発売

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