
先日、テレビを見ていたらとある役者が“個性派”俳優として紹介されていた。その役者はなんとなく見覚えがあるんだけど、名前までは知らないような脇役タイプの俳優さんだった。
僕はそのとき、この“個性派”という言葉に
強烈な違和感をおぼえたのだ。
なんでだろう・・・・・・
しばらく考えてみたんだけど、5つくらいの理由を思いついたのでまとめてみたよ!
理由としてはベタだが、その役者が本当にどこにでもいそうな感じで、この人のどこが個性派なのかと思ってしまうことがある。
単純にその役者さんのパーソナリティなり、キャラクタなりを、僕がまだ理解してないだけかもしれない。たとえばAKB48なんて、誰が誰なのかさっぱり区別がつかないが、関心を持って何度も見てれば、きっと区別がつくようになるはずなのだ。

もしくは、個性的な役柄ばかり演じてる、ちょっと自分のこと面白いと思ってるタイプの役者さん。個性派俳優と呼ばれる役者にありがちなタイプ故に
逆に個性が死んでるみたいなことあるよね。
いずれにしても残念ながら言うほど個性を感じないっていうパターン。
理由:2 「他に当てはまる言葉がなかった」的な 消去法による安易なネーミング
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その役者の個性うんぬんというよりもネーミングの問題。
たとえばスタッフ会議を想像してみよう・・・・・・
「今日のゲスト、○○(役者名)だけど、何俳優にしよう」
「イケメンでもないし、若手でもないし」
「なんかいい言葉ないかなあ」
「・・・・・・」
「個性派でいいじゃん」
「そうだな、個性派俳優でいこう」
なんて会話があったかもしれないって思うと、ただの消去法じゃんって白けちゃう。ちょっと名が売れ出した年配の脇役タイプの役者にありがちなパターンだ。でもそれって逆に
「個性がない」って言われてるようなもんだよね(笑
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そもそも「何俳優にしよう」って疑問がおかしい。俳優の前に何かつけなきゃいけないのだろうか。
そんなところが、ワイドショーとかでよく使われるフレーズ、
美人○○って言い回しにニュアンスが似てるのだ。中の中以上だったらとりあえず美人って言っとけみたいな。(美しすぎる議員さんは普通に美人だと思うが)
脇役タイプの役者はとりあえず個性派って言っとけみたいな・・・・・・
理由:3 言い回し的な不整合性から感じる そこはかとない物悲しさ
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個性派のくせに“個性派”って言葉でくくられてる悲しさ。
ボクは個性持ってますよ、他人とは違いますよって主張してるんだけど、結局は”個性派”って言葉でひとくくりにされっちゃてるところに、言い回し的な不整合性を感じるんだよね。
清純派AV女優みたいな、しっくり来ない感じ(笑

本当に個性を持ってるなら、その○○を冠した○○俳優でいいと思うんだけど、逆にその役者のキャラクタを形容する言葉が、世界中どの辞書をひっくり返しても見つからないってパターンもありえる。
しかし結局は見つからない以上、“個性派”って言葉でくくられちゃうところに、そこはかとない物悲しさを感じざるを得ない。
理由:4 もともと“個性派”という言葉 自体が抱えてる矛盾性
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言い回し的な悲しさもあるが、“個性派”って言葉は、もともと矛盾を抱えてたりする。
たとえば個性派アクションゲームって聞いて『スーパーマリオブラザーズ』を思い浮かべるひとはいないと思うんだ。マリオって世界で一番売れたアクションゲームだから、もはや王道ってことになってる。
※ファミコン版『スーパーマリオブラザーズ』 パッケージより 『スペランカー』とかクソゲーをやってると「普通、こんなんで死なねえよ!」なんて文句が出ちゃうのも、じゃあ「お前の普通って何だよ」ってことになると、結局はマリオが基準だったりするわけだ。
『スーパーマリオブラザーズ』だって最初は数ある個性派ゲームの1つだったと思う。でも、
個性派って登りつめると“普通”になっちゃうみたいなのだ。
まったくへんてこりんな言葉である・・・・・・
理由:5 そもそも個性なんて誰でも持ってるのに わざわざ“個性”を売りにする滑稽さ
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考えてみると、顔も、名前も、声も、性格も、何もかも同じ人間は2人以上存在しない。要するに個性なんて誰だって持ってるんだ。
だから役者だって一人一人違うのは当たり前で、それどころか個性を売って何ぼの職業じゃないだろうか。そう考えると、エキストラ専門の役者でもない限り、
個性派じゃない役者なんていないと思うんだけど。
それなのに、わざわざ“個性派”なんて言葉で修飾されちゃう役者って、よっぽど個性がないんだなって、受け止めることもできてしまう。
※"個性派俳優"で画像検索した結果より あるいは「最近の売れてる役者には個性がない」なんて皮肉が込められているパターンもあるだろう。似たような言葉に“実力派”とか“演技派”ってのがあるが、それも同じ理由から生まれた言葉だ。
個性や実力がなくても、あまつさえ演技すらできなくても、有力事務所がゴリ押しすれば役者として売れてしまう現実。おもしろくはないが、どんな業界でも似たようなもんだ。
したがって、わざわざ誰もが持ってる個性を売りにしなければならないという滑稽さは、その役者というよりも
その業界に対する言葉であるのは間違いない。
“個性派”という言葉にそんな事情が見え隠れしていたからこそ、僕は違和感をおぼえたのかもしれない。
以上。
<さいごにお断り> 本エントリーは誰か特定のひとへの批判とか、なにかを正そうとか、そういう意図はぜんぜんありません。ただ単純に、僕がおぼえた違和感がなんだったのか、考えられる理由を列挙してみただけです。ご了承ください。
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