※この記事は2012/05/18(金)に公開されたものをリライトしたものです。 ◆ワルキューレの歴史◆ ワルキューレの歴史は1986年のファミコンソフト『ワルキューレの冒険』から始まる。主人公は金髪、三つ編み、甲冑姿でおなじみの女戦士ワルキューレである。

続編にあたる『ワルキューレの伝説』は1989年にアーケードで稼動、翌年にはPCエンジンへ移植された。同時期に漫画や小説も発行されている。このとき彼女の人気はピークを迎え、1990年発行ゲーメスト増刊「ギャルズアイランド」の人気投票では見事1位に輝いている。
同シリーズはその後、SFCにて『サンドラの冒険』などいくつかスピンオフ作品を出したが、そこでぱったりと止まってしまった。

2007年になりようやく正式な続編『ワルキューレの栄光』が18年ぶりに発表されたものの、携帯アプリゲームという特殊なプレイ環境だったためか、とくに大きな話題になることなくゲーマー界隈から忘れ去れ、現在に至っている。
プレイ動画を見つけたので貼っておこう。
なお、この作品には続編『ワルキューレの栄光2』も存在したんだとか。もちろん携帯アプリで......。
バンダイナムコのドルアーガオンライン公式サイトに、ワルキューレの人気について言及しているページがあったので引いてみよう。
ゲームだけでなくキャラクター人気も爆発。ワルキューレを知る人なら誰でも思い浮かべる 「三つ編み」、「緑の甲冑」そして「羽根飾り」のデザインが確立されたのも、この『伝説』から。
なるほど、その人気は公式でも認められていたわけだ。しかしそれにしてはシリーズ展開に恵まれなかったなという印象を受ける。
◆恥ずかしい都市伝説◆ そんないまひとつ盛り上がりに欠けたままオワコンになってしまって久しい不遇のワル様であるが、彼女にまつわるちょっと恥ずかしい都市伝説が存在するのをご存知だろうか。それは長年ファンの間で語り継がれているものなのだが......。
こちら↓
ワルキューレはパンツをはいていない。
しょうもなっ!笑。
いやいや、これは
男のロマンの話なのだ。私はかつて『マドゥーラの翼』において主人公ルシアが水を飲むとき、口をあけているかどうかで友達と口論になったがある。当時のファミコン少年たちは、そんなわずか1ドットの「ある/なし」で熱くなれたものだ。
※金髪でも三つ編みでもないファミコン版ワル様 したがって、たとえそれが設定上の話だったとしても、ワルキューレがパンツをはいてないかどうかは、我々にとってキャラクターの魅力を左右する重要なポイントなのだ。とくにファミコン世代の人間は
「ゲーム画面に描かれている情報は“見たまま”ではない」という教訓を、骨身に沁みて思い知ってきたはずである。たとえドット絵だろうが、ただの記号だろうが、そこには冒険世界がひろがっていて、金髪で三つ編みの美しい女戦士が立っている。この画面がそう見えないほうがどうかしてるのだ。
思い出してほしい。ゲーム画面で足りない情報はすべて、説明書なりファミコン雑誌なりで得た知識で補ってきたじゃないか。現代のように何もかもゲーム内に詰め込まれていて、グラフィカルでユーザビリティに優れ、ゲームデザインも洗練されてなかったから、我々はそうするしかなかったんだ。そうでもしなけりゃ、やってられなかったんだ......。
したがってワルキューレの「パンツはいてない設定」もゲームの世界観に浸るうえでは重要なポイントになり得たわけである。ということで筆者はこの都市伝説についての調査に乗り込んだのだった。
◆真実が明らかに◆ そしてついに真実にたどりつくことができた。(早っ)
きっかけはワルキューレのキャラクターデザインを担当した冨士宏氏について調べているときだった。そのサイトには彼が1990年に『ワルキューレの伝説』について語ったとされる重要な発言が記載されていたのである。そしてそれは「ギャルズアイランド」というゲーメスト1990年5月号増刊が元ネタであることが判明したのだった。
※「ギャルズアイランド 月刊ゲーメスト5月号増刊」より 以下引用。
――そういえば、ワルキューレが“ぱんつ”をはいてるかどうかが話題になってるんですが...。いや...あれは下着つけてないんじゃないかな。まずいかなぁ(笑)。
出典:ギャルズアイランド(ゲーメスト1990年5月号増刊)
なんと、冨士宏氏自ら
「下着はつけてない」と公言しているではないかッ!
こういう場合、裏設定といことになるのかもしれないが、男のロマンにそんなことは関係ないのだ。ワル様はパンツをはいていない。それがすべてであって、もはや公式設定だろうがなかろうが、そんなことはどうでもいいッ!
◆心理的効果◆ 『ワルキューレの冒険』は冨士宏氏のキャラクターデザインがなければ、ここまでヒットしなかったであろう。そういった意味で同作品はキャラクターを前面に押し出したゲーム、いわゆるキャラゲーの元祖だと評する声もある。そこには往々にして「キャラクターだけが魅力的なゲーム」という皮肉がこめられているのであるが、逆にいえばそれは誰もがワルキューレというキャラクターの魅力を認めているということだ。

もちろんそれはワルキューレが元々魅力的なキャラクターだったということもあるが、筆者は個人的に、冨士宏先生の最大の功績は
ワルキューレをパンツはいてない設定にしたことだと信じて疑わない。
たとえば教室でとなりの女子が朝「あたし、今日パンツはいてないの」と言ってきたら君はどんな気持ちになるだろう。モンモンとしてしまって授業どころではなくなるはずだ。そのうちその女子の一挙手一投足がが気になって、気になって、仕方なくなってしまうだろう。しまいには「あれ、もしかして俺、彼女のことが好きなのかも」なんて思ってしまうかもしれない。
これは心理学専門用語で「吊り橋効果」と呼ばれる現象である。
つりばしこうか 【吊り橋効果】
ふたりの人間が吊り橋をいっしょに渡るとき恐怖で早くなった動悸を「相手を好きになったせいでドキドキしている状態」と勘違いしてしまう現象。よって、男女がいっしょに何か大きな試練を乗り越えたとき、結ばれやすいと言われている。
したがって「パンツはいてない設定」がたとえ公式でないとしても、それを知ってしまった男子はワル様の一挙手一投足がが気になって、気になって、仕方なくなってしまい、恋と勘違いすることで本当に「好きになってしまう」という寸法だ。
というのは冗談で、そもそも冨士先生のこの発言はワルキューレが人気投票で1位になったあとの出来事。つまり
ワル様のパンツはいてない設定は彼女の人気に1mmも寄与してないのである。なんじゃそりゃあ!
逆にそんな設定なくても彼女は人気だったということだ。
◆さいごに◆ 服飾文化という観点からいうと、伝統的なチャイナドレスや和服などを着るときは現代的な下着をつけないのが正式な作法だと言われている。ワルキューレといえば北欧神話が元ネタであるが、おそらく北欧の古い服装も下着をつけなかったのではあるまいか。

冨士宏先生はあくまでもそのような文化的観点から発言したのかもしれないが、結果的にそれがキャラクターの魅力を何倍にも引き出すことになったのは、何とも因果な話である。しかし、だからこそ、そんな稀有な存在だったワルキューレがこのままゲーム界の隅っこでくすぶっている今の状況が「悔しい」と思うのは筆者だけだろうか......。
ナムコさん、続編だしてください。
もちろん、パンツはいてない設定で!
|  | そもそも冨士先生の発言は人気投票のあとだよ! |
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